HOME > 健康の雑学 > 【2006年12月号】「甘い」だけじゃない!蜂蜜のパワー



「甘い」だけじゃない!蜂蜜のパワー


昨今はダイエットブームもあってか、とかく敬遠されがちな「糖分」。しかし同時に、「糖分」は人間のエネルギーの源であることも確かです。そこで今、注目を集めているのが蜂蜜。

今回は、人類最古の「甘味」とまでいわれる蜂蜜の豆知識と健康パワーについてお送りしましょう。



3000年の時を経てなお、香り高いピラミッドの蜂蜜



蜂蜜を最初に味わったのは、熊などの動物です。では人間がその恩恵を授かったのはいつかといいますと、今から一万年以上前といわれています。現にスペイン東部のアラーニャ洞窟でおよそ一万年前のものとされる壁画が見つかり、そこには蜂蜜を採取する女性の姿が描かれていました。その他、世界中の遺跡から壁画や蜂蜜を意味する象形文字が見つかっています。エジプトのピラミッドからは、壷に入った3000年以上前のものとされる蜂蜜そのものが香りそのままに発見され、関係者を驚かせました。日本においてもその歴史は古く、「日本書紀」にも蜂蜜に関する記述があります。平安時代には供物として扱われていたそうです。


ではなぜ、蜂蜜は身体に良いのでしょう?蜂蜜の糖分は、果糖とブドウ糖。人間は食物を摂取した際、その糖分は最終的に果糖やブドウ糖に消化され、体内へ吸収されます。つまり蜂蜜の糖分は、消化する手間や負担をかけずに、ダイレクトにエネルギーとして吸収されます。運動選手はスポーツの試合の前や合間などに「輪切りレモンの蜂蜜漬け」を食べたりしますが、速やかなエネルギー補給には最適というわけですね。


さらに、ビタミンやミネラルも豊富。免疫力を高め、腸内ビフィズス菌を活性化されるといわれるグルコン酸も多く含まれています。


また、「食べる」以外にも蜂蜜はいろいろな生活シーンで重宝されてきました。古代文明では病人の安眠剤や皮膚病、切り傷ややけどの治療薬としても使われてきました。アフリカのとある部族では、結婚を控えた娘たちが肌に塗り、お肌のつやを維持するために今でも使われているそうです。最近は日本でも、蜂蜜を原料とした美容用品が増えてきましたね。果糖やブドウ糖は分子構造のきめが細かいため、肌への浸透力も抜群です。しみこむ際には蜂蜜に含まれるビタミンやミネラルも吸収され、お肌が美しく保たれるというわけです。


身体によいだけではなくさまざまな味が楽しめることも、現在蜂蜜がもてはやされている理由のひとつでしょう。蜂蜜は、蜜を採取する花の種類によって味と風味が変わってきます。現在、国内で生産されている最も多い蜂蜜は、ミカンの花によるもの。ほのかに柑橘類の匂いがします。蜂はミカンの受粉を担う役割もありますので、人間にとってもまさに「働き蜂」といえますね。そのほか、栗やりんご、レンゲ、菜の花、クローバー、アカシアなど、それぞれに独特の味があります。


食べ方も、パンやケーキにあしらったり、紅茶やコーヒーに入れて楽しむ等さまざまです。お好みの食べ方、飲み方を見つけて健康になりましょう!ただし、果糖は熱すると甘味をあまり感じなくなる特徴があります。熱したドリンクや食べ物に混ぜる場合は、摂りすぎに注意ですよ。