養命酒ライフスタイルマガジン

健康の雑学

「梅雨」と「梅」と「健康」の親密な関係

日本に住んでいる限り、避けて通れないのが「梅雨」です。北海道には梅雨がない、と言われていますが、年によっては7月頃に雨が降り続く「蝦夷(えぞ)梅雨」が存在しますので、やはりこの時期は少なからず、日本中がぐずついた天気になるといえます。

しかしながら梅雨は、食物の生育にも欠かせない大切な季節。「梅雨」の文字に含まれる「梅」もしかり・・ということで今回は長い間、日本人と密接なかかわりのある「梅」についての健康雑学をお送りします。

梅雨は日本だけのものではありません。中国では「梅雨(メイユー)」と呼ばれています。日本で「梅雨」という言葉が一般化したのは江戸時代。語源については「露(つゆ)」から変化したとか、カビで食物が「費(つい)ゆ」季節であることから生まれたなど諸説ありますが、やはり「梅の実が熟す時期の雨」ということが中国でも日本でも、語源としては有名です。


さて、梅の実をどうするかといえば、やはり漬け込んだ「梅干」として食すことが、日本では古来から一般的でした。平安時代、村上天皇が梅干と昆布茶を飲んで疫病を治したという言い伝えがありますし、戦国の世では諸藩の大名が戦場における兵糧として梅干作りを奨励した話もあります。ちなみに、現在も残る最古の梅干は、なんと室町時代に漬けられたものです。


現在では、梅干のさまざまな効能が科学的に検証されています。まず、梅干の「すっぱさの素」といわれているクエン酸。これはなんといっても「疲労回復」の効果があります。疲れの原因である筋肉中の「乳酸」を分解、抑制するだけでなく、血液中の乳酸にも働きかけますので、動脈硬化やリウマチ、冷え性対策にも効果的です。


また、クエン酸は食中毒の原因となる細菌の増殖を抑えます。つまり食べ物が腐るのを遅らせる効果があり、湿気の多い季節にはうってつけの食材です。ご飯と梅干の「日の丸弁当」は、じつは湿度の高い日本ではとても理にかなったお弁当だったわけですね。


その他にも、唾液の分泌を促して、ガンの素となる活性酸素を除去したり、内臓の動きを活発にして消化、吸収を助ける力も備わっています。


梅雨の時期に熟れた梅の実。これを漬け込むと梅干になり、翌年の梅雨の時期に貴重な食材として重宝する・・・なんとも不思議な巡り合わせを感じますね。雨だと気分が沈みがち。それにともなってなんだか食欲もないし、体調がすぐれない・・・そんなときには日本の知恵、梅干パワーで梅雨を乗り切りましょう!