HOME > 健康の雑学 > 【2006年1月号】心身ともにいい湯だナ!古今東西・温泉雑学



心身ともにいい湯だナ!古今東西・温泉雑学


日本に生まれて良かった、と思うことは数ありますが、なかでも寒さが身にしみる昨今、やはりありがたいのは「温泉」です!
火山の国、日本では日本書紀や風土記が書かれた時代から、温泉が持つ「治癒の力」を利用してきました。今では湯そのものの効能もさることながら、温泉地に出かけてお風呂に入り、美味しい料理に舌鼓を打つといった「心のリフレッシュ」にもつながっています。

今回は、温泉に秘められたパワーに迫ります!



冷たくても「温泉」。効能なくても「温泉」!?



世界有数の温泉大国、日本。その源泉の数は2万5千を超えるといわれています。


歴史は古く、日本書紀や風土記などの文献にも、温泉に関する記述がみられます。日本三大古湯といわれているのは、兵庫の有馬温泉、和歌山の白浜温泉、そして愛媛の道後温泉です。これら古い温泉の発祥には、猿や鹿、鷺などが傷を治したという動物にまつわる伝説や、仏教を布教するために全国を行脚していた西行や行基などの高僧が発見した逸話などが多く残されています。


では、温泉の定義って何でしょう?文字通り「温かい」こと、源泉の温度が25℃以上であることが温泉法で定められています。さらに25℃未満であっても、温泉の成分19種類のうち、どれか一つでも基準値を超えていればOKです。つまり、冷水でも温泉成分が基準値を超えていれば「温泉」ですし、逆に成分がまったく含まれていなくても、温度が25℃以上であれば「温泉」なんです。


ちなみにこれは日本の温泉法。ヨーロッパなど世界中に温泉は湧いていますが、ドイツの場合は20℃以上で「温泉」と定義されます。海外では「源泉に手ぬぐい一丁で浸かる」という習慣はほとんどなく、どちらかといえば「温水プール」のような感覚で利用されていますが、効能を重んじる風潮は日本も海外も同じ。海外の温泉施設は「クアハウス」などと呼ばれますが、「クア」とはまさに「療養」を意味しています。


次に、温泉の効能について。これはご存知のとおり、温泉の種類によってさまざまです。いくつか紹介いたしましょう。


まずは「単純温泉」。湯の色は透明です。これは成分含有量が少ないので、肌にやさしく、神経痛や関節痛、疲労回復などに効果があるとされています。


「硫黄泉」はご存知のとおり、タマゴの匂いがする温泉です。リュウマチや喘息、婦人病などに効果的です。草津が有名ですね。ちなみに草津の湯は眼に良いので街に眼科がない、と以前草津へ赴いた際、タクシーの運転車さんが豪語していましたが、調べたら実際にはありました(笑)。ただ、他の地域に比べると少ないようです。


「硫酸塩泉」は血行を良くする作用、さらに痛風などにも良いとされています。群馬の伊香保温泉が有名です。湯の色は茶褐色です。


「炭酸水素塩泉」の湯はアルカリ性。よって効能は「美肌」です。和歌山県の龍神温泉など「美人の湯」と呼ばれる温泉の多くは、この炭酸水素塩泉といえます。


他にもまだまだたくさんの種類・効能がありますが、ひとついえるのは、1週間ないし2週間くらい浸かり続けて「効能」が出てくる、ということ。いわゆる昔の「湯治」ですね。江戸時代の庶民には「農閑期」という、まとまった時間がありましたが、なにかと忙しい現代人はそこまで休むのは至難の技。ただ、現在は温泉の採掘技術が進み、首都圏にも温泉地はそこかしこにあります。いわゆる「温泉銭湯」です。東京ですと大田区周辺に多く点在し、墨のような「黒湯」が名物です。


ぜひ皆さんも、自らの健康状態やニーズに合わせて、「温泉パワー」を活用してみてください。