HOME > 健康の雑学 > 【2005年9月号】暑い夏。「涼」のとり方・アラカルト



暑い夏。「涼」のとり方・アラカルト


暑い日が続いていますね。

日本人は、これまでうちわや扇風機など、さまざまなかたちで「涼」をとってきました。時には金魚や風鈴、蛍などで「風流」を感じ、そこから「涼」を見出していたこともあります。
それが昨今、特に都市部においては、アスファルトの照り返し、樹木の減少、エネルギー使用にともなう排熱量の増加などでいわゆる「ヒートアイランド現象」が起き、連日熱帯夜になることも珍しくなくなってきました。
今回は、「涼」の雑学。これまでどのように人々は「涼」をとってきたか、そして現在主流になった冷房に至るまで、雑学満載でお送りいたします。



冷房は28度で!さらに「打ち水」にも確かな効果



もともと日本の家は、常に「涼」を意識した家といっても過言ではありませんでした。屋根瓦は効果的に熱を遮断しますし、「すだれ」は日影を作りつつ風を通すもの。また開口部分を多く設けて風通しを意識することも古くから行われていました。


しかし、それでも暑い日は辛い。そこで実際に風を起こす道具、つまり「うちわ」が用いられました。高松塚古墳の壁画にも描かれていますので、飛鳥時代にはすでに使われていたといえます(祭事や儀式などでも使用しました)。


江戸末期、このうちわを放射状に取り付け、手でグルグル回してみたらたくさん風が生じて評判を得ました。それが日本製の扇風機の原型です。その後明治に入り、電動式が生まれました。今と違うのは、羽が回るとともに、いっしょに取り付けられた白熱灯が光る点です。電気器具が貴重だった時代、有効利用を考えた末の策だとか。ちなみに、ビールを飲みたいのに冷蔵庫に入れ忘れた!といった場合は、冷水で濡れたふきんをビールに巻いて、扇風機にかざします。すると、冷蔵庫に入れるより早く冷えますよ。


さて、現在は皆さんご存知のとおり、冷房が主流です。たしかにこの暑さ、冷房をつけたくなる気持ちは重々わかりますし、「使うな」とも言いません。ですが、いくつか注意すべきことがあるのも確かです。


過剰に冷房を使用すると身体の温度が急激に下がり、毛細血管が収縮します。それが血行不良につながり、肩こり、頭痛、しびれ、発熱などにみまわれるのが、いわゆる「冷房病」です。他にも、身体がダルくなったり、女性の場合は生理痛が悪化するなどの症状が起こることもあります。


そこでまず、設定温度。人間の身体にとって害がない冷房温度、それは28度前後です。オフィスなど、自分の意思で温度調節できない場所では、長袖を羽織ったり、肩や関節をときおり伸ばしたり、回したりするストレッチが効果的です。


さらに寝る際、人間は体温が低下します。寝つきの頃は少し暑さを感じるくらいが良く、さらにオフタイマーも忘れずにセットしましょう。また、風を直接身体に当てるのは避けたほうがよいですね。


さてもうひとつ、最近日本の各地で起こっている「涼」の取り方があります。それは江戸時代、庶民の間に浸透していた「打ち水」です。お風呂の残り水やエアコンの室外機から出る水を利用するのが平成流。2004年は推計32万人が行ったそうです。ある学校は、実際に学生や職員が一斉に校内のアスファルト部分(約1万平方メートル)に打ち水をしたところ、27度前後だった気温が25度まで下がった実験結果を公表しています。


身体に害が出ないように冷房を使いながら、うちわ、扇風機、打ち水など、古くからの日本の知恵も同時に使う。そんな夏の過ごし方をオススメいたします。