HOME > 特集記事 > 【2018年7月号】 病気の原因は「誤った掃除」だった?!夏に怖いカビ・ウィルスを防ぐ掃除の極意!

病気の原因は「誤った掃除」だった?!夏に怖いカビ・ウィルスを防ぐ掃除の極意!

蒸し暑い季節はカビやウィルスが繁殖しやすく、夏風邪や食中毒の危険性大です。ちゃんと身の回りを清潔にしているつもりでも、間違った掃除方法を続けていると逆に汚れやカビが拡散して病のリスクを高めてしまうのをご存知ですか?――そこで今月は、感染を防ぐ掃除のスペシャリストに、間違った“ダメ掃除”を改善する極意を教えていただきました。

監修
感染を防ぐ掃除のプロ
松本 忠男さん
松本 忠男さん

約30年間、さまざまなヘルスケアの現場で「感染を防ぐ掃除メソッド」を培ってきた掃除のスペシャリスト。東京ディズニーランド開園時の正社員、ダスキンヘルスケアを経て、亀田総合病院のグループ会社の清掃管理を担う。1997年に医療関連サービスの総合マネジメントを行う株式会社プラナを設立し、代表取締役に就任。日本ヘルスケアクリーニング協会代表理事。『病院清掃の科学的アプローチ(クリーンシステム科学研究所)』『健康になりたければ家の掃除を変えなさい(扶桑社)』などの共著や著書がある。TBS系『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』など各種メディアに登場。
http://www.seisouzin.com/

チェック診断!
あなたの掃除方法は、正しい?

次の項目の中で「正しい」と思うものにチェックを入れてください。
「感染を防ぐ」という観点で、あなたの掃除方法が正しいか否かがわかります。

  • check 掃除機をかける時は、前後左右に素早く動かす方がきれいになる。
  • check 家の中で一番ほこりっぽいのはリビングだ。
  • check エアコンの真下は、風で吹き飛ばされるのでホコリが溜まりにくい。
  • check フローリング掃除は、乾いた布やシートより、湿った布やシートで行ったほうが良い。
  • check 床や壁の拭き掃除は、ゴシゴシ入念に磨く。
  • check 食器や鍋などにこびりついた汚れは、一晩しっかり漬け置きしてから洗う。
  • check 洗面所やトイレの隅には、いつでもきれいにできるように掃除用具を常備しておく。
  • check 入浴後は熱いシャワーで天井まできれいに洗い流すとカビが生えにくい。

診断!

チェックの合計はいくつでしたか?

0個の人は
あなたの掃除方法は基本的に間違っていないので、室内は清潔です。
1〜2個の人は
あなたの掃除方法では、掃除をしても全くきれいになっていない箇所があります!
3個以上の人は
×
あなたの掃除方法では、室内をかえって汚してしまっています!!

ちゃんと掃除したつもりでも、かえって汚している?!

「えっ、今までの掃除は一体何だったの?!」――診断結果を見て、ショックを受けた人も少なくないのではないでしょうか?感染を防ぐ掃除のプロ・松本忠男さんによると、先ほどのチェック項目の内容は全て間違っているとか!毎日きれいに掃除をしているつもりでも、間違った“ダメ掃除”ではかえって汚れたホコリをまき散らしていることになるのです。

夏は病の温床になる「病原ホコリ」が増える!

高温多湿な夏はカビが繁殖しやすいため、カーペットやエアコンのカビが増えます。さらに、猛暑が続くとエアコンや扇風機を昼夜点けっぱなしにすることが多いので、四六時中ホコリが室内を舞っている状態が続くのです。エアコンのフィルターが汚れていれば、室内の空気もその分汚くなります。
松本さんいわく、カビなどの菌やウィルス、湿気を含んだ汚れたホコリはさまざまな病の温床となることから、俗に「病原ホコリ」と呼ばれているそう。成人男子は通常の呼吸で1時間に約300リットルの空気を吸うので、室内の空気が病原ホコリまみれだと、気管が傷んで夏風邪や肺炎などを引き起こすリスクも高まります。

エアコンのフィルターにほこりがびっしり

水回りの掃除を怠ると、感染症リスクが高まる!

夏は常在菌である大腸菌や黄色ブドウ球菌、水回りに多い緑膿菌が繁殖しやすい時季です。水回りの掃除を怠ると、抵抗力の弱い赤ちゃんや高齢者、病中病後の方は食中毒などの感染症を引き起こすリスクが高まるので要注意です。カビを含んだ菌の温床になる汚れはどんどん蓄積されていくので、キッチンなどの水回りには日々のこまめな掃除が必須です。

水回りは緑膿菌などが増殖しやすい

掃除の達人プロに学ぶ!
夏に感染を防ぐ8つの掃除ポイント!

プロの掃除の極意を学び、カビやウィルスの温床になる「病原ホコリ」を一掃して感染を防ぎましょう!ホコリ掃除の際には、マスクや手袋などの防護もお忘れなく。

ポイント1 掃除機は「一定速度でゆっくり」が基本!

掃除機のヘッドを前後左右にせわしなく動かすと、かえって床の病原ホコリをまき散らしてしまうだけでなく、床に張り付いたホコリを吸いきることもできません。特にカーペットの場合、毛足の奥のホコリを吸い上げる前にヘッドが移動してしまうと、多くのホコリが残ったままになってしまいます。

掃除機イメージ

  • 理想的な掃除機のかけ方は、1mを5~6秒かけてヘッドをゆっくり移動させるのがポイント!
  • 掃除機の排気は床から遠い方がホコリが立ちにくいです。掃除機を買い替えるなら、排気が床から離れていて、ホコリを立たせるコードがないコードレスタイプがおすすめ。
  • ロボット掃除機は留守中に稼働するとある程度きれいになりますが、取りきれなかったホコリが寝ている間に落下して隅に溜まります。翌朝それをフローリングワイパーで掃除すると、病原ホコリを効率的に除去できます。

ポイント2 トイレに密集した病原ホコリを拡散させない!

