HOME > 健康の雑学 > 【2010年1月号】体温の雑学


体温の雑学


冬眠中の動物は体内で何が起きているの?体温にまつわる雑学をお送りいたします。



冬眠中の動物は「代謝」が激減している


人間などの哺乳類や鳥などは、環境によってさほど体温が変化しない「恒温動物」です。その一方で爬虫類など、環境によって体温が変動する「変温動物」もいます。この差は何から生じているのか、ご存知でしょうか。

恒温動物は、体内で熱エネルギーを作り出すことに長けています。つまり「代謝」上手ということ。人間の場合は、体内で作り出されるエネルギーのおよそ3/4が熱に転じ、体温を維持するために使われているほどです。逆に変温動物は、代謝があまり行なわれていません。その分、周囲の気温に大きく左右されることになります。

ただ、恒温動物であっても、代謝を著しく低下させるケースがあります。それが「冬眠」です。熊などの大型哺乳類の場合はさほど代謝が低下せず、冬眠中も数度しか体温は下がりませんが、小動物の場合は顕著です。活動期に比べると代謝量が激減し、外気温と同等程度の体温にまで下がります。

ご承知のとおり人間は、代謝を著しく下げる冬眠のような行動は取れません。冬眠とは逆に、食べて、動いて、それにともなって代謝を上げることが、健康のために必要となるのです。

世界でポピュラーな体温計とは?


体温を知る身近な道具として、体温計があります。この体温計を発明したのは、ガリレオ・ガリレイの同僚でもあったイタリアの医師、サントーリオ。17世紀初頭のことでした。体温計とはすなわち、以前は手を握って「冷たい」「暖かい」など漠然としか判断しなかった体温を数値化しようとした試みです。その後、物理学者の手によって「沸点」と「氷点」の概念が見い出され、現在の温度計に近づいていきました。

ひとえに体温計といっても、現在はいくつかのタイプが存在します。日本でもっともポピュラーなのは、脇に挟んで使用する腋下体温計です。これは、公共の場所などで図りやすい点や、衛生面を保持しつつ多数を対象に利用できるメリットがありますが、その一方でしっかり脇に挟みこんでいなかったり、十分に脇の汗をふきとっていないと正確な数値に近づかない、という点もあります。

実は、世界に目を向けると「わきの下で測る」のは少数派なんだとか。では、多いのは何かというと、口に入れて使用する舌下体温計、さらには直腸に挿入して検温する直腸体温計です。

舌下タイプは、舌の裏側に体温計を挟む手法を取ります。直腸タイプは肛門に挿入して検温するもので、乳幼児や全身麻酔を施した手術中の患者の体温を測るときなどにも活用されています。

舌下や直腸のほうが脇よりも体内に近いため、一般的に脇で測るよりも高めの体温になることが特徴です。ちなみに、直腸タイプが普及している外国などでは、それこそ歯ブラシのように「自分用」の体温計を持っているケースも多いそうです。

最近では、耳の鼓膜で体温を測る温度計も出回っています。人間の体温は、自らの健康状態を知るバロメーターです。ぜひともこまめにチェックして、健康管理の一助としてみてはいかがでしょう。