胃腸が冷えると、免疫力が低下する!? インフルエンザや花粉症の予防に、胃腸の温めがおすすめな理由。

胃腸が冷えると、免疫力が低下する!?
インフルエンザや花粉症の予防に、
胃腸の温めがおすすめな理由。

■監修

予約の取れない漢方医木村容子先生

東京女子医科大学附属東洋医学研究所副所長
2002年より東京女子医科大学附属東洋医学研究所に勤務。
医学博士。日本内科学会認定医。日本東洋医学会専門医・指導医。

[写真]木村容子先生

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今すぐチェック!胃腸冷えのサイン

6個以上チェックがついた人は、胃腸が冷えている可能性があります。
今すぐ温めを実践しましょう!

Check!

実感はないけど… 2割弱の女性が“隠れ胃腸冷え”

胃腸が冷えていると現れやすい症状であてはまった症状の数のグラフ

胃腸冷えを自覚していないと回答した人でも、上記のチェックリストで胃腸冷えのサインに
6個以上あてはまった人は、全体で11.4%。
中でも女性は17.4%で、2割弱の人が“隠れ胃腸冷え”と見ることができます。

みんなはどう??“胃腸冷え”に関する1,000人の調査結果はこちら

“胃腸冷え”は免疫力を低下させる!?
インフルエンザ対策にも

かぜやインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症が気になる季節です。
こうした感染症に、毎年もれなくかかってしまうという人は、免疫力が低下しているかもしれません。

免疫力とは、外部から体内に侵入しようとする病原菌やウイルスなどから体を守る防衛力のことです。
東洋医学では、胃腸が免疫力にかかわる臓器であり、胃腸が冷えると免疫力が低下すると考えられています。

胃腸が冷えると、生命活動を営むエネルギーである「気」が不足。
免疫系の働きを悪くし、かぜなどの感染症にかかりやすくなったり、
花粉症などのアレルギー疾患を引き起こしたりするのです。

実際に、漢方におけるアレルギー疾患の治療では、胃腸の温めが基本であり、
花粉症や子どものアトピーの改善には、胃腸を温める漢方薬が活用されています。

コラム

ノーベル賞につながる
古くて新しい東洋医学の知恵
2011年のノーベル生理学・医学賞は、免疫システムを支える「自然免疫」と「獲得免疫」に関する研究に贈られました。実はこの2つの免疫システムの考え方は、2000年前の東洋医学の書物『黄帝内経(こうていだいけい)』で「気」の働きとして著されていたのです。
生まれつきもっている自然免疫に当たるものが「衛気(えき)」、抗原に接することで身につく獲得免疫に当たるものが「営気(えいき)」で、その働きについても最先端の研究に通じるものとなっています。

平熱が35℃台の人は要注意!

冷えが免疫力の低下につながるのは西洋医学でもいわれていることです。
人間の体の免疫機能は、深部体温が37℃前後で最もよく働くようにできています。

深部体温とは、胃腸を含む重要臓器の温度のことで、私たちが通常測る体温とは異なりますが、
平熱が35℃台やそれを下回る人は、深部体温が37℃以下の可能性が。

体温の低さは、免疫力の低さにつながります。
深部体温が冷えているかどうか、平熱をチェックしてみましょう。

ヨーグルトを食べても腸内環境が整わない!?
そんな時は、胃腸の温めを実践。

人体最大の免疫器官として腸に注目が集まっている昨今、
腸内環境を整えるために乳酸菌や発酵食品を積極的に摂っている人も多いでしょう。

しかし、体温が低いと胃腸の働きが悪くなるので、実際には体によい物を食べても活かされにくいといえます。
健康の土台づくりとして、胃腸の温めを実践していきましょう。

たくさん食べられない、
そんな人におすすめの温め法

冷えた胃腸は内側から温めるのが一番です。

しかし、年齢と共に胃腸そのものの機能が低下するため、
食べ物からうまく栄養を吸収できなくなってしまうことも。
食事の量も自然と減っていきます。

そこで活用したいのが生薬です。
例えば、しょうがなどの温め食材も、生薬として加工された物であれば、
少ない量で効率よく摂ることができます。

特に生薬を浸け込んだ薬酒は、手軽に取り入れやすいのでおすすめです。

ヨーグルトで乳酸菌を積極的に摂っているけれど、胃腸の調子が一向に
よくならないという人は、生薬や薬酒の力を活用してみてはいかがでしょうか。

腹巻もおすすめ

胃腸は内側から温めると共に、外側から冷やさないことも大切です。

そこで活用したいのが、腹巻き。
胃腸などの内臓が集まるお腹周りを温めることで、深部体温のアップが期待できます。

近年ではシルク素材や薄手タイプの腹巻きも登場。
寝る時だけでなく1日中着用することも可能です。

コラム

食前に飲む薬酒の効果
食前酒は胃腸の働きを高め、低下した食欲を改善。リラックス効果もあるのでおすすめです。少量のお酒には、体を温める効果もあります。「薬酒」は生薬をお酒に漬け、薬効を抽出したもの。「お酒+生薬」の効果が期待できます。ニンジン、ケイヒ、ウコン、チョウジなどの気を補ったり、または巡りをよくする生薬は、食前酒に最適です。
  • 人参(ニンジン)

    オタネニンジンの根。胃腸の消化機能の活性化などに有効。

  • 桂皮(ケイヒ)

    ケイの木の樹皮。健胃薬として食欲不振などに用いられる。

  • 鬱金(ウコン)

    血行を整え、新陳代謝を促進して体の機能を整える。

  • 丁子(チョウジ)

    スパイスとして知られる。殺菌作用があり、消化促進にも有効。