養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

「血の巡り」と血管のはなし

ご存知のとおり人間の体内には血管が張り巡らされ、血液が流れています。骨と筋肉を除けば、じつにカラダの80%以上が血管であるといえます。一方、血液の重さは体重の約1/13。血管、血液ともに身体の「主要部分」といっても過言ではありません。

今回のテーマは「血の巡り」。
血の巡りがもたらすことや、巡りを良くする方法なども含め、ご紹介しましょう。

人間の血管の長さは地球2周半

「地球は回っている」と最初に唱えたのはガリレオ・ガリレイ。では「血は巡っている」と最初に唱えたのは誰かといいますと、ウイリアム・ハーベイというイギリス人医師です。血が流れている事実は古代からわかっていたのですが、心臓で作られた血液は身体のあちこちに栄養を運んだ時点で「なくなる」と考えられていました。しかしハーベイは、血液が心臓へ再び「帰ってくる」ことを主張したのです。


現在では、血液が体内を巡っていることはもちろん、酸素や栄養分を身体のすみずみまで行き渡らせる「運び屋」である一方、体内の二酸化炭素や老廃物を肺や腎臓へ持ってくる「回収屋」であることが明らかになっています。


同時に、血液の通り道である「血管」についても、さまざまなことが判明しています。皆さんは人体を巡る血管の長さをご存知ですか?極小の毛細血管まで含めると、その長さは10万キロメートルともいわれています。なんと、地球を2周半するほどの長さです。そして心臓から出た血液が体内を巡り、再び帰ってくる時間は約30秒。相当の速さですよね。大動脈では毎秒1メートルのスピードが出ているといわれています。


血管はいわば「血が通る道路」ですので、ここが詰まったり、不具合が生じて本来の血流スピードが保てなくなると、全身に影響が出ることとなります。


また、身体のあちこちが状況に応じて「血」を求めています。たとえば「あくび」。これは深呼吸と同様、たくさんの酸素を吸い込む行為です。一説には、あくびは「眠り」をいざなうものではなく、酸素をたくさん脳に運び、活性化させて「起きる」ための行為だといわれています。


脳に血が巡ると意識がシャキッすることは事実です。さらに昨今では、高齢者が認知症になると脳、とりわけ前頭葉部分の血流が悪くなっていることが明らかになってきました。そこで血の巡りを良くして前頭葉を活性化させる方法として昨今ブームとなっているのが、脳活性のトレーニングです。その権威といえる東北大学教授の川島教授は「簡単な計算問題を解くこと(難しい問題よりも簡単な問題を複数解くようにする)」「(文章を)声に出して読むこと」「字を書くこと」「他人とコミュニケーションをとること」が効果的であると説いています。


脳以外にも、血の巡りが滞ることによって生じる弊害が多々あります。ストレスが貯まりイライラしやすくなったり、肩こりや神経痛、肌荒れなどの症状が出始め、悪化すると生活習慣病も引き起こしかねません。


では、血の巡りをよくするためにはどうすればよいか。日常で簡単にできるものといえば、まずは深呼吸です。人間、えてして意識しないかぎり深呼吸はなかなかしないもの。特に緊張状態や不安な心持ちのときは呼吸が浅くなります。酸素を十分に体内に取り入れることがリラックスにもつながり、血の巡りを良くして免疫力の向上にもつながるというわけです。


また、ストレッチ運動などで身体を動かすことも効果があります。息を止めず、呼吸しながらゆっくり筋肉を伸縮させることがポイントです。


そして夏場に気をつけたいのが、冷房の効いた部屋でさらに「冷たいもの」を摂取することです。血管が収縮し、血の巡りが悪くなります。特に高齢者の方は毛細血管の数も少ないため、血の巡りの悪さがもたらす影響も大きくなりますので気をつけましょう。


血管や血液の健康は、そのまま心身の健康に直結します。普段からケアをして、良い「血の巡り」を保つよう心がけましょう。