HOME > 特集記事> 【2010年10月号】農業×ヨガライフで健康!



今月の特集は、ヨガ講師でありながら農家に嫁ぎ、農業とヨガで「20歳の頃よりも元気!」と語る溝口優子さんにお話を聞きました。肥満気味だった旦那さんの体重が8か月で14kg落ちた、その理由とは!?


かつて400ccのバイクを駆った女性が、ヨガと農業に出会って健康に。


今回は、千葉県成田市にやってきました!この地は有機肥料を使い、農薬を使わずに野菜を栽培する農家が多い土地柄なんだとか。今回取材する溝口さん夫妻も、有機肥料と無農薬で野菜栽培を営んでいます。

まずなにより興味深いのは、ヨガインストラクターでありつつ、今年の1月に“新米農家の嫁”となった溝口優子さんの経歴。現在も日がな農業を手伝いつつ、週に4日、ヨガを教えています。さぞかし昔から健康的な生活を送っていたのかと思いきや、「20歳前後の頃は、健康とは言い難かった」とのこと。

“めんどくさい”が口癖でしたね(笑)。友達と代官山などに買い物に行ったとしても、5分くらい歩くと“お茶しよう♪”って言って休んでました。これといったアウトドアな趣味もなくて、スポーツも嫌い。子供の頃、体育の授業はサボることばかり考えていた気がします。デザインの専門学校に通っていたんですけど、映画を観たり本を読んだり音楽を聴いて過ごす“インドア”ライフでしたね」

唯一のアウトドア?といえるのは、バイクに乗ること。中型免許を取得して400ccのバイクに乗り、女の子だけのバイクチーム(暴走族ではなく安全運転がモットー)に参加していたことは勇ましい限りですが、ちょっと“健康”とは程遠い気も(笑)。そんな優子さんは学校を卒業し、グラフィックデザイナーとして働き始めます。そこで、悩みのタネが生まれました。

腰痛です。デスクワークの方は総じてお悩みだと思いますが、私の場合かなりひどくて、接骨院に行ったのですがなかなか改善しない。これは運動不足から脱して、自分なりに生活を変えていかないといけないな、と思ってスポーツジムに入りました。エアロビクスなどいろいろなフィットネスプログラムを一通り体験しましたが、その中で自分に合っているなと思ったのがヨガだったんです

ヨガとの出会いはちょうど2000年頃。「ミレニアムだし、何か始めようと一念発起できたこともヨガと出会えた理由のひとつ」と優子さん。現在、ヨガを実践している人は数多くいますが、当時はまだまだマイナーな存在で、時に「ヨガ!?怪しいね・・・」などと言われることもあったとか。

「ただ、続けることによって腰痛もだんだんと改善していったんです。体も軽くなりましたし、カラダの動きと呼吸をコントロールするヨガの気持ちよさにもハマりましたね。そこである時、一日24時間のうちなるべくヨガに関わっていたいなと思い立って、講師になろうかな、と。ただ、ヨガの先生ってスポーツ万能だったり、ダンスをやっていた方だったりするんですよ。そんな中、運動も得意でない上にあがり症な自分がやっていけるだろうか不安で、なかなか踏ん切りがつかなかったんですよ」

そんな不安が払しょくされたのが、ヨガの発祥地、インドへの旅行。優子さんいわく「インドへ行ったら頭のネジが飛んじゃった(笑)」とのこと。ヨガの世界は奥深く、さまざまな決まりごとがあるように思えるが、その実、自由なところが多々あり、「私でも講師になっていいんだな」と思えたのだとか。晴れてヨガ講師になり、ヨガ三昧の生活を送る中で、いわゆる“婚活”に臨んだ優子さん。

「相手の年収だとか、いろいろな要素が気になっていくとキリがないんですよね。だから最終的にはフィーリングで選ぼうと。そしてフィーリングが合ったのが、農業を始めて5年目の新米農家だった現在の旦那さんなんですよ」

旦那さんが8か月で14キロのダイエットに成功!


今年の1月に同居し始めた溝口さん夫婦。その中で劇的に変わったことといえば、旦那さんである和孝さんの体重でした。体を動かすペースは例年通りなのに、8か月で14キロ(!)ものダイエットに成功し、20代前半のベスト体重を取り戻すことができた和孝さん。その理由は「食生活の改善が大きい」と優子さんは語ります。

「かつては近くの定食屋さんで“肉とご飯とラーメンのセット”ばかり食べていたそうなんですよ(笑)。“たまに野菜を食べるときはインスタントラーメンに入れるくらい”ということを聞いて最初はびっくりしましたね。有機・無農薬の野菜をそんなふうに食べるのはもったいない!って(笑)。そこで、野菜中心の食事にシフトしたんです。以前はお酒も大量に飲んでいたらしいんですが、今は2人で“いいものを、少しだけ”飲むようにしています」

魚や肉もごくたまに食べるけれど、基本的には野菜が中心。主食は玄米やパスタなどの麺類ですが、旦那さんがちょっと夏バテ気味だなぁと思う時には白米や魚、肉も取り入れるとのこと。厳密なベジタリアンというわけではなく、ケース・バイ・ケースで柔軟な食生活を送っているそうです。でも、“ラーメンつき焼肉定食”を定番メニューにしていた旦那さんを満足させるには、野菜といっても凝った料理を作らないといけないのでは?

「最初に野菜を食べて私がびっくりしたのは、やっぱり美味しい!ということ。有機肥料と無農薬という点もありますが、採れたて新鮮なものが手に入る、というのがいちばん大きいと思います。だから、いろいろと凝るよりも、ちