HOME > 名言集 > 【2006年11月号】「今はまだ駄目だけれど、いずれ」と絶対に言わないこと。


名言集


「今はまだ駄目だけれど、いずれ」と絶対に言わないこと。「いずれ」なんて言う人は、現在の自分に責任をもっていないのだ。



真なる芸術家の爆発人生


高度成長期の「宴たけなわ」を象徴した大阪万博。博覧会場には、異形の塔がそびえ立ちました。岡本太郎作「太陽の塔」です。太郎は漫画家の父、一平と小説家の母、かの子の間に生まれました。1929年に渡欧。青春時代をパリで過ごし、前衛芸術運動に参加します。世界人でありたい、と心に刻み帰国すると、そこには凝り固まった官僚的な価値観が支配しており、愕然とする太郎。その失念は創作意欲を点火させ、次々と物議を醸す作品を送り出していきました。 「太陽の塔」は、進歩万歳、そしてこれからも続く繁栄万歳、と浮かれている世相に対し「現代の惰性への激しい挑みとして」太郎が作ったモニュメントです。その後テレビにも顔を出すようになり、「芸術はバクハツだ!」のセリフは流行語にまでなりました。



未来でも過去でもなく、意識すべきは「今」


そんなテレビでの太郎を見て「変わり者のお爺さん」という印象を抱いた人も多いはず。ですが、彼が書き記したものや発言をよくよく見ると、非常に理路整然としていて一本筋が通っています。そのキーワードは「今」。あるとき、太郎はインタビューで「あなたの職業は一体何ですか?」と聞かれた際、「人間だ」と答え、再度問われたら「人間。全存在として“今”を猛烈に生きる人間だ」と答えたそうです。 また「“今”を生きることは辛いこと。その辛さから逃げるようにして“懐古主義”や“いずれ”に走りたくなる。それは駄目だ」と言い放ちました。老いてもなお、エネルギーの塊となって人生を駆け抜けた岡本太郎。皆さん「今」を、生きましょう。