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  • 【2009年5月号】生薬百選 62 車前草(しゃぜんそう)・車前子(しゃぜんし)

生薬百選62
車前草(しゃぜんそう)・車前子(しゃぜんし)

皆さんオオバコが生薬になることはご存知でしょうか?オオバコといえば私たちの身近に生える代表的な雑草・・・というイメージがありませんか?今回はそんなオオバコに関する話です。

オオバコ 群生
オオバコ 群生

オオバコ
オオバコ

オオバコは和名を「大葉子」と書き、これは大きな葉を持つためと言われています。人や車に踏みつけられても絶えることなく逞しく生存していることから、踏み跡植物とか轍(わだち)草と言われたりもします。また、オオバコの場合は人や車に踏みつけられるような環境でなければ他の植物の競合に負け、生きていけないそうです。種子からは粘液が出て、それが人や車の足に付いて遠くへ運ばれ繁殖します。

車前草
車前草
オオバコ Plantago asiatica Linne
(Plantaginaceae)の花期の全草

車前子
車前子
オオバコ Plantago asiatica Linne
(Plantaginaceae)の種子

このようなオオバコですが、全草も種も古くから身近な生薬として利用されてきました。全草を「車前草」、そして種子を「車前子」と言い、ともに去痰、鎮咳及び利尿薬として用いられ、幾つかの漢方処方にも配合されています。
「車前草」の主要な成分はプランタギニンというフラボノドイドで、鎮咳作用が報告されています。また、「車前子」にはプランタサン及びプランタゴ-ムチラゲA等の粘液性の多糖類やアウクビンというイリドイドが含まれています。
アスファルトばかりで地面のない都会では難しいかもしれませんが、オオバコは私たちの最も身近な植物の一つなので、是非探してみてください。

林 克彦(養命酒中央研究所・商品開発グループ チームリーダー)