養命酒ライフスタイルマガジン

生薬ものしり事典

生薬ものしり辞典 39
ハーブティーでおなじみの「カモミール」

今回の「生薬ものしり事典」は、過去にご紹介した生薬百選より「カモミール」をピックアップしました。

リラックス効果が高く安眠にも一役

カモミールはヨーロッパ原産のキク科の薬用植物で、古くから薬として使われており、ハーブティーをはじめ、アロマテラピーなどのリラクゼ—ションに広く利用されています。江戸時代にポルトガルやオランダから日本に持ち込まれたカモミールは、オランダ語由来の和名「カミツレ」という名でも知られています。「Chamomile」(カモミール)の語源は、ギリシャ語で「地上のリンゴ」に由来するといわれ、実際にカモミールの花からは爽やかなリンゴの果実の芳香が漂ってきます。

ジャーマンカモミール(5月下旬)
ジャーマンカモミール(5月下旬)

カモミールと呼ばれる植物は、「ジャーマンカモミール」と「ローマンカモミール」の2種類に大別できますが、分類上は属が異なります。一般的に知られるカモミールはジャーマンで、日本でいうカミツレもジャーマンカモミールを指しています。ジャーマンカモミールは5~6月頃に開花し、写真のように白い可憐な小花を咲かせます。「苦難に耐えて・苦難の中での力」という花言葉を持つように、そのかわいらしい花にはパワフルな薬効が秘められています。


乾燥させたジャーマンカモミールの頭状花

薬用部位としては、頭花を用います。主な成分として、ビザボロールやカマズレンなどの精油、フラボノイド類、クマリンなどが含まれています。神経系や消化管の優れた弛緩剤であり、消化管の不調、特にストレスや緊張による不調を軽減することが知られています。また抗炎症作用があることから、スキンケア用品にも利用されています。

カモミールティーも、頭花を使用します。フレッシュな花のままでも、乾燥花を使っても、リンゴのような独特の甘い香りとマイルドな風味を楽しめます。ノンカフェインで胃腸に優しく、リラックス効果も高いので、就寝前に飲むと安眠できるといわれています。