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  • 【2017年11月号】 溜まった「睡眠負債」を返上するタイプ別快眠セルフケア術

溜まった「睡眠負債」を返上するタイプ別快眠セルフケア術

日々の睡眠不足が借金のように溜まっていく「睡眠負債」。寝ても疲れがとれなかったり、寝ているつもりでも実は疲れがとれていないなど、睡眠負債がどんどん溜まると身体に大きなダメージが…。今月は、眠りの知識や質のよい眠りを得るためのセルフケア方法を、東洋医学と西洋医学を融合した医療を実践している先生に伺いました。

お話を伺った先生
緑蔭診療所 医師
橋口 玲子
先生

1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、小児科専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典』(マイナビ)などの著書、監修書がある。

あなたの眠りはどのタイプ?

「思い込み不眠派」「ストレス性不眠派」「隠れ疲労派」「ダラダラお疲れ派」――あなたは次の4つのどのタイプに近いでしょう?

タイプA
眠れるかどうか不安で寝つけない「思い込み不眠派」

「今晩は眠れるかな?…といつも不安でいっぱい。眠りに役立つことをいろいろ試してみるけど、全然眠れない…。布団に入っても、時計が気になる。よく眠れていないわりには、日中は意外と元気なのが不思議…」

思い込み不眠派のイメージイラスト

「眠れないかも」という不安が不眠の原因に!

このタイプは、「今晩も眠れないとどうしよう」という不安がストレスになって、寝つきが悪くなっています。「これをすれば眠れるはず」という入眠儀式にこだわりすぎると、かえってそれがプレッシャーになって、眠れない悪循環に陥ってしまいがちです。睡眠深度が浅いと、眠れなかったと感じるものですが、午前中の眠気がないのなら、実際は眠れていたり、1日のどこかでウトウトして睡眠不足を補えていると考えて大丈夫です。

POINT|30分以内に眠れるなら入眠不良ではない

  • 布団に入ってから眠りに落ちるまでの時間が30分以内であれば、「入眠不良」とはいわない。
  • 近年、脳科学の世界では覚醒していると感じているときでも脳のごく限られた一部が部分的に眠る「ローカルスリープ」という現象が起きているといわれ、全然眠れなかった日でも、実は脳は部分的に眠っている。
  • このタイプの人は眠れないからと焦って、睡眠導入剤に安易に頼ると、薬への依存性が高くなりやすい。
  • 高齢者の場合、加齢とともに爆睡する力が衰え、眠りが浅く短くなるのは自然なことなので、若いころのように眠れないからと悩まず、昼寝などで補おう。

タイプB
あれこれ気がかりでよく眠れない「ストレス性不眠派」

「あんなこと言わなきゃよかった…などと人間関係のことであれこれ悩んだり、翌日の仕事や家事の段取りが気になったりして、布団に入ってもなかなか寝つけず、熟睡できない。よく眠れないせいか、胃腸もキリキリ痛むことが多い」

ストレス性不眠派のイメージイラスト

「ストレスの予習・復習」をする考え方の癖が不眠を助長

このタイプは、過ぎたことをいつまでもクヨクヨ思い悩み続けたり、先回りしてあれこれ気をもんだりする考え方の癖があります。この「ストレスの予習・復習」をする癖が、不眠を招く原因になっています。

POINT|ストレス性不眠が長引けば、生活習慣病やうつ病のリスクに!

  • 一過性のストレス性不眠は誰でも経験するけれど、長年の睡眠負債が蓄積している人は、精神的な疲労をきたし、肉体的にもクタクタになってしまうことがある。
  • ストレス性の不眠から睡眠不足が続けば、ストレス性胃炎や、さまざまな生活習慣病、うつ病にもつながっていくので、早めのケアが大切。

タイプC
寝つきがよく、短時間睡眠でがんばる「隠れ疲労派」

「毎日6時間眠れば十分。ぱっと寝て、シャキッと起きられる。電車ではすぐ眠ってしまうけど、短時間で目覚めるから寝過ごすことはない。休日も朝から元気に活動することが多い。ただ、50代を過ぎたころから、夜中に何度も目が覚めるようになってきた…」

隠れ疲労派のイメージイラスト

元気そうに見えて、実は睡眠負債と疲労が長年溜まっている!

このタイプは一見元気そうですが、寝つきがいいのは、睡眠負債が溜まっているサインです。短時間睡眠でぱっと目覚めるのは、睡眠深度が浅いためで、心身が十分に休まっていないから。このタイプの人は、交感神経が過剰に働いているので、疲れているという自覚がありません。何ごともてきぱきとスピーディーにこなす働き盛りのビジネスパーソンや、家事も育児も手抜きをせず長年まじめにがんばってきた主婦に多いタイプです。

POINT|隠れ疲労に気付かないとメタボや過労死のリスクが!

  • 交感神経が過剰反応しているため、血圧や心拍数が高く、心筋梗塞や脳卒中などで過労死する危険性あり。
  • 睡眠深度が浅いと、睡眠中のリラックス反応が起きにくいので、血糖値、中性脂肪値、体重が増加しやすく、メタボ体型になりやすい傾向あり。
  • 大きな節目を越えた後などに、燃え尽きたような状態になって、うつ病になる可能性あり。
  • アルツハイマー病の一因といわれる脳の​老廃物・アミロイドβは睡眠中に排出が増えるので、睡眠不足が続くと老廃物が溜まって​アルツハイマーのリスクが高まる。

タイプD
寝つきが悪く、起きられない「ダラダラお疲れ派」

「夜になると頭が冴えて寝つけないから、つい夜更かししてスマホを見たり、ゲームを長時間したり…。朝は起きられず、ムリに起きると吐き気がする。昼過ぎまでだるいままダラダラ…。電車に乗ると寝過ごしてしまうし、休日は二度寝して寝坊するけど、起きてもシャキッとしない」

ダラダラお疲れ派のイメージイラスト

交感神経のスイッチが入りにくく、日中はずっとだるい

このタイプは、起床すべき時刻になっても交感神経のスイッチが入りにくいため、ダラダラ寝てしまい、なかなか起きられません。体内時計が後ろにずれやすく、日中はずっとぼーっとしていますが、夕方から夜にかけてようやく交感神経のスイッチが入るので、寝つきが悪くなるのです。

POINT|「気合が足りない」と責めるのはNG!

  • 寝つきが悪く、起きられない体内時計がずれた昼夜逆転生活から、不登校や引きこもりになってしまう可能性もある。
  • 起きられないからといって二度寝すると、片頭痛の引き金になることがある。
  • 睡眠と覚醒をコントロールする睡眠中枢と体内時計のリズムがかみあっていないと、動きたくても身体が動かないので、「気合が足りない」と精神論で追い込むのはNG。

溜まった睡眠負債を解消しよう!
タイプ別 快眠セルフケア術

「思い込み不眠派」におすすめ快眠ケア

寝室のイメージ

  • 「こうすれば眠れるはず」という入眠儀式がかえってストレスになるのでやめる。
  • 時計を気にすると眠れなくなるので、寝室に時計を置かない。
  • 普段しない料理やスポーツに取り組んだり、いつもなら読まない本を読むなど、日中にあまりし慣れないことをあえてしてみると、脳と身体が適度に疲れて自然に眠りやすくなる。
  • 眠ろうとムリにがんばっても眠れない。眠くなるまで布団に入らず、朝は決まった時間に起きるようにすると、睡眠不足になり、夜になると自然と眠くなる。

「ストレス不眠派」におすすめ快眠ケア

ハーブティのイメージ

  • 寝る前に過ぎたことをクヨクヨ後悔したり、先回りしてあれこれ気をもんだりするストレスの予習・復習をしないように心がける。
  • リラックス効果があり、ストレス性胃炎などにも役立つジャーマンカモミールにパッションフラワーをブレンドしたハーブティがおすすめ。
  • ラベンダーやスイートオレンジ、ゼラニウム、ネロリ、ローマンカモミールなどリラックス系の精油を、少量だけ粗塩に混ぜて浴槽に入れたアロマバスに浸かると、ストレス緩和に役立つ。芳香浴をするときも、ディフューザーなどを使わず、穏やかに精油を揮発させるのがポイント。

「隠れ疲労派」におすすめ快眠ケア

浴槽のイメージ

  • 寝際にスマホなどを見ると交感神経がますます活性化するので、寝室に情報機器は持ち込まない。
  • 睡眠深度が浅くなるので、寝る前にタバコを吸わない。カフェインの覚醒作用は5~6時間続くので、コーヒー、栄養ドリンク、チョコレートなどは夕方以降摂らないようにする。
  • 夕方以降に飲むなら、リラクゼーション効果のあるレモンバーベナをベースにリンデンをブレンドしたハーブティがおすすめ。
  • 森林浴と同様のリラックス効果のあるヒノキやサイプレス、シダーウッド、サンダルウッド、クロモジなど、樹木系の精油をぬるめのお風呂に垂らして、いつもより長めに浴槽に浸かるのもおすすめ。

「ダラダラお疲れ派」におすすめ快眠ケア

窓辺のイメージ

  • 体内時計は光でリセットされるので、朝の光を毎日30分浴びる。カーテンを開けて寝るとよい。
  • 夜に明るい光にさらされると、体内時計が後ろにずれるので、電灯の明るいコンビニなどに立ち寄らない。夜は室内を間接照明にする。電球は暖色系の色がおすすめ。
  • スマホやパソコンなどのブルーライトも寝つきを下げるので、長く見ざるを得ないときはブルーライトカットの眼鏡を使う。
  • 交感神経を朝からオンにするために、午前中から遊園地に行くなど気分が高揚する予定を入れてみる。
  • 休日に二度寝しそうになっても、いったん起きて、朝食を摂り、少し動いてから寝たほうが、体内時計がずれない。
  • 眠気の残っている朝は、交感神経を刺激するペパーミント、レモングラス、ローズヒップなどのハーブティや、酸味のある柑橘系ジュースがおすすめ。
  • リフレッシュ効果のあるローズマリーやティートリーの精油を、シャワーを浴びるとき床に垂らしたり、おしぼりに染み込ませて首元にあてたりすると、気持ちがシャキッとする。

秋の夜長は、ぐっすり眠って日ごろの疲れを癒すのに最適です。質のよい眠りをたっぷりとるセルフケアによって、溜まった睡眠負債を解消しましょう。

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