HOME > 特集記事 > 【2013年2月号】 良薬は口に美味し?恋にも健康にも効くチョコレートの驚異!
バレンタインデイ到来!1年で1番チョコが消費されるといわれる季節ですね。でも…チョコを食べるとメタボになる?虫歯になる?ニキビができる?
——そんな間違いだらけのチョコレート悪玉説を、チョコレート効果研究の第一人者である医学博士が、最新医学の知見からばっさり!また、国立科学博物館(東京都)で開催中の「チョコレート展」レポートや、バレンタインデイにおすすめのヘルシーなチョコアイテムもご紹介します。
4000年前から“神の食べもの”と崇められ、不老長寿の薬として珍重されてきた チョコレートの驚異の健康効果に迫ります!
普段何気なく食べているチョコレートですが、実は、ただ美味しいだけじゃないんです。心臓病、感染症、冷え性、便秘、ストレス障害……実はこれ全部、チョコレートに含まれる成分によって改善されるのだとか!チョコレートの健康効果を解明した先駆である板倉弘重医学博士に、最先端の研究に基づいたチョコレートの驚くべき効能について伺いました。
1961年、東京大学医学部卒。茨城キリスト教大学名誉教授。エミリオ森口クリニック院長。主な研究分野は脂質代謝、動脈硬化。特に赤ワイン、チョコレートなど抗酸化作用の研究で知られる。『頭の老化に効く食品 体の老化を止める食品 先端遺伝子学・長寿医学が導いた!』(青春出版社刊)、『チョコレートの凄い効能 最新の医学が解き明かす がん・動脈硬化を予防する!免疫力を高める!ストレスに勝つ!』(かんき出版刊)など著書多数。 |
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チョコレートを食べたり香りをかぐと、集中力や記憶力が高まるということも、人の脳波や学習実験から実証されています。体育大学のアスリート40人を対象にした実験では、チョコレートを食べたほうが、短距離競走のスタートダッシュが速くなったという結果が出ています。 |
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「チョコレートは肥満の大敵では?」と心配される方がよくいますが、カカオ豆に含まれるカカオバターの脂肪分は吸収率が低く、体脂肪になりくいことが実証されています。しかもチョコレートは少量でも高い満足感が得られるため、脂肪分の多いケーキなどを食べるより、むしろ肥満の抑制になるといえるでしょう。必要以上に食べるのでない限り、チョコレートに含まれている抗酸化物質を摂るほうが身体の老化防止によいという説もあります。 |
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「チョコレートを食べると眠れない」という俗説もあります。確かにチョコレートにはカフェインが含まれていますが、コーヒー一杯に100〜150mgのカフェインが含まれているのに比べて、ミルクチョコレートを100g食べてもカフェインは約20 mg、ココア一杯でも13mg程度と少量です。それどころか、カカオに含まれるカフェインの一種テオブロミンには、むしろ神経を鎮静する効果や精神をリラックスさせ、ストレスを軽減する効果があることが分かっています。 |
東京・上野 国立科学博物館で2月24日(日)まで開催している話題の『チョコレート展』。カカオの不思議なパワーや、世界を股にかけたチョコレートをめぐる歴史、チョコレート工場の疑似体験まで、甘美で濃密なチョコレートの世界をご案内します。
チョコレート展 公式サイト
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2012/choco/info.html
会場の入口には板チョコでつくられた国立科学博物館がお目見え。屋外に展示されている名物の蒸気機関車やシロナガスクジラをテーマにしたモニュメントもチョコレートで制作されています。一歩中に入るとチョコレートの甘〜い香りが濃厚に漂ってきてわくわく! |
会場に入るとまず目に飛び込んでくるのが、日本ではなかなかお目にかかれない貴重なカカオの木。中米やアフリカで栽培されてきたカカオはアオイ科の植物で、意外にもハイビスカスやオクラの親戚に当たるそう。カカオの学名「テオブロマ」は、ギリシア語で「神さまの食べもの」という意味。マヤやアステカの古代文明では神々への大切な捧げものだったのです。
カカオは1本の木に年間6000もの小花を咲かせますが、結実するのはわずか1〜3%。花粉を運ぶ昆虫、果実を食べて種子を運ぶ哺乳類、生育を助けてくれる菌など、カカオは多様な生物環境に支えられて初めて実を結ぶことができるのだそう。 |
運よく実を結んだカカオは半年もかけて熟成します。会場では本物のカカオの実に触ることができますが、「想像以上に大きい!」という印象。堅く厚い果皮を割ると、チョコレートとは似ても似つかぬ白くジューシーな果肉の中に20〜60個の種子がぎっしり。その種子こそがチョコレートの原料となるカカオ豆の正体なのです。 |
4000年の歴史を持つカカオチョコレート。その原型はいまのような固形ではなく、マヤなど中米の古代文明の高貴な人々に珍重され、神に奉納される「飲み物」でした。当時はカカオ豆を発酵、乾燥、焙炒したものを磨砕してペースト状にし、水や唐辛子などを加えて泡立てたものを飲んでいたようです。やがて16世紀の大航海時代になると、スペインの探検家によってカカオが南米からヨーロッパにもたらされ、フランスやイギリスなどの貴族たちに広まっていきました。
マヤ時代の王族や貴族がカカオの飲料を飲むときに使用していた土器には、マヤ独特の象形文字や宮廷の様子などが描かれています。 |
エキゾチックで栄養があるカカオの飲料(チョコレート)はヨーロッパでも大人気で、裕福な紳士淑女は目覚めにチョコレートを飲むのを好んだそう。 |
ヨーロッパの貴族たちが愛用した銀器や陶器のチョコレート・ポットやカップ、木製の泡立て棒モリニーリョなどのコレクションが会場にずらり。ヨーロッパでは砂糖を入れて飲まれていたようです。 |
チョコレートはさまざまな工程を経て、私たちの口に届きます。会場にはチョコレート工場を模したコーナーがあり、カカオ豆になった気分で、カカオの外皮を風で飛ばしたり、カカオの実を熱風で焙煎するなど、美味しいチョコレートができあがるプロセスを疑似体験できます。 |
チョコレートもココアも全て同じカカオ豆からつくられますが、それぞれ製法が異なります。ちなみに、ココアを発明したのは、いまもココアの代名詞になっているオランダのクンラート・バンホーテン。固形チョコを初めて製造したのはイギリスのフライ社。いずれも19世紀のことで、紀元前から続くチョコレートをめぐる歴史の中では、まだ日が浅いといえます。 |
会場の最終ゾーンには、国立科学博物館の名物、パンダや忠犬ハチ公、ティラノサウルス、トリケラトプスなどをテーマにチョコレートで制作された造形物があるので、記念撮影に最適!また、第2会場には珍しいチョコレートアイテムや会場限定のオリジナルグッズがずらり。
チョコレートで作られたパンダ |
チョコレートで作られたトリケラトプス |
第2会場で売っている『チョコレート展』のガイドブック(税込1200円)も板チョコをモチーフにしたデザイン。チョコレートに関する知識が満載です。 |
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チョコレートって、実に奥が深いですね。ダイエットや健康によくないと思ってチョコレートを我慢していた方も、これからは堂々とチョコレートを食べましょう!チョコレートの健康効果に関する研究も、近年ますます増えているそうなので、さらに新しい効能が明らかになるかもしれませんね。