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眠りの雑学

「音がまったくしない部屋だと熟睡できる?」「立ち眠りや逆さ眠り——動物たちのユニークな寝相」「催眠術にかかりやすい人とかかりにくい人の違いとは?」——今月は眠りの雑学をお届け!


音がまったくしない部屋だと熟睡できる?

眠りが浅いと、ドアを開け閉めするようなちょっとしたノイズでも眠りの妨げになります。だからといってノイズがまったくしない無音の部屋で過ごすと、かえって緊張が高まって覚醒してしまうという研究報告もあります。ノイズとひとことで言っても、雑踏の喧騒や工事音のような不快なノイズと、雨音や波音、川のせせらぎのような自然の快いノイズがあります。自然音には完全に規則的ではない「1/fのゆらぎ」と呼ばれる心地よいリズムがあり、雨音のような自然音を聞くと、脳波がα波になってリラックスするため、眠気を催すといわれています。
動画サイトでは、1/fのゆらぎをはじめ、不眠解消用のさまざまなBGV(バックグラウンドビデオ)が見られますが、そうした中で、528Hz(ヘルツ)の周波数の音を流した動画が近年話題を呼んでいます。それらはDNA研究者レオナルド・ホロヴィッツ博士が唱えたソルフェジオ周波数の理論がベースになっているといわれ、グレゴリオ聖歌やビートルズの曲にも無意識に心地よく感じるソルフェジオ周波数が使われているのだとか。ソルフェジオ周波数の中でも癒し効果が高いといわれる528Hz は “愛の周波数”とも呼ばれ、この周波数を含む演奏を集めたCDが2015年日本レコード大賞企画賞を受賞しています。音楽は好みが分かれるので万人に効くとはいえませんが、何をしても眠れない時は、リラックスできるBGMを試してみてはいかがでしょう。


立ち眠りや逆さ眠り——動物たちのユニークな寝相

サバンナで生きる野生動物は、いつ敵がやって来るともしれないので、おちおち寝ていられません。例えばキリンは、まるで通勤列車の窓辺にもたれて仮眠をとるサラリーマンのように、立ったまま樹木に軽くもたれて眠ります。しかし、外敵の心配がない動物園のキリンの寝姿は、びっくりするほどゆるんでいます。地面にペタンと座り込み、ヘビがとぐろを巻くように長い首をぐるんとひねり、自分のお尻を枕代わりにして眠るのです。キリンは睡眠時間がとても短いので、もし動物園でそんなリラックスしたキリンの寝姿を目撃できたらラッキーですね。
夜行性のコウモリは、外敵に狙われるリスクの少ない洞窟の天井をねぐらにしています。その寝姿は、起きている時同様、真っ逆さまにぶら下がるスタイルです。「寝ている間にうっかり足を離して落下しないの?」と心配になりますが、どんなに熟睡しても、コウモリはぶら下がったまま落ちないといわれています。なぜなら、一度何かにぶら下がると、コウモリの足はのこぎり刃のような形の腱でがっちりロックしたようになるので、逆さポーズでも平気なのです。ヨガブームの昨今、空中ヨガで逆さにぶら下がるコウモリポーズが意外と心地よいと注目されていますが、コウモリ気分を味わってみたい人はぜひお試しを。


催眠術にかかりやすい人とかかりにくい人の違いとは?

「催眠」というと、催眠術師に操られているようなイメージを抱かれるかもしれませんが、電車の中でウトウトするのに近い状態といえます。催眠状態の時は意識が狭くなって、覚醒時のような判断ができなくなり、暗示を受けやすくなります。そうした状態を利用して心理的な悩みを改善する方法を「催眠療法」といい、テレビ番組などで娯楽として見せるのは、「ショー催眠」や「舞台催眠」と呼ばれます。「催眠術」は、18世紀のドイツの医師メスメルが考案した医学療法が元になっている「ヒプノシス(hypnosis)」の翻訳語です。日本では明治末期に催眠術が大流行し、悪用を防ぐために法的規制が入ったこともありました。昭和50年代にはマジシャンの初代・引田天功さんの催眠術がテレビ番組でブームになったことから、マジックの一種と捉えている人が少なくないようです。
催眠術は誰でも等しくかかるわけではありません。諸説ありますが、一般に催眠術にかかりやすい人は、暗示にかかりやすい人です。素直で感受性や想像力が豊かで、集中力のある人は暗示にかかりやすく、逆に、疑い深く、想像するのが苦手で、集中力散漫な人は、暗示にかかりにくいといわれています。米スタンフォード大学医学部の研究報告によると、大人の5人に1人は催眠術にまったくかからず、12歳までの児童の5人中4人は催眠術にかかりやすいそう。催眠と脳の関係は未解明なことが多いようですが、心身の治療に役立てる研究が進むといいですね。


催眠術