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生活習慣の雑学

「手洗いやマスク着用習慣の起源は?」「長年の生活習慣を変えるコツとは?」「日本と世界の生活習慣のギャップに注意!」——今月は生活習慣に関する雑学をご紹介します。


手洗い習慣やマスク着用の起源は?

「外から帰ったらまず手を洗う」「外出時はマスクをする」——今は世界中の多くの人たちがこうした生活習慣を実践しています。厚生労働省が2020年5月に発表した「新しい生活様式」でも、感染防止の基本として手洗いやマスク着用が推奨されています。そもそも日本ではコロナ禍以前から手洗いやマスク着用が根付いているので、あまり違和感がないかもしれません。
しかし、日本で手洗い習慣が一般化したのは、戦後になってからのこと。学校教育で手洗いを励行される以前は、赤痢などの感染症が多かったといわれています。世界的に見ても、手洗いが一般化するのは近代以降です。19世紀半ばに世界で初めて手洗いの大切さを訴えたのは、ゼンメルワイスというハンガリー出身の医師でした。今でこそ彼は「手洗いの父」「消毒の父」などと呼ばれていますが、当時は医学界で全否定され、19世紀後半になってようやく手洗い消毒が医療現場に普及しました。それまでは医師ですら手洗い習慣がなかったのです。
一方、マスクの歴史は古く、一説では紀元前のギリシアの鉱山労働者が防塵用にヤギの膀胱で顔を覆ったのが起源といわれています。日本では明治時代に炭鉱や工場用の防塵マスクが使われていましたが、一般に普及したのは1918年のスペイン風邪の流行がきっかけでした。その後も感染症がはやる度にマスクによる予防意識が高まり、今では生活に欠かせないものになっています。人々に広く普及している生活習慣の中には、私たちが身を守るための知恵が詰まっているのです。


マスク


長年の生活習慣を変えるコツとは?

糖尿病や高血圧、心疾患などの病気を総称して「生活習慣病」というのは広く知られていますが、この言葉が生まれたのは1996年。それまでは「成人病」といわれていました。厚生労働省が成人病を生活習慣病と改称したのは、いずれの病気も生活習慣が原因になっているからです。特に、生活習慣病に大きな影響を与えているのは食生活です。過去約30年間で肉類や脂質の多い欧米型の食事が増えており、それに伴って生活習慣病も増加しています。また、ITが普及してデスクワークが増えたことも生活習慣病の増加の一因といわれています。世界保健機関(WHO)のデータでは日本人の3人に1人が運動不足とされています。
生活習慣病を予防するには、こうした食事や運動といった生活習慣を見直す必要があります。しかし、長年の生活習慣は一朝一夕には変わりません。「頑張ってダイエットしたけど挫折してリバウンドしてしまった」「張り切って筋トレを始めたけど、三日坊主で終わってしまった」という人も多いのではないでしょうか?
英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究によると、96人の被験者にジョギングや筋トレなどの選択肢の中から未経験の行動を1つ選んでもらい、それを毎日継続して習慣化できるかを実験したそうです。その結果、被験者が習慣化するのに要した平均値は約66日間でした。つまり、人は約2ヶ月間がんばれば、新しいことを習慣化できるということです。生活習慣を見直すには、まず2ヶ月続けることを目標にしてみてはいかがでしょう?


日本と世界の生活習慣のギャップに注意!

日本では当たり前の生活習慣でも、他国ではタブーな習慣であることが多々あります。例えば、日本では人前で音をたてて鼻をかむのをはばかって、鼻をそっとすすって我慢したりしますが、欧米では鼻をすすること自体がマナー違反です。逆に人前で「ブーッ」と大きな音をたてて鼻をかむのはOKです。また、日本では子どもをほめたりかわいがったりする時に頭をなでる習慣がありますが、タイなどのアジア諸国では、頭は神聖な部位なので、むやみに触れるのはご法度です。
ビジネスの場でも、さまざまな習慣の違いがあります。日本では目上の人の前で足を組むのは遠慮しますが、欧米ではマナー違反ではありません。また、日本では考える時などに腕組みをする習慣がありますが、欧米では敵意があるとみなされるので注意しましょう。食事の場でも、和食は器を手に持っていただくのが礼儀ですが、欧米や韓国では器を持ち上げるのはマナー違反です。また、食後などにガムをかむのが習慣という人もいると思いますが、シンガポールではガムを持ち込むこと自体が禁止されています。グローバル化しているとはいえ、生活習慣は多様に異なるので、郷に入れば郷に従う柔軟性が大切ですね。