養命酒ライフスタイルマガジン

研究員のウンチク

昼神(ヒルガミ)の由来

南信州の伊那谷で飯田市の隣に阿智村というところがあります。 戦国時代、武田信玄が京に上る途中に病のために亡くなった地でもあり、多くの武将が通ったことで知られています。ところで、この村には昼神温泉があり、多くの観光客で賑わっております。


昼神温泉郷

昼神という名は、日本書紀に記されている日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の説話に由来しています。信州から美濃へは、今は中央自動車道の恵那山トンネル通過で容易に行けますが、昔は神坂峠越えという大変な難事でした。この険しく霧の多い山路をわけ入って、峠で日本武尊が食事をとっていたときです。荒ぶる山の神が、尊をくるしめようと、白い鹿となって立ちはだかりました。尊が噛んだにんにくを投げつけたところ、鹿の目にあたり鹿は倒れました。 その後この坂を越える者はにんにくを噛んで、人や牛馬に塗りつけて峠越えをする風習となったそうです。

にんにくは、古くは『ヒル』といわれていましたので、それを噛む習わしから『ヒルガミ』の地名となり『昼神』と伝承されるようになりました(阿智村史)。

座光寺 重信(養命酒中央研究所・所長)