HOME > 健康の雑学 > 【2007年8月号】夏バテ対策に「酢」のチカラ!



夏バテ対策に「酢」のチカラ!


「酒は百薬の長」といいますが、それならばお酒を原料とする「酢」もまた百薬の長。古くから調味料として世界中で使われてきたお酢。
昨今は健康保持のために希釈して飲用する人もいて、ちょっとしたブームになっています。
今月は、夏バテ解消の効果も期待できる「酢」の雑学をお届けします。



「名酒」あるところに「名酢」あり!



酢の歴史は古く、紀元前5000年ほど前から存在していました。おそらく最初は、お酒がそのまま自然発酵して酢となり、おそるおそる使ってみたら美味しかった、これはなかなかいける、とみなされたのだと思います。


お酒が原料ですから、世界の家庭で使われる酢は、その国のお酒と密接な関係を持っています。
日本のお酒は米を使う「日本酒」で、酢は「米酢」。イギリスには大麦を使う「スコッチ」が、ドイツにはご存知「ビール」があり、その結果、よく使われる酢は「麦酢(モルトビネガー)」。アメリカにはリンゴを発酵させたお酒「シードル」があり、酢は「りんご酢(アップルビネガー)」。とうもろこしを原料とした「ホワイトビネガー」もよく使われています。そして欧米諸国でよく使われる酢は、ワインを原料とした「ぶどう酢(ワインビネガー)」。フランス語の「vinaigre(ビネガー)」は、「vin(ワイン)」と「aigre(酸っぱい)」を組み合わせたものといわれています。


日本に酢が渡ってきたのは5世紀頃。漢字の「酢」は、「酒」から「作」る、という意味合いから生まれたとのことです。その後、酢漬けや「なます」、寿司などに使われてきました。


その後、大正・昭和の頃になると、日本に新たな酢が生まれます。それが「合成酢」。
米や果実などの植物を発酵させて作る「醸造酢」に対し、「合成酢」は石油などの化学薬品から「氷酢酸」なるものを作り、そこに化学調味料を入れて味を整えたもの。体にいいわけがありませんよね。これには、戦争による食糧難から米が不足し、米から酢を作ることが禁止されていた背景があり、いわば「苦肉の策」だったわけです。


戦後もそのまま合成酢は市場に出回っていましたが、昭和45年になってようやく、氷酢酸を使った酢は「合成酢」と表記する法律が施行され、その数は次第に減少していきました。今では醸造酢がほとんどで、元来の酢の姿に戻ったといえるでしょう。


ではここで、「酢が夏バテ対策によい」といわれる理由を紐解いてみましょう。


まず第一に「食欲促進」です。酸っぱいものを獲ることによって分泌される唾液と胃液、それが食欲を促し、さらには消化・吸収を助け、胃腸を整えてくれるというわけです。


第二の理由は、酢に含まれるクエン酸の力。酢の主成分である酢酸は、体内でクエン酸になります。ご飯や麺類などに含まれる糖質はエネルギーの源ですが、炭水化物の消化を助けてエネルギーとするには、ビタミンB1やB2、クエン酸が必要なんです。
また、「疲れ」のもととなる乳酸を取り除く力もありますし、新陳代謝を促す効果も期待できます。野菜と和えた「酢の物」や、枝豆、そら豆なども積極的に食卓に取り入れましょう。


その他、野菜や果物に含まれるビタミンCを効果的に取りいれる力や、夏に心強い殺菌効果も期待できます。今年の夏は「酢」の力で乗り切りましょう!