HOME > 名言集 > 【2006年1月号】「いざ」より「いま」に備えよ。


名言集


「いざ」より「いま」に備えよ。



ひばりなくして昭和に光なし


図抜けた才能が世に出てくると、最初は周囲が拒否反応を起こすものです。昭和を彩った天才エンターテイナー、美空ひばりさんも例外ではありませんでした。弱冠9歳でデビューしたものの、子供らしからぬ歌唱能力が反感の的になりました。しかし49年、初主演映画『悲しき口笛』の同名テーマ曲が空前の大ヒット。周囲の騒音を実力でシャットアウトします。演歌や歌謡曲、そこにブルースやジャズ、マンボなどのエッセンスを大胆に取り入れて歌いこなし、ヒット曲を連発。その歌唱力は折り紙つきで、NHK紅白歌合戦のリハーサル中には他の出演歌手たちが彼女の歌を聴きたいがため、客席に陣取っていたほど。しかし「到底あの人と同じ舞台に立つ実力を自分は持ってない」と感じ、皆すごすごと席を立ったそうです。同業者に即座に「負け」を認めさせるほどのパワーを常に発散していました。



「今」が充実すれば、それが「明日」の備えとなる


「いまに備える」という言葉は、厳密にいえば矛盾していますが、ひばりさんにとっては、毎日が本番でした。明日のステージを考えながら今日のステージをこなすことなどできない。そのような「今」を一番大切にする姿勢、さらに「今」が充実すれば、それが自然と「明日」の備えになるという考えが、この名言には込められていると思います。ひばりさんが皆から愛された理由も、きっとこのあたりにあるのではないでしょうか。さて、昭和を疾駆したもうひとりのスターも、「いま」の大切さを表した名言を遺しています。最後はその名言で締めてみましょう。「人生の目標なんて考えちゃいけねえ。『今』を生きろ。後を気にしていたら真剣勝負はできねえぞ」 by 勝新太郎