HOME > 健康の雑学 > 【2007年9月号】じつは漢方!?健康・元気と「カレー」の力



じつは漢方!?健康・元気と「カレー」の力


世界各国で食され、日本人にも愛され続けている料理といえばカレー。近頃では「健康食」といった側面もクローズアップされ、特に「夏の料理」として食卓に上ることも増えているようです。カレーには一体どんなパワーが備わっているのか、さっそく雑学を交えてご紹介しましょう。



その日の体調によってスパイスを調合するインドの民



カレーといえば皆さん「辛い食べ物」という印象が強いと思いますが、ルーツを辿るとインドなどでは「スパイスを混ぜ合わせた汁」という意味合いでした。
というのも、インドには「コショウ」や「ジンジャー」はあったものの、今でいうところの「辛さ」を演出する代表的スパイス「唐辛子」はありませんでした。
唐辛子は中南米原産だったため、世界に広まったのは16世紀の大航海時代後になってからです。逆にコショウなども大航海時代の到来によって世界に広まりました。食材やスパイスが行き来し始めた時代は「料理の革命」時代でもあったわけです。
ちなみにイギリスは長い船旅でも腐らぬよう、スパイスを乾かして粉末にして持ち帰りました。これがいわゆる「カレー粉」の起源です。


日本人とカレーが出会ったのは幕末になってから。お札の肖像として有名な福沢諭吉が翻訳した辞書の中に登場したのが、もっとも古い記録だとされています。
実際のカレーは横浜などに駐留していたイギリス人から広まり、明治以降普及しました。当初はカレーの定番といえるジャガイモ、人参などの具材は用いないことも多かったとか。小麦粉で「とろみ」をつけるイギリス式カレー調理法だけは当初から実践されていたようです。
「少年よ、大志を抱け」という言葉を残したクラーク博士は、農学校での食事メニューにカレーを取り入れ、海軍も毎週金曜日をカレーの日とし、日常的に食べていました。海軍でのカレー採用は、長期的な航海により忘れがちなる曜日の間隔を取り戻すためだともいわれています。


話を少し元に戻すと、カレーはすなわち「スパイスの混合物」です。カレーの代表的なスパイス「ターメリック」の和名は漢方としてもお馴染みの「ウコン」。その他「クミン」「コショウ」「コリアンダー」「カルダモン」などのスパイスも、古くからインドの伝統医学「アーユルヴェーダ」などの医学的見地から使われてきたものばかり。
実際、今でもインドの人々は各家庭に複数のスパイスを常備し、家族の体調やその日の天候などで配合するスパイスを変え、石臼でひいて水でとき、カレーを作ります。中国でいうところの「医食同源」の考え方がカレーにも備わっているといえるでしょう。


では、「カレーが健康維持にいい」といわれるゆえんとは何なのか?
まずは不足しがちな野菜を摂取しやすい点があります。煮込むことで野菜がカレールゥに溶け、ボリュームが減るのでたくさん食べられる。そして、溶けたビタミンCもカレーと一緒に摂取できます。


次に、混合されているスパイスに「胃腸の動きを整え、カラダを温める効果」があること。
夏場は冷房などで冷えがちになりますが、身体を温めて新陳代謝を促す効果が期待できるカレーを積極的に食べたいところです。


さらに、カレーは「辛い」ことはあっても「しょっぱい」料理ではありません。スパイスの刺激ゆえ、塩や砂糖を過度に取り入れなくても、食事として満足感を覚えます。血圧をむやみに上げることがない低塩料理といえるでしょう。
さらに辛いものは食欲増進効果が期待できるとともに、ある程度食べると「満腹感」を得やすい利点があるため、先ほど述べた「新陳代謝を促す」効果と相まって、減量効果も期待できるというわけです。


カレーが世界各国で独自の発展を遂げてきたのも、美味しさや手軽さだけでなく、こうした効果が暗に認められているからかもしれませんね。カレーを食べて、日々元気に過ごしましょう!