養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

聴けば効く!? 音楽療法の古今東西

秋の夜長。本を読んだり映画を観たり、音楽に耳を傾けるにはうってつけの季節ですよね。

さて、今回のテーマは「音楽」です。健康とどう関係があるの?とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
耳に心地よく響く音楽には、心と身体をリラックスさせる効果があります。
それだけでなく、さまざまな症状の軽減、改善のために音楽を聴いたり、演奏したりする「音楽療法」が今、世界的に注目を集めています。

底知れぬ音楽の持つ力。その秘密をご紹介しましょう。

音楽パワーで赤ちゃんは泣きやみ、牛の乳は増える!?

川のせせらぎや木立のざわめき。自然の音が心身ともに「効く」のは、なんとなくわかる気がします。たしかにリラックスできますよね。では、意図的に作られた「音楽」を聴かせて心身を回復させることが本当にできるのでしょうか?


音楽療法のルーツは古く、古代文明の頃から効果が認められていました。音楽に明確な医学的価値を見出していたアリストテレス。実際に情動傷害の人たちに音楽を勧めていたのが、医師アスクレピウス。旧約聖書にも「ダビデはサウルのうつ病を竪琴で治した」と記されていますし、エジプト人は音楽を「魂のクスリ」と呼んでいました。ペルシャ人はリュート(ギターのような弦楽器)の音で病を治していたといわれています。


科学的に検証する試みが盛んになったのは、第二次世界大戦後。アメリカは負傷した兵士の心身治療のために音楽を使い、一定の効果を得ました。


日本で注目されはじめたのは最近になってのこと。高齢者や、引きこもり児童のケアなどの現場で積極的に音楽が使われ始めています。大学などの研究機関の数も増え、これからますます盛んになることでしょう。ちなみにアメリカでは公的に認められた「音楽療法士」という資格があります。


では、具体的に何に「効く」のか、みてみましょう。まずは「ストレス解消」です。ポイントは「自らの気持ちを表現した音楽を聴く」こと。つまりムシャクシャしているときには激しい曲を、ダルさを覚えるときにはゆっくりした曲を聴き、内に貯まっているものを音楽の力で外に発散させる、という考え方です。


次に、よく耳にする「胎教に良い」とする指摘。もちろん、胎児が聞くのではなく、お母さんが聴いて母体に良い影響を与えることです。一般的には、母親の心音に近い波長を持つクラシック音楽が良いとされています。そこでよく取り沙汰されるのが、モーツァルトです。なぜベートーベンでなくてモーツァルトなのか?それはモーツァルトの曲が、生体機能に刺激を与える高周波を多く含んでいるためとされています。脊髄から脳にかけての神経系に作用し、その結果として健康の基本である生体機能が改善されるわけですね。


さらに老人の痴呆症にも効果があるといいます。この場合はクラシックに限らず、昔良く聴いた童謡や歌謡曲、それと単純に「好きな曲」を聴くことが大切。緊張がほぐれるため周囲とコミュニケーションを取れるようになり、改善したという結果が多く出ています。


ちなみに、関西在住の方はご存知かと思いますが「タケモトピアノ」のCMが流れるとなぜか赤ちゃんが泣きやむ、ということがテレビ番組で立証されて話題になりました。財津一郎さんの歌声になんらかの作用があるんでしょうか!?現在はCM曲を収録したCDもリリースされています。さらに変わったところでは、乳牛にクラシック音楽を聴かせたところ、乳の出が良くなったそうです。農林水産省畜産試験場の実験では、2~3%の増量が認められたとのこと。音楽のパワー、恐るべしです。


ともあれ音楽療法は、まだ実際のお薬のように「この症状ならこの曲!」ということが明確に解明されていません。もちろん「好き・嫌い」も絡んできますので、研究が進んでも「人それぞれ」といった要素は残ると思われます。まずは、お気に入りの曲、とりわけ今の気持ちを表すような曲を選ぶことから始めてみましょう。耳から取り入れる健康法、ぜひ一度お試しください。