HOME > 特集記事 > 【2018年10月号】 秋バテ、カサカサ肌、イガイガ喉… はちみつを秋の不調に役立てよう!

秋バテ、カサカサ肌、イガイガ喉…
はちみつを秋の不調に役立てよう!

秋バテ、カサカサ肌、イガイガ喉… はちみつを秋の不調に役立てよう!

夏のだるさが残る秋バテや、過酷な紫外線ダメージによる肌荒れなど、この季節は酷暑のツケが身体の方々に現れてきます。そんな秋の不調ケアに、身近なはちみつを役立てられるってご存知ですか?今月は、みつばちの恵みを生かした伝統的健康法を研究している「みつばち健康科学研究所」のスペシャリストに、秋の不調にもおすすめの“はちみつパワー”について教えていただきます。はちみつご飯やはちみつばんそうこうなど、意外な使い方にもトライ!
*はちみつは一歳未満の乳児には与えないでください。

秋バテ、肌荒れ…
酷暑のツケが秋の不調の原因に!

記録的な猛暑だった2018年。秋になると、そのたまった疲れからくる秋バテや、夏の紫外線による肌荒れや髪の傷み、秋の乾燥によるカサカサ唇や喉荒れなど…さまざまな不調が出てきます。そんな秋の不調におすすめなのが、身近な「はちみつ」なのです!みつばち産品の研究開発で知られる株式会社山田養蜂場の「みつばち健康科学研究所」の立藤智基前所長に、はちみつに秘められたパワーや、秋の不調におすすめのはちみつの使い方についてアドバイスしていただきました。

お話を伺った先生
みつばち健康科学研究所
前所長 立藤智基(たてふじ ともき)先生
立藤智基(たてふじ ともき)先生

2006年、株式会社山田養蜂場入社。2010年より免疫分析研究センター株式会社取締役社長、2012年より株式会社山田養蜂場取締役執行役員、2018年9月より未来戦略室室長、2008~2013年に武庫川女子大学客員准教授、2012~2014年に愛知医科大学運動療育センター客員教授を務める。

栄養満点はちみつパワーで秋の不調を緩和

はちみつには、身体に有益な天然成分がぎゅっと詰まっています。エネルギー源となる糖質をはじめ、整腸などに役立つ有機酸、抗菌作用をもたらす酵素、体調を整えるのに役立つビタミン、ミネラル、肌や髪のもとになるアミノ酸、抗酸化作用があるといわれる各種ポリフェノールなど、はちみつには多彩な栄養が含まれているのです。

みつばちとはちみつのイメージ写真

Point 1 秋バテを一掃!
~はちみつひとさじで即エネルギーチャージ~

夏にたまった疲れが一因となる秋バテを防ぐには、小さじ~大さじ1杯のはちみつがおすすめ。はちみつの主成分は、吸収されやすいブドウ糖と果糖です。働きばちが集めてきた花蜜の成分のショ糖を、酵素の働きで単糖類の果糖とブドウ糖に分解してくれるからです。単糖類は素早く身体に吸収されてエネルギーに変換されます。

  • ブドウ糖は脳のエネルギー源になるので、仕事や勉強で疲れている時にはちみつをひとさじなめるだけで活力チャージに!

花の周りを飛ぶみつばちのイメージ写真

Point 2 秋太り予防にも一役!
~はちみつは砂糖より低カロリー~

「はちみつは甘いから、太るのでは?」――そう思われがちですが、必ずしもそうではありません。はちみつはカロリーが白砂糖の約75%しかなく、しかもコクがあって少量でもうまみを感じやすいため、摂取量をセーブできます。

  • 「アカシア」のはちみつはカロリーだけでなく、GI値が低いのでおすすめです。
  • GI値とはグリセミック・インデックスの略。GI値が低いほど血糖値が上がりにくい食品とされています。
    ブドウ糖のGI値100に対して、はちみつのGI値は約40~75
  • 水あめなどが添加されたはちみつは、カロリーやGI値が変わるので、購入時に水あめなどが添加されていないかご確認ください。

Point 3カサカサ肌やパサパサ髪がしっとり
~はちみつの保湿力~

とろみの強いはちみつは乾燥を防ぐといわれるため、市販の化粧品にもよく使われます。「はちみつが肌や髪に付着するとベタベタするのでは?」と思われるかもしれませんが、少量であればベタつくこともなく、夏の紫外線ダメージで荒れた肌や髪がしっとりします。

  • 洗顔せっけんやシャンプーにはちみつを小さじ1杯混ぜるだけで泡立ち&潤いがアップ。
  • リンスやトリートメントにはちみつを少量混ぜれば、潤い補給に一役。
  • 肌や唇にはちみつを薄く塗って、洗い流せば、即席はちみつパックに。
  • はちみつが底に少量残った容器を浴槽のお湯で洗えば、エコなはちみつ入浴剤に。
  • 肌が弱い方は、腕などにはちみつを少量塗ってパッチテストをしてからお試しください。
はちみつとせっけんなどのイメージ写真
はちみつとせっけんなどのイメージ写真

Point 4喉のイガイガを守って秋風邪予防!
~はちみつの抗菌力~

空気が乾燥してくる秋は、喉がイガイガしやすく、喉荒れから咳が出て秋風邪をひいたりしがちです。糖度が高いはちみつのとろみは、喉の保湿にも役立ち、雑菌の感染を抑える抗菌力もあるといわれています。また、アメリカの研究論文では、はちみつには咳の反射中枢を抑える作用もあることがわかっています。

  • 喉が荒れていたり、咳が出る時にはちみつをゆっくり飲み込むと、喉の不快感を和らげるのに役立ちます。
  • 口内炎や口角炎にも、はちみつを少量つけるのがおすすめ。

Point 5歯周病のもとになるネバネバを予防!
~はちみつの歯石抑制力~

「はちみつをなめると、歯によくないのでは?」と心配されるかもしれませんが、山田養蜂場と福岡医療短期大学の共同研究では、はちみつには歯周病のもとになる歯石をできにくくする作用があることがわかっています。実際、砂糖をなめて時間が経つと、口中がネバつきやすくなりますが、はちみつをなめても口中があまりネバつかないといわれます。

  • 甘いものが欲しくなったら、はちみつをなめて糖分補給しながら歯石予防!
  • 幼い子どもに歯磨き習慣をつけさせるのに、はちみつを歯磨き粉代わりに使う手も!

はちみつのちょっと意外な使い方にトライ!

米がふっくらツヤツヤに炊ける「はちみつご飯

はちみつには保湿作用があるので、米2合に小さじ1杯程度のはちみつを入れると、ツヤツヤふっくらしたご飯に炊き上がります。はちみつに含まれる酵素の力で、ほんのり自然な甘みも引き出されます。秋は新米が出回る季節ですが、新米に切り替える前に、古米を美味しくいただく知恵としてぜひお試しを。

肉はしっとり、魚の臭み消しにもなる「はちみつ万能調味料

はちみつにはタンパク質分解酵素が含まれており、保湿作用もあるので、肉の調理前にはちみつを塗ると、肉が柔らかな食感になります。鶏のむね肉は、調理するとパサパサしがちですが、はちみつを調味料に加えることでしっとり仕上がりますよ。
また、秋はサバやサンマが美味しい季節ですが、煮魚を作る際にはちみつを少量加えると、魚の臭い成分も消してくれます。

スポーツの秋の水分補給に「自家製はちみつドリンク

スポーツなどアウトドア活動が増える秋は、意外と熱中症のリスクがあり、塩分を含んでいるスポーツドリンクの摂取が必須です。水分補給する際は、エネルギー補給できて胃腸に負担のかかりにくいはちみつを一緒に摂るのがおすすめです。500mlの水に、はちみつを大さじ2杯、塩を小さじ4分の1、レモン果汁をお好みで大さじ1杯入れれば、簡単に自家製のスポーツドリンクが作れます。

はちみつドリンクのイメージ写真

傷跡がきれいに治る「はちみつばんそうこう

はちみつには保湿や抗菌作用があるので、ニュージーランドでは実際にはちみつがついたばんそうこうが販売されています。「はちみつばんそうこう」は、市販のばんそうこうに清潔な綿棒などではちみつを塗れば、簡単に作れます。傷口に貼ると、乾燥や細菌感染を防ぎながら修復されるので、傷跡が残りにくくなります。

コラム みつばちがもたらす多彩な恵み――
ローヤルゼリー、プロポリス、ミツロウ

みつばちは、はちみつ以外にもさまざまな物質を作り出します。

  • 女王ばちを育てるのに必須の「ローヤルゼリー」は、働きばちが花粉やはちみつを消化分解して分泌した物質。一生の間に毎日1,500~2,000個の卵を産み続ける女王ばちの、パワーのもとになるアミノ酸やビタミンなど40種以上の栄養素が濃密に詰まっています。ローヤルゼリーは1950年代にローマ法王の健康回復に役立てられたことから、サプリメントなどに幅広く使われています。
  • はちの巣を清潔に保つために欠かせない「プロポリス」は、働きばちが集めた花粉や樹木の新芽や樹液、樹脂などからできています。植物由来の抗菌作用があるため、古くから傷の治療などに用いられてきました。
  • はちの巣の材料となる「ミツロウ」は、働きばちが体内から分泌するワックスが主成分の保湿力のある物質です。ミツロウはキャンドルやクレヨンの材料に使われているほか、天然の乳化剤としてリップクリームなどの化粧品にも使われています。

はちの巣とみつばちのイメージ写真



まとめ

みつばちは紀元前より人々の暮らしとともにあり、多くの恩恵をもたらしてきました。身近にいる小さなみつばちがもたらしてくれる多彩な恵みに感謝ですね。



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