HOME > 健康の雑学 >  【2012年6月号】 年齢と“節目”の雑学

年齢と“節目”の雑学


日本では屋根に投げる“乳歯”、外国ではどうしている?縄文時代の平均寿命は?「年を取ると1年の経過が早く感じる」理由とは?今月は、年齢と“節目”の雑学をご紹介します。


日本では屋根に投げる“抜けた乳歯”。欧米ではどんな風習が?


今月の特集でも紹介した「女性は7の倍数、男性は8の倍数の年齢を迎える際に、体に変化が生じる」という理論に沿うと、人生最初の「節目年齢」は、女性が7歳、男性が8歳。この時に起きる変化は、歯の生え変わりです。乳歯が抜けて永久歯が生えてくるわけですが、この際、「抜けた乳歯」を皆さんはどうしましたか?

日本では、「上の歯が抜けたら縁の下へ、下の歯が抜けたら屋根の上に放り投げる」風習が伝わっていますが、地域によって「雨垂れが落ちるところに埋める」「便所の屋根に投げる」など細かい違いがあるようです。また、投げる際に発する掛け声にも特色があり、「ネズミの歯よりも強くなれ〜♪」と言ったり、「鬼の歯より先に生えろー♪」「雀の歯と生えくらべ♪雀よりも、はよ生えろ」など、丈夫さと早さを願う気持ちが込められています。

もっとも、最近は集合住宅など屋根も縁の下もない家が増えたため、抜けた乳歯を入れるケースに保存する家庭もあるようですが、こうした“生え変わり”に関する風習は、世界各国にも存在しています。

欧米諸国で一般的なのは、「抜けた歯を枕の下に入れて寝ると“Tooth Fairy(歯の妖精)”が持っていく」という習わしです。しかも、翌朝になって子どもが目を覚まして枕の下をみると、妖精が歯のかわりにコイン(お金)を置いてくれている!!これには子ども達も大喜び。歯が抜ける怖さや歯医者さん嫌いが多少なりとも柔らぐ、粋な計らいといえますが、子どもを起こさずに枕の下の歯をコインに入れ替える作業は、サンタクロース以上のテクニックを要するはずです(笑)。

そこで登場したのが「Tooth Fairy Pillow」。歯を入れる小さなポケットがついた枕で、サンタクロースの靴下のように、ベッドの脇に掛けるタイプのものが主流です。これには妖精も大助かり(?)かもしれませんね。

欧米では他にも、「ネズミの巣穴に落とす」「畑に埋める」、というならわしもあるそうです。また、モンゴルなど犬が守り神とされている地域では「パンなどにくるんで若い犬に食べさせる(!)」といった風習もあるようです。外国人の知り合いがいる方は、ぜひ一度、「乳歯が抜けたとき、どんなことをしたの?」と聞いてみるのも面白そうですね。



今は「人生80年」の時代。縄文時代は人生何年!?


唐突ではありますが、「何歳まで生きたい」と考えたことはありますか?2011年に、養命酒製造が男女計2000人を対象に行ったアンケートでは「80〜89歳」が最も多く、男女ともに半数近い方が、日本人の平均寿命に近い長寿を望んでいることがわかりました。

その平均寿命ですが、2010年の日本人の場合、男性が79.64歳、女性が86.39歳。いわずと知れた長寿国ニッポンですが、長い日本の歴史と比較すると、長寿国になったのは“最近のこと”といえなくもありません。

戦国時代、織田信長が好んで口づさんだといわれる「敦盛(あつもり)」という舞に「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」という一説があります。ここでいう「人間五十年」は、人生が50年ということ。それが当時の平均寿命だったのかというと、実際には50歳に満たなかったという説が多くを占めています。なにしろ明治時代の終わり頃でも、男女ともに平均寿命は44歳ほど。昭和22年の調査で、ようやく男性が50.06歳、女性が53.96歳となり、「人間五十年」が実現しています。

以降、平均寿命は延び続け、1970年代から80年代にかけて世界屈指の長寿国の仲間入りを果たしました。

ちなみに、縄文時代の平均寿命は15歳くらいだったという説もあります。もちろん、台帳などはありません。出土した縄文期のものと思われる人骨から死亡年齢を割り出し、人口統計学に照らし合わせた推定数値です。乳幼児の死亡率は現代よりも格段に高かったと思われますが、この説が本当であれば、かなりの“若い”社会だったといえそうです。



「年を取ると1年の経過が早く感じる」理由とは?


月日が経つ早さを現したことわざといえば「光陰矢の如し」。矢が飛ぶように早いという意味ですが、年齢を重ねるにつれて、1年の経過がどんどん早く感じるようになっていませんか?誕生日や正月など、節目となる日が訪れるたびに「もう1年経つのか。早いなぁ」と感じた経験は誰しもあることでしょう。

一体なぜ、そう感じるようになるのか?それには色々な説がありますが、はっきりしたことは分かっていません。時間生物学と呼ばれる分野では「人間の体の中で時を刻んでいる体内時計のリズムが年齢を重ねるにつれて減速してくるため、時間を早く感じるようになる」という説が有名です。他にも心理学や哲学の分野において、このテーマは長年にわたって研究されてきました。

たとえば「人間が感じる時間の長さは、人生の長さに関係している」という説(ジャネ—の法則)。たとえば6歳の子どもにとっての1年は、これまでの人生の6分の1を占めます。一方、60歳の人にとっての1年は、60分の1です。つまり6歳児が感じる1年(人生の6分の1)は、60歳の人だと10年(人生の6分の1)に匹敵する、それゆえ1年が早く感じるということです。

一方、「ものごとが起きた直後よりも、時間が経ってからのほうが思い出しやすい」という心理法則(レミニセンス現象)があります。つまり、年を重ねると、最近のことよりも昔のことをよく思い出すということ。しかも、若い頃のほうが「初めての体験」が多く、印象的な出来事がたくさん起こります。そんな若かりし頃を思い出す一方で、最近のことはあまり想起せず、印象的な出来事も昔に比べると多くない…記憶の密度の差が「早く感じる」ことにつながるというわけです。みなさんも、「20年前のことは思い出せるのに、20日前のことはよく思い出せない・・・」という経験はありませんか?

もし、この説が正しいとするなら、暮しの中に印象的な出来事を増やすことによって、1年が長く感じられるかもしれません。年齢に関係なく、積極的に新しいことにチャレンジして、充実した日々を送りたいものですね。