HOME > 特集記事 > 【2017年1月号】 話題の「マインドフルネス」でストレス知らずの新年を迎えよう!

話題の「マインドフルネス」でストレス知らずの新年を迎えよう!

ストレスは知らないうちにどんどんたまると、「キラーストレス」となって心身にダメージを与えます。今月は話題の「マインドフルネス」によって心の安定を取り戻し、免疫力や集中力アップにつながる方法をアドバイスします!


お話を伺った先生: 東京マインドフルネスセンター センター長・ディレクター 長谷川 洋介 (はせがわ ようすけ)先生

法政大学経済学部卒業。ジョン・カバットジン博士「MBSRワークショップ」修了。米国マサチューセッツ州立大学メディカルスクール主催MBSR-マインドフルネスストレス逓減法プログラム‐Mindfulness Tools及びFundamentals修了。 (社)ヨーガ療法学会/ヨーガ講師養成講座修了。東洋鍼灸専門学校首席卒業。鍼灸師/あんまマッサージ指圧師。



あなたはどのくらいストレスがたまっている

自分でも知らずにストレスをため込んでいる人が増えています。次の項目の中で当てはまるものをチェックしてください。合計数であなたのストレス度がわかります!

  • check イライラを感じることが多い
  • check 不安を感じて、よく眠れないことがある
  • check 首や肩が凝って疲れやすい
  • check やる気が出ない
  • check ものごとに集中できない

診断!

0 の人
ストレス度青信号。
ストレスはあまりたまっていないようです。
1〜2 個の人
ストレス度黄信号!
ストレスがややたまっている状態です。
3個以上の人
ストレス度赤信号!
ストレスがかなりたまっているようです!

たまったストレスは「キラーストレス」となり、体の弱いところに出る!

過去のことを思い悩んだり、未来への不安にとらわれたりするのは誰しもあることですが、度が過ぎるとそれがストレスとなってどんどん蓄積します。たまりにたまったストレスは、「キラーストレス」となって体の弱いところに出てきます。例えば、血管が弱い人は脳や心臓の病気になったり、胃腸の弱い人は胃潰瘍を引き起こす一因となるのです

「キラーストレス」は認知機能を衰えさせる!

  1. ストレスがかかると、腎臓の側にある副腎からコルチゾールというステロイドホルモンが分泌されます。コルチゾールは傷を修復したりする働きがあり、人が生命を維持するのに必要なホルモンです。しかし、ストレスがたまりすぎるとコルチゾールが過度に分泌されます。
  2. 多量のコルチゾールが、感情を司る脳の扁桃体を肥大させ、記憶を司る海馬を萎縮させます。
  3. すぐにイライラして怒りやすくなったり、認知機能が低下します。

ストレスに蝕まれた脳の機能を回復させる「マインドフルネス」とは?

「マインドフルネス」は、ストレスに対する心のエキササイズとして、グーグルやアップルなどの大企業をはじめ、イギリスでは義務教育にも取り入れられています。アメリカの研究では、年齢にかかわらず「マインドフルネス」によって、ストレスで衰えた脳の機能を回復させる効果が認められています。また、うつの改善、慢性疼痛の緩和を感じにくくするといった作用があるという科学的データが得られています。

マインドフルネスで「心の安定」を取り戻そう!

マインドフルネスの主目的は、「心の安定・を取り戻すこと」です。コルチゾールが抑制されて、心が落ち着くことで、こんな効果が期待できます。

感情が安定する
人に思いやりを持てるようになり、人間関係がよくなる。
自分を客観視できるようになる
怒りを感じても冷静になれる。
自己判断にとらわれなくなる
苦手なものでもありのまま受け入れられるようになる。
集中力が高まる
優先順位が明確になり、勉強や仕事がはかどる。
免疫力がアップする
病気予防、病気回復につながる。

マインドフルネスはヨーガや禅とどう違うの?

マインドフルネスは、「ヨーガ」や「禅」と同じ仏教の瞑想法を科学的にとらえた方法論です。ヨーガは呼吸をコントロールしますが、マインドフルネスは自分の体に任せて呼吸し、今の心身の状態に気付くことが主眼となります。

マインドフルネスは筋トレに似ている?!

マインドフルネスは楽な姿勢で行えるので、子どもから年配者まで誰でも実践できます。効果には個人差がありますが、スポーツ選手の日々のトレーニングのように、毎日継続することで効果が期待できます。

座る、寝る、歩く、食べる ——いろいろな「マインドフルネス」を実践!

座ったり、寝たり、歩いたり、食べたりしながら行うマインドフルネスを実際にやってみて、自分に向いたマインドフルネスの方法を見つけましょう。

1. 座るマインドフルネス

座禅している長谷川さん
座禅している長谷川さん

まずあぐらをかいて座ります。できる人は左の足を、右の太ももの上に乗せます。できない人は正座でも、椅子に腰かけてもかまいません。

左:猫背のガイコツ、中:背筋を伸ばしたガイコツ、右:座布団を使う
左:猫背のガイコツ、中:背筋を伸ばしたガイコツ、右:座布団を使う

左のように背中を丸めず、背筋をピンと伸ばすと気管が開いて呼吸しやすくなります。
お尻の下にクッションや座布団を敷くと、骨盤を立てて座れます。

正座
正座

正座をする場合は、両足首でクッションをはさんで座ります。

手組
手組

左右の手のひらを上向きにして足の上に置き、親指と親指をつけます。心ここにあらずの状態になったり、ウトウトすると、親指が離れます。

瞑想
瞑想

半眼か何かを見つめるか(テレビなどを見ながらはNG)、目を閉じて、自然に呼吸をします。その際、息を吸っている時は「吸ってる、吸ってる…」、吐いている時は「吐いてる、吐いてる…」と、今の自分が感じていることを実況中継するように心の中で言葉にします。これを「ラベリング」といいます。「呼吸が浅いな」などと気付くことで、緊張から自分を解放していくことができます。

雑念が浮かんできたら…?

ムリに無の境地になろうとしなくてもかまいせん。雑念が浮かんできても、「ま、いいや」と手放し、今の状態だけに意識を向けます。過去の雑念にとらわれたり、未来への不安に飲み込まれたりするのではなく、「今、この瞬間」に気付き、意識を向けなおす練習をすることが大切です。これを繰り返すことによって、雑念が消えていくのを実感できます。

2. ボディスキャン

布団などに横になり、目を閉じた状態で、まるでCTスキャンをするように、足の指爪先から、あるいは頭のてっぺんから順番に、体のすべての部分に意識を向けていきます。多くの人は、自分の体の状態に気付いていません。最初は静かな場所でトレーニングしますが、慣れてきたら、電車の中などでもできます。

ボディスキャン
ボディスキャン

自分の体の不調に気付くと、自分をいたわるようになる

「足の指先が冷えているな」「ふくらはぎがむくんでだるいな」「右ひざが少し痛いな」「お腹が少し重いな」 ——ボディスキャンによって普段あまり意識していない体の部分の違和感や不調に気付くことで、「お腹が重いから、今日のランチは消化のいいものにしよう」などと自分の体をいたわるようになり、必然的に病気にかかりにくくなります。

3. 歩くマインドフルネス

一呼吸=半歩でスローモーションのようにゆっくり歩き、一歩一歩の歩みに意識を向けるトレーニングです。目的地に向かって急いでいる時ではなく、時間を気にしなくてもいい時に公園などで行うのがおすすめです。はじめは足の裏の感覚に意識を向け、慣れてきたら、関節の感覚や、空気の感触、目に見える風景などにも意識を向けていきます。

歩く瞑想
歩く瞑想

4. 食べるマインドフルネス

おにぎり1個を30分位かけてゆっくり「食べる」という行為を通して、五感を使いながら自分の心身の感覚に丁寧に意識を向けていきます。アメリカではレーズンを使いますが、おにぎりに限らず、自分の好きな食べものでトレーニングしてみましょう。

おにぎりイメージ
おにぎりイメージ

おにぎりの見た目、手に持った時の感触、鼻に近付けた時の匂い、口に入れてそしゃくした時の音、味、飲み込んだ時ののど越し、食道から胃に落ちていく感覚を確認していきます。これによって、普段、無意識に行っている行為への気付きが生まれます。また、たった1個のおにぎりでもお腹いっぱいになります。



まとめ

新しい年のはじまりを機に、自分に合うマインドフルネスを毎日45分間行う習慣をまず2か月続けてみましょう。習慣化することで、普段から自分の心身の状態に気付きやすくなり、ストレスからも解放されます。



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