トイレは汚物の飛沫汚れはもちろん、着脱する衣類やトイレットペーパー、タオルなど、屋内で最もホコリが密集するため、病原菌の温床となりやすい場所です。また、トイレのドアの下には細いすき間があることが多いので、そこから廊下などのホコリが入って溜まってしまいます。しかも用を足す時は、ドアノブや電灯スイッチ、便器のふた、水洗レバー、ペーパーホルダー、タオルなどあちこちに触れるので、トイレが汚いと手に付いた菌が他の部屋に拡散されてしまう元凶に。トイレ内でスマホや雑誌に触れるのも、感染リスクを高めるのでNG!

トイレイメージ

  • トイレ掃除はまず床と壁から。乾いた布で奥から手前へ、ホコリを重点的に取ります。トイレの床に掃除機をかけると、病原ホコリを他の部屋に拡散させることになるのでNG!
  • モノがあると、そこへホコリが引き寄せられてしまいます。トイレの床にはモノを置かず、掃除用具などは収納するようにしましょう。

ポイント3 洗面台は常にカラッと清潔に!

洗面台の上に濡れた歯ブラシやうがいコップ、石けん受けなどをごちゃごちゃ置いたままにしていると、濡れてベトベトしたホコリが溜まってカビや緑膿菌が繁殖する原因になります。

  • 洗面台にはモノを極力置かず収納し、濡れても拭き取りやすい状態をキープ!
  • 歯ブラシやうがいコップ、石けんの受け皿も、使用後は乾いた布や紙で水分を十分に拭き取る。ドライヤーで乾かしてもOK。
  • タオルも雑菌が繁殖しやすいので、頻繁に交換を!

ポイント4 カビを増やさないためにはウェットよりドライ!

フローリングの床やテーブルなどを濡れ雑巾やウェットシートで拭くと、一見汚れが取れたように感じますが、実際はむしろ汚れを周囲に塗り広げているんです!湿ったホコリがこびりついた床やテーブルはかえってベタベタして、不潔なカビを増殖させる原因になってしまいます。

  • 床拭きや台拭きは、まず乾いた布やシートで乾拭きするのが基本。
  • 乾拭きだけで取れない汚れにはたっぷりと水をかけ、そこに乾いた布やシートを押し当てて汚れごとしっかり吸い取り、再度乾拭きをします。濡れた布では吸い取りが悪いのでNG。

ポイント5 床や壁のゴシゴシ磨きはご法度!

床や壁をやみくもにゴシゴシと磨くと、かえってホコリが拡散してしまうので要注意!また、複数人でバタバタと掃除するとホコリがあちこちに舞い上がるので逆効果です。

フローリング掃除イメージ

  • 乾いたマイクロファイバークロスやフロアモップで、床は「奥から手前に」、壁は「上から下に」、ゆっくり磨いていくことで、ホコリを一方向に集めて回収できます。
  • 床や壁の掃除は、ホコリが極力立たないように「1人で静かに」行うのがベスト。

ポイント6 エアコンの真下はホコリスポット!

コアンダ効果と呼ばれる流体力学の影響で、エアコン使用時にはエアコンの真下にホコリが吹き溜まりやすくなります。ここにソファや枕を置くと、気管を傷める可能性があるので要注意です。

  • エアコンの真下に溜まるホコリをこまめに掃除すれば、拡散を防げます。ここに扇風機を置くと、ホコリをまき散らすことになるのでやめましょう。
  • エアコンのフィルターに付いたホコリは肺炎などを引き起こすカビの温床になるので、こまめに掃除しましょう。

ポイント7 食器の漬け置きで雑菌が倍増!

キッチンはトイレの次に感染リスクの高い場所です。食器や鍋を長時間水に漬けておくと、大腸菌や黄色ブドウ球菌、緑膿菌などがどんどん倍増していきます。濡れたままになりがちな食器用スポンジも雑菌が繁殖しやすく、感染性胃腸炎などの一因になります。

  • 夏場に汚れた食器やまな板などを長時間漬け置きした場合は、熱湯をかける、漂白剤で消毒するなどして入念に洗い流しましょう。
  • 夕飯の片付け後は食器用スポンジに熱湯をかけ、冷めてから固く絞って干しておきましょう。
  • 食器フキンや手ぬぐいも湿っていると雑菌が増えるので、こまめに取り換えましょう。

ポイント8 入浴後は温水ではなく冷水で掃除を!

バスルームで感染症を招くカビが発生しやすいのは、バスタブの給水口やフタの裏、排水溝です。天井に付着した水滴もカビの温床になります。

  • 入浴後に窓の両側を10cmほど開けておくと、風の循環がよくなって湿気を飛ばせます。
  • 湯気の出る温水で洗うと、掃除後も濡れたままになってしまうためカビを防げないので、風呂掃除には「冷水」を使い、掃除後は水滴を拭うのが鉄則です。


まとめ

病気を防ぐためには、たまに気合を入れて大掃除するのではなく、正しい掃除を日々習慣化することが大切です。常に清潔な環境にいると、身体はもちろん、精神的にも健やかに過ごせますよ。



選択肢を選んで投票ボタンをクリックしてください。あなたの一票が反映されます。