養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

めでたくもあり、栄養もあり!おせち料理の雑学

今年もいよいよ残りわずかとなりました。年末年始、なにかと忙しい時期ではありますが、新年を迎える日本人にとって欠かせないものといえば「おせち料理」です。

おせち料理の肴の品々におめでたい意味があることは皆さんご存知だと思いますが、単に縁起をかつぐだけでなく、栄養価の高さやバランスの良さも抜群です。おせち料理の健康雑学、お送りしましょう。

年神様を「物静か」にお迎えするために生まれた「日持ち」料理

「おせち」は漢字で記すと「御節」。端午(5月5日)や七夕(7月7日)などの節句のお供え料理「御節共(おせちく)」がいつしか「おせち」になり、正月の節句料理限定で使われるようになりました。平安時代からあった言葉ですが、今のようないわゆる「おせち料理」が生まれたのは江戸中期以降といわれています。


おせち料理の特徴、まずひとつめは「日持ち」することです。正月は、五穀豊穣と無病息災の神様「年神様(としがみさま)」が家にやってくる季節。そのため、煮炊きを控えて物静かに出迎える意味で、日持ちする料理が尊ばれたそうです。


ふたつめの特徴は「おめでたい」こと。縁起のかつぎ方はさまざまです。鯛は「めで鯛」などのいわゆる「語呂合わせ」もあれば、かまぼこは半円が初日の出を連想させ、海老は腰が曲がるまで長寿となるように願いが込められた「見た目」による縁起かつぎもあります。そもそもおせち料理の器となる「重箱」も、祝い事が重ねてやってくるように、という意味があるんです。


そして、これらの品々が揃ったおせち料理は、山の幸あり海の幸ありで栄養のバランスも良いのが特徴です。身体に良いとして世界的に有名な「和食」、その総決算が「おせち」といっても過言ではありません。ではひとつひとつの料理について紹介してみましょう。


人参と大根、赤と白でお祝いの「水引」を彷彿とさせるのが「なます」。とかく子供達にとっては、おせちの中の不人気メニューとなりがちですが、身体には良いんです。大根にはお雑煮やお餅などに含まれるでんぷんの消化を助けるジアスターゼをはじめ、ビタミンCなども豊富。ニンジンは体内でビタミンAに変わるβ-カロテンが多く含まれています。


「五万米」とも書き、江戸時代には田んぼの優れた肥料として用いられていたことから、豊作祈願を意味するといわれるイワシの佃煮「ゴマメ」。カルシウムが多く含まれ、骨を丈夫にします。子供達やお年寄りにおすすめのおせち料理です。


1年を「まめ」に過ごせるように願いが込められた「黒豆」。もとは大豆ですから、栄養満点なのは皆さんご存知のとおりです。骨粗鬆症を予防するイソフラボンをはじめ、コレステロールを抑えるリノール酸、疲労回復を助けるビタミンB、とりわけ煮汁にはビタミンB2が豊富で風邪予防にもつながります。ご自宅で作る際には糖分を控えめにするのがポイントです。


美しい黄金色から、金運を開くといわれる「栗きんとん」。これも甘さ引き立つ料理ですので食べすぎは禁物ですが、食物繊維やビタミンCが豊富に含まれ、糖尿病予防にも良いとのこと。


その他「煮しめ」も栄養満点。「よろ“こぶ”」とかけた昆布巻、先の見通しがよくなる「れんこん」、子芋が鈴なりになるさまから子孫繁栄を意味する「里芋」など、おめでたい縁起かつぎがなされています。


現在はお正月といえどもコンビニは通常どおり営業し、開いているお店も数多くあり、おせち料理以外の食べ物も簡単に手に入るようになりました。しかし、おせち料理は日本人としてしっかり食べておきたいものです。一年の計は元旦にあり。健康の計も元旦にあり、です。