HOME > 健康の雑学 >  【2015年3月号】 甘味の雑学

甘味の雑学

ギネス認定の世界一甘〜い食べ物って?! 草食VS肉食——甘党なのはどっち?甘くないものも甘〜くする「ミラクルフルーツ」とは? 今月は甘味にまつわる雑学をお届け!


雑学1 ギネスにも認定!世界で1番甘〜い食べものって?


「甘い」とひとことでいっても、甘さの度合いはさまざまですが、ギネスブックには「世界一甘い」と認定された食べ物が掲載されています。その甘さは、なんと砂糖の2000倍とも3000倍ともいわれています。甘味料のステビアは砂糖の約250倍、スクラロースは砂糖の約750倍甘いとされていますが、比べものにならないほどの激甘フードということですね。その正体は、アフリカ産のクズウコン科の植物「タウマトコッカス・ダニエリ」の果実の種に含まれる「タウマチン(ソーマチン)」というタンパク成分です。現地では古来より甘味として用いられてきたようですが、19世紀半ばにイギリスの医師が西欧に持ち込んで広まりました。これを混ぜると苦味を軽減させたり、香味を高める効果もあるため、日本でも1979年に甘味料として認可され、清涼飲料水や乳製品などに使われています。糖ではなくタンパク質が世界一甘いとはなんとも不思議ですが、その謎は今も解明されていないそうです。


雑学2 草食系VS肉食系——甘党なのはどっち?


私たちが甘味をはじめとする味覚を感じるのは、舌の上に味を感じるイボイボの味蕾(みらい)がついており、それがセンサーの役割をはたしているからです。では、動物も人間と同じように甘味を感じるのでしょうか?
一般に、草食動物は、植物に含まれるエネルギー源の糖分を判別するために甘味を感じる味覚を備えているといわれています。しかし、肉のタンパク質や資質をエネルギー源とする肉食動物は糖分の甘味を感じる必要がないので、甘味を感じないようです。身近な犬や猫の場合、味蕾の数が人間の2割以下しかなく、雑食の犬は甘味も多少感じるようですが、猫は甘味を感じるタンパク質が遺伝的にないので、家猫はもちろんライオンやトラなどのネコ科はみな甘党ではありません。


パンダ


ジャイアントパンダは中国語で「大熊猫」と書きますが、パンダも元来は肉食で、環境の変化によって草食化していったようです。主食も糖分が極めて少ない竹であることから、甘味の味覚がないと思われていました。しかし、アメリカの科学誌『PLOS ONE』に掲載された研究報告によると、8頭のパンダに甘い液体と甘くない液体を与えたところ、8頭とも甘い方の液体を飲み、特に「果糖」と「ショ糖」を好んだそうです。甘味を感じるのは、栄養価の高いものを感知する高度な能力で、人間が生き延びた理由の1つともいわれますが、パンダの祖先も自然界で生き延びるために甘味を覚えたのかもしれませんね。ちなみに、上野動物園ではパンダに笹だけでなく、リンゴやきび砂糖入りの特製「パンダ団子」もあげているようです。


雑学3 甘くないものも甘くするミラクルフルーツとは?


レモンや甘味料ゼロのヨーグルトを食べると酸っぱく感じますよね?ところが、「ミラクルフルーツ」と呼ばれる果実を食べると、なぜかどんなに酸っぱいレモンやヨーグルトを口にしても、「甘い!」と感じます。その秘密はミラクルフルーツに含まれる「ミラクリン」と呼ばれるポリフェノールの一種です。ミラクリンを摂取すると、舌に付着したミラクリンが酸っぱい食品に含まれる酸味成分と結合して、味蕾の甘味神経を刺激するため、酸っぱいものも甘いと錯覚するのです。といっても、ミラクリンは酸味を感知する味蕾を麻痺させるわけでも、酸味成分そのものを変化させるわけでもないので、酸味もある程度感じます。
ミラクルフルーツはアカテツ科フルクリコ属に属する植物になる直径2センチほどの赤い果実で、原産地のアフリカでは、酸味の強いヤシのお酒などを飲む前にこの果実を食べる習慣があるそうです。ミラクルフルーツは糖尿病患者さんの食事療法に用いるなど、医療現場での活用も研究されています。ダイエット中の人は、砂糖抜きのスイーツにレモン汁やお酢をかけ、ミラクルフルーツを食べてからいただくと、甘酸っぱいスイーツに早変わりするので、ぜひお試しを。