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冷え性(冷え症)

他の人が寒く感じない程度の環境温の中でも寒さを感じ、手足の末端や足腰の冷えを訴えるもの。



冷え性(冷え症)の現状


冷えを感じる部位は、上肢および下肢、あるいは混在するケースと様々ですが、最も多いのは足、次いで手、腰、肩、背中という順です。手足に感じる冷えが大部分の方の主訴となっています。冷え以外にも肩こり、便秘、腰痛、倦怠感、のぼせなどの自覚症状を伴う場合があります。

冷えを訴える方は、卵巣機能が比較的不安定で、さまざまな要因によって影響を受けやすい20代の女性に多く、さらに更年期障害の一症状として、閉経前後の女性にも多いようです。 また、一般的に冷え性(冷え症)は圧倒的に女性と考えられていますが、最近では男性にも増えている傾向にあります。


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冷え性(冷え症)の原因


冷え性(冷え症)の一番の要因は自律神経機能、すなわち血管運動神経系の乱れにあります。

寒冷刺激に対する血管収縮反応は、体温を維持するために四肢の血流による放熱を抑えようとする合目的な働きです。しかし、軽度の寒冷刺激でも強く血管収縮反応が起こり、体温が過度に低下してしまうことがあります。この様な過剰な反応が、交感神経の緊張を亢進して、冷えの原因になると考えられています。 冷暖房設備の普及により室内環境における季節感は少なくなる一方です。夏場の室内外の温度差は身体の調節機能を狂わせ、血管運動神経系の失調状態を生じさせる要因になっています。

西洋医学では他の器質的病変を伴った疾病の随伴症状のひとつとして冷えの認識はあるものの、独立したひとつの疾患としての位置付けはなされていません。 冷え、のぼせ、といった血管運動神経症状の原因のひとつにエストロゲン欠乏が考えられています。ホルモン補充療法はのぼせには効果がありますが、冷えの症状に関してはあまり効果がないようですので、女性ホルモン欠乏以外の因子の関与もありそうです。




漢方医学での冷え性(冷え症)


冷え性(冷え症)に関しては、東洋医学の方が遥かに対応措置に優れています。東洋医学では、身体全体の状態把握をしますので、暑がり・寒がりなどの感覚、手足に感じる冷たさなどは診断する上で非常に重要な情報になります。 高齢になるに従い体温が少しずつですが低下していくことが知られていますが、漢方医学では歳を経るに従い、陽気が徐々に衰えていくと認識しており、体温低下の現象とよく一致しています。

漢方医学では一人ひとりの病態(陰陽)と病勢(虚実)に基づき証を把握し、その証に基づいた気・血・水のバランスの改善に主眼を置いた漢方薬を選択します。 陽虚・水毒に対する八味丸、牛車腎気丸、血虚・?血に対する温経湯、桂枝茯苓丸、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、気虚・気滞に対する大建中湯、加味逍遥散などです。

血に関連する部分はこの様に比較的理解しやすいのですが、先にも触れました血管運動神経失調状態に対する作用に関しては単純に血液関連からだけでは説明できません。冷え性(冷え症)には、交感神経系の過緊張が関わっていますが、これらの漢方薬の中でも当帰四逆加呉茱萸生姜湯には交感神経系の緊張を鎮める可能性が報告されています。




日常生活における冷え性(冷え症)の対策


私たちの体温は摂取した飲食物の代謝から得た熱により維持されています。その意味からは摂るべきものはしっかりと摂らなければ冷え性(冷え症)の解消には繋がりません。
秋の食欲増進は冬の寒さに対する準備のための適応現象と考えることもできるかもしれません。

睡眠時には代謝は下がっており体温も低めになっています。起床後、代謝・体温は上昇をはじめますが、冷え性(冷え症)対策としては毎朝規則的に暖かい飲食物を摂取することは重要です。 食品にも身体を温めるもの、冷やすものがありますが、冷え性(冷え症)対策としては温性の食品を中心に上手に摂取したいものです。カブ、ネギのように冬が旬の野菜や土の中で育った根菜類などは身体を温める(温性)とされています。旬の食材を摂ることは、薬膳のような考え方にも通じるものであり、毎日の食事に少しの注意をすることで効果が期待できます。

身体を冷やさないように、また温まるように幾つかの点にも心がけたいものです。 手足の末梢部と共に身体の中心部である体幹部を冷やさないような注意が重要です。体幹部が感じた寒さは体温維持のために手足からの放熱を抑えようとして四肢末梢への血流を減少させてしまいます。冷え性(冷え症)の方ではこの冷刺激に対する血管収縮反応が強く働いていることが考えられますから、手足の血管収縮を防ぐ意味で寒冷刺激を感じないように予防することは大切なことです。手足の温もりは血液の流れによってもたらされているので、なんといっても冷え予防には血流の低下を防ぐことが大切です。

ぬるめのお風呂(38〜40℃)でリラックスすることも、末梢の血管拡張、神経の緊張を和らげるとされています、熱すぎるお風呂に入るよりは、ぬるいお風呂のほうが体を温める目的からは有効です。また、軽く運動をして代謝を活発にすると血流がよくなり、ストレス解消にも繋がりますので共に心がけたいものです。

冷房にも注意が必要です。職場環境によっては強めの設定にせざるを得ない場合もあるかもしれませんが、夏場の室内外の温度差に繰返し曝されることは血流を調節する自律神経には悪影響となり、冷えを助長させることになります。可能であるならば弱冷房にする、服装を工夫するなど自己防衛に心がけることを意識してください。