HOME > 特集記事 > 【2013年5月号】 胃腸トラブルは万病のもと!その体調不良、実は胃腸が原因かも?!

胃腸トラブルは万病のもと!その体調不良、実は胃腸が原因かも?!

風薫る季節なのに、どうも元気が出ない、調子が良くない…。──その不調、実は胃腸が原因かもしれませんよ。というのも、胃腸は免疫力と深い関係があり、身体全体の調子を司る大事な器官なのです。そこで今回の元気通信では、東洋医学の先生に、胃腸に関するお話を伺いました。気をつけたい胃腸トラブルは? そのケア方法は? 胃腸の不調を起こしやすいタイプって?などなど、見逃せない胃腸情報をたっぷりお届けします! きちんと消化してくださいね!




風邪やにきび、肩こりも胃腸が原因?!

あなたは、自分の胃腸にどれくらい自信がありますか?胃やお腹が痛くなったりすれば、胃腸の具合が悪いことにイヤでも気づきますよね。でも、胃腸が悪いからといって、単純に胃腸だけに症状が出るとは限らないのです。東京女子医科大学 東洋医学研究所の木村容子先生に、原因によって異なる胃腸の症状について、教えていただきました。


原因によって異なる3タイプの胃腸症状〜あなたは、どのタイプですか?〜


Aタイプ ストレスや食生活の乱れにより、胃腸症状が起こる場合


Bタイプ 加齢に伴う変化により、胃腸症状が起こる場合


Cタイプ 生まれつき胃腸虚弱な体質の場合


一見胃腸とは無関係に思える不定愁訴に要注意!

3タイプのよくある症状からもお分かりのように、胃腸が不調なときは胃腸以外にもさまざまな症状が現れます。
東洋医学的には胃腸で日々の気(エネルギー)をつくると考えられているので、胃腸機能が低下すると、全身に栄養が巡らなくなり、肌荒れを起こしたり、疲れや冷えが出るなど、胃腸とは直接結びつかない不定愁訴を招く原因になります。



次に、木村先生が実際に診察されている3タイプの患者「Aさん」「Bさん」「Cさん」の症例から、その詳しい原因と対策を伺いました。



Aさんの場合――夜に甘いものが欲しくなり、肌荒れや肩こりが……

「肌荒れやにきび、肩こり、便秘、倦怠感などの不調に悩んでいる」と受診に訪れた30代女性のAさん。数カ月前から、職場でのストレスが高じて、甘いものがむしょうに欲しくなり、夕食後にスイーツを食べる習慣がついていたといいます。次第に、朝目覚めると胃がもたれていることが多くなり、以前はちゃんと食べていた朝食を抜く日が増えてきました。すると日々の生活の中で段々と倦怠感を覚えるようになり、今まではあまりなかった肌荒れやにきびも気になるように。さらに、肩こりや便秘といった不調も出てきました。


木村先生の診断 〜Aさんは「ストレス」による胃腸の不調タイプ〜

「肝」の働きの乱れから「脾(胃腸)」に悪影響

東洋医学では、人体を「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」の5機能に分け、それらの相関関係を見ていきます。Aさんの場合、仕事のストレスが引き金となって、自律神経に関わる「肝」の働きが乱れ、「脾(胃腸)」に悪影響を与えたと考えられます。そのため、夕飯を食べているにもかかわらず、甘いものが毎晩食べたくなるという食欲の異常が起こって、胃腸に負担がかかったと考えられます。

「肝」は筋肉や血の巡りにも関係するので、「肝」の働きが悪くなると、血行が悪くなって肩こりが起こりやすくなります。また、「脾(胃腸)」は筋肉の生成に関与しているので、胃腸の働きが悪いとよい筋肉を作ることができず、一層、肩こりが悪化します。こうした人は、肩を揉んだり、運動をするだけでは症状がなかなか改善しません。胃腸の働きを良くすることも必要になります。



「肝」を整える酸味を摂るのがおすすめ!

ストレスは「肝」に影響を与えやすいため、「肝」の機能を整える酸味の食材を活用してみましょう。レモン、かぼす、すもも、梅干しや酢などは酸味を代表する食材です。
また、やたらと甘いものを欲する時は、黒酢やリンゴ酢などをほんの少量をおちょこなどに入れて、水で薄めて飲んでみましょう。酸味を少量摂ることで、甘い物の取りすぎを防ぐことが期待できます。



Bさんの場合――以前は食べ放題も平気だったのに、今は胸やけが……

「今までよりも食べる量が減り、食後に疲れを感じて眠くなることが多くなった」「以前と同じ量を食べると、食後、胸やけを感じるようになった」「昔はフルコースや食べ放題に行っても平気だったのに、最近は少し食べただけですぐにお腹が張る」という主訴で受診に訪れた50代後半女性のBさん。最近はダイエットも意識して、手軽にお茶漬けなどあっさりしたものを食べることが多くなりました。



木村先生の診断 〜Bさんは「加齢」による胃腸の不調タイプ〜

健康診断では気づかない“飽食時代の栄養失調”とは?

Bさんの場合、内視鏡検査では明らかな異常は見られず、採血では参考基準値の下限ぎりぎりの項目が多くみられました。一年前の健康診断よりも総蛋白やコレステロール値などが低下していました。
これは、加齢と共に「脾(胃腸)」の働きが衰えて食事量が減っているところに、ダイエットを意識してあっさりしたものを中心に食べていたために、ビタミン類やタンパク質などの栄養素が足りなくなった、いわゆる「飽食時代の栄養失調の状態」といえます。
数値は一応、参考基準値内なので、栄養失調を自覚することもありませんが、実は注意が必要なのです。高コレステロール値はメタボリック症候群の原因になるため悪者扱いされますが、コレステロールは細胞膜の構成成分であり、また、ホルモンの原料にもなるので、低すぎるのも問題です。

会席コースの食べ方を参考に!

加齢と共に胃腸の働きが弱ってくると、食が細くなるため、主食の炭水化物を先に食べてしまうと、お腹がいっぱいになってしまい、主菜の魚や肉料理や、副菜の野菜類を残してしまいがちです。その結果、本来必要な栄養素を取れなくなってしまう恐れがあります。

このタイプの人に推奨したいのが、「会席コース」の食べ方です。会席料理は一般に、[1]前菜 [2]吸い物 [3]刺身 [4]焼き物 [5]煮物 [6]酢の物 [7]ご飯・味噌汁・漬物 [8]果物といった順序で出てきます。
これにならって、まず主菜や副菜に先に箸をつけ、合間に汁ものを飲み、主食の炭水化物は最後に食べるようにしましょう。こうした食べ方を習慣づけるようにすれば、主食を先に食べて炭水化物にばかり偏るのを防ぎ、タンパク質やビタミン類なども自然と摂取することができます。



Cさんの場合 ――食が細くてどうも疲れやすく、すぐ風邪をひく……

「とても疲れやすく、すぐに風邪をひいてしまう」という主訴で来院した40代男性のCさん。昔からやせ形で食が細く、「体力をつけるためにはちゃんと食べてもっと太らなければ」と無理してたくさん食べると、胃もたれを感じて逆に胃腸薬に頼ることに……。また、冷え症にも悩んでいました。




木村先生の診断 〜Cさんは「虚弱体質」による胃腸の不調タイプ〜

エネルギーは胃腸で作られる!

「気(エネルギー)」には、親から受け継いだ「先天の気」と、日々の生活で作り出す「後天の気」があります。「後天の気」は「脾(胃腸)」で作られます。Cさんの場合は胃腸の働きが弱いために、この「後天の気」を作り出すことができず、疲れやすさを感じているといえます。「気」は免疫力とも関係していますので、Cさんは胃腸が弱く「気」が少ないために、免疫力も低下し、風邪をひきやすくなっていると考えられます。

無理にたくさん食べたり、冷飲食はNG!

このタイプの人は、胃腸の機能がもともと弱いので、無理にたくさん食べると、かえって疲れたり、お腹周りだけ太るといった逆効果となることがあります。食事をする際は、常に胃腸がゆとりを持って働けるよう、「腹八分目」を心がけることが大切です。

また、これから暑くなってくると、喉越しのよい冷たいものを摂りがちですが、冷たいものが胃腸に入ると、胃腸の機能がますます落ちてだるさを感じて、夏バテになりやすいので要注意です。冷たい飲み物は1杯目だけにして、2杯目からは氷抜きや温かい飲み物にしましょう。また、冷たい蕎麦やソーメンなどを食べる際は、ショウガやシソ、ネギ、ニラなどの身体を温める薬味を一緒に摂って冷やしすぎを防ぎましょう。



今日から実行!胃腸にやさしい5箇条

1.「腹八分目」を守る

常に胃腸の働きに余力を残すことで、胃腸のコンディションをキープしましょう。

2.食事中はリラックス

食事にはカロリー補給だけでなく、精神を安定させる効果も。食事中はリラックスして楽しく食べることが重要です。

3.食前酒で胃腸の働きを助ける

食前酒には食欲を増したり、気分をリラックスさせる効果があります。また、少量のお酒は、血行を良くして冷え防止にもなります。

4.「気」を補うには1に睡眠と2に食事

全身の疲れが著しいときは、胃腸の働きも衰えていることが多いので、食べることさえもできなくなります。まず、睡眠によって「気」を充電しましょう。睡眠によって「気」が補われれば、胃腸の働きが良くなって、おのずと快食、快便につながります。

5.疲れている時のタブーは「ああ夏か」

胃腸が弱っている時は、ウナギやステーキなど脂分が多いものは避け、消化によい山芋、ナツメ、生姜、カボチャ、豆腐、温野菜がおすすめ。タブーなのは、「ぶらっこいもの・まいもの・まもの・めたいもの・らいもの=あ・あ・な・つ・か」。これらをできるだけ避けるようにしましょう。



コラム 木村先生おすすめ!胃腸に効くツボ

胃腸の症状は、胃の周辺だけに出ると思っていませんか?もし、背中にコリや張り感の症状があらわれたら、ひょっとして胃腸の不調のサインかもしれません。特に、暖かさが増す春頃は、胃酸の分泌が増えて胃酸過多になると、背中に不調を感じやすくなります。
胃腸の機能を高めるツボとして効果的なのが、肩甲骨の下から腰の間にある「脾兪(ひゆ)」です。このあたりが張って、硬くなっている場合は、優しくコリをほぐしましょう。また、その少し上にある「肝兪(かんゆ)」はストレス解消にも効果的です。コリが溜まるとほぐれにくいので、その日のコリは、その日のうちにほぐすのが得策。マッサージ用のグッズなどで刺激するのもおすすめです。



お話を伺った先生 東京女子医科大学 東洋医学研究所 副所長 准教授 木村容子 医学博士
お茶の水女子大学を卒業後、中央官庁に入省(国家公務員T種)。オックスフォード大学大学院に留学中、漢方に出会い、帰国後、東海大学医学部に学士入学。2002年より東京女子医科大学 東洋医学研究所に勤務。著書に『女40歳からの「不調」を感じたら読む本』『女50歳からの「変調」を感じたら読む本』(静山社文庫)など。

まとめ
胃腸のタイプ別診断いかがでしたか?昔から元気な人のことを「ガッツがある人」といいますが、「ガッツ(guts)」とは英語で「胃腸」のことを意味します。胃腸の丈夫な人はすなわち元気な人。ガッツ(胃腸)の働きを良くして、あなたも明日からレッツ快適ライフ!