養命酒ライフスタイルマガジン

生薬ものしり事典

生薬ものしり辞典 41
葛根湯にも配合されている「大棗(タイソウ)」

今回の「生薬ものしり事典」は、過去にご紹介した生薬百選より「大棗(タイソウ)」をピックアップしました。

緊張緩和や腹痛に役立つ生薬

大棗とは、「棗(ナツメ)」の熟した実を乾燥した生薬です。棗は古来より中国で、五果=「桃・栗・杏(アンズ)・李(スモモ)・棗」のひとつとして珍重されてきました。日本には奈良時代頃に渡来したといわれており、『万葉集』や『延喜式』にもその名が出てきます。
棗は、韓国の薬膳料理サムゲタン(参鶏湯)にも使われています。棗の熟した実は甘酸っぱく、少しりんごに似た味がするため、ジャムやお菓子の材料などにも利用されています。
しかし、棗の葉には、甘味を感じなくさせる成分ジジフィン(Ziziphin)が含まれているので、棗の葉をよく噛んでから砂糖をなめると、砂粒をなめているように感じます。この効果は30分ほど続くので、棗を食べるときにぜひ一度試してみてください。

棗

棗を乾燥させた大棗の有効性分は、糖類、有機酸、トリテルペン、サポニン、ベンジルアルコール配糖体などです。主な薬効は、緊張の緩和、強壮、鎮静、利尿、滋養、補血などで、筋肉の急な緊張による疼痛をやわらげ、神経過敏を静め、咳、腹痛などの痛みを緩和します。
東洋医学では、最もポピュラーな処方のひとつである「葛根湯(かっこんとう)」や「桂枝湯(けいしとう)」にも配合される重要な生薬として知られています。

大棗
大棗