HOME > 健康の雑学 >  【2017年6月号】 コーヒーの雑学

コーヒーの雑学

コーヒーは悪魔の飲みものだった?!「カフェ・オ・レ」「カフェ・ラッテ」「カプチーノ」の違いとは?サードウェーブコーヒーのルーツって?——今月はコーヒーの雑学をお届け!


コーヒーは「悪魔の飲みもの」だった?!


コーヒーの起源には諸説ありますが、そのひとつとして知られるのが、エチオピア説。山羊飼い少年カルディは、牧場の山羊たちがコーヒーの赤い実を食べると元気になることに驚き、修道士にそのことを告げました。以来、修道士は夜の長い祈りの時の眠気覚ましとしてコーヒーを口にするようになったそうです。
もうひとつ有名なのが、アラビア説。イスラム教の若い僧オマールがイエメンで病に伏していた王女を祈祷で救ったところ、王様に嫉妬されて山に追放されてしまいました。空腹に耐えかねた僧が、山中で鳥が食べていた赤いコーヒーの実を煎じて飲むと、みるみる元気になったことから、コーヒーが秘薬として広まったという説です。イスラム圏では、アルコールは心を惑わすものとして禁じられていることもあり、コーヒーが熱狂的に愛飲されたようです。
やがてコーヒーはヨーロッパに伝わりましたが、キリスト教圏ではイスラム伝来のコーヒーは「悪魔の飲みもの」と敬遠されました。しかし、ローマ教皇クレメンス8世がコーヒーの美味しさに惚れ込み、コーヒーに洗礼まで受けさせて容認したことから、ヨーロッパ中に大流行したといわれています。今やコーヒーの消費量はヨーロッパ諸国が世界全体の約3分の1(ICO統計2016年より)を占めていますが、もし時のローマ教皇がコーヒー党でなかったら、コーヒー文化の歴史は今と全然違うものになっていたかもしれません。


「カフェ・オ・レ」と「カフェ・ラッテ」と「カプチーノ」の違いとは?


「カフェ・オ・レ」


カフェメニューでもおなじみの「カフェ・オ・レ(Café Au Lait)」と「カフェ・ラッテ(Café Latte)」は、一見よく似ていますが、実は別ものです。カフェ・オ・レの「レ」はフランス語でミルク(牛乳)、カフェ・ラッテの「ラッテ」もイタリア語でミルクのことなので、どちらもミルク入りコーヒーを意味します。しかし、前者には一般的なドリップコーヒーを使うのに対して、後者にはエスプレッソを使います。エスプレッソはイタリア語で「特急」を意味する言葉でもあるように、エスプレッソ・マシンで素早く抽出する非常に濃いコーヒーなので、味も異なってきます。
では、同じイタリアの「カフェ・ラッテ」と「カプチーノ」はどう違うのでしょう?どちらもエスプレッソにミルクを入れたものですが、カフェ・ラッテにはスチームミルク(温めた牛乳)を入れるのに対して、カプチーノにはスチームミルクと泡立てたフォームミルクを入れます。なめらかなフォームミルクの表面には、バリスタ(コーヒーを淹れる専門職)が素早く模様を描くこともあります。昔ながらの日本の喫茶店では、カプチーノにシナモンスティックが添えられていることがありますが、本場イタリアにはまったくない日本独自の風習です。また、イタリアでは食後にカプチーノを飲むことは皆無で、エスプレッソでしめるのが一般的です。


古きよき喫茶店文化から生まれたサードウェーブコーヒー


サードウェーブ


日本にコーヒーが入ってきたのは江戸時代で、オランダ人が長崎の出島経由でもたらしたといわれています。当時の日本人には焙煎したコーヒーが「焦げ臭い」と思われていたようですが、明治の文明開化以降、コーヒーを出すカフェが徐々に増えて庶民に普及していきました。第二次世界大戦時にはコーヒー豆の輸入が途絶えてしまいましたが、干したサツマイモや煎った大豆、ヒエ、トウモロコシ、百合根、チューリップなどがコーヒーの代用品として指定されていたようです。ノンカフェインのコーヒーとして知られる「たんぽぽコーヒー」も、コーヒー豆ではなく焙煎したたんぽぽの根から作られた一種の代用コーヒーです。
戦後の日本では、独自の喫茶店文化が花開き、名店も全国にたくさん生まれました。近年人気のアメリカ発「サードウェーブコーヒー」も、客の目の前でコーヒーをハンドドリップで丁寧に淹れる日本の喫茶店文化の影響を受けたものだといわれています。ちなみにファーストウェーブは19世紀後半のアメリカンコーヒーが普及した時代で、セカンドウェーブはスターバックスに代表される深煎りコーヒーの流行を意味します。日本の古きよき喫茶店文化が、最先端の波に影響を与えているなんて、感慨深いですね。