養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

笑う門には元気来る!?一日一笑のススメ

皆さんは日々、笑っていますか?「笑う門には福来る」といいますが、昨今では「笑い」と「健康」に関するさまざまな検証が行われ、「笑う門には元気来る」ということが科学的に立証されつつあります。

今回は、人々の心と身体に作用する「笑い」の健康雑学をお届けします。

ジャーナリストの体験記で注目を浴びた「笑い」の力

人間はいつから笑うようになったのかは不明ですが、笑いは人間の特権です。人間以外に笑うことができる動物は、学者によってはゴリラや猿が笑うという人もいますし、ペットの犬も持ち前の学習能力で笑うこと(正確には、人を喜ばす“笑顔”)を覚えるとする見方もあります。しかし、一般的には「笑いは人間の特権」であると言ってよいでしょう。


歴史を遡ると、古代の神話などにも笑いに関する表記を見ることができます。たとえば古事記の中の「天岩戸」のくだり。天照大神(アマテラスオオミカミ)が岩戸に閉じこもってしまったことから世界が暗闇となり、災いが起こりました。なんとかおびき出すために皆がとった策は、岩戸の前で宴を催すこと。そこでアメノウズメが滑稽な踊りを披露して皆の大笑いを誘い、天照大神が岩戸からひょっこり現れた、というものです。笑いが健康を促したわけではありませんが、笑いに「大きな力」が備わっていることを暗に記しているという見方もできます。


その後、「笑い」は文化となり、猿楽や能、狂言という伝統芸能を生み、やがて落語が生まれ、漫才や喜劇など多様な形態を生み出して今に至ります。


笑いと「健康」を結びつけて考えるようになったのは最近のこと。大きくクローズアップされたのは、アメリカのジャーナリスト、ノーマン・カズンズが自らの体験を綴った著書『笑いと治癒力』を刊行したことです。


あるときノーマンは、医師から治る見込みの低い膠原病と診断されました。次第に病状は悪化し、ベットから出ることも困難になったとき、以前読んだ本から「プラス思考」を持ち、治療に生かしてみることを決意しました。愛や希望、信仰など、心を揺さぶる何かを持つことによって病状が改善するかもしれない・・・そこで彼が選択したのは「笑い」でした。テレビと、お笑いのビデオを病室に備え付け、積極的に笑う日々が始まります。痛みから寝ることもおぼつかなかった彼ですが、大笑いした後は痛みが和らぎ、少しの間だけでも安眠できるようになりました。ついには数ヵ月後、職場復帰できるまでになったのです。


現在は、「笑い」が人々の健康にどう効果があるのか、さかんに研究が行われています。
病気の人にお笑いを楽しんでもらったところ、笑う前と後では、ガン細胞に対抗するNK(ナチュラルキラー)細胞の量が増えたという事例もあります。もちろんストレス解消にもつながりますし、血流がよくなって新陳代謝が活発化し、老化や病気を予防する免疫力が高まるとの意見も。さらに大笑いすると腹式呼吸になることから、腹筋や横隔膜が鍛えられて排便しやすくなるともいわれています。


こうした流れを受けて、病院の医師が自ら手品などの余興を覚えて披露するケースや、院内で落語会を催す医療機関も少しづつ増えてきました。皆さんも、心の底から笑えるものを探し、「一日一笑」の心構えで過ごしてみてはいかがですか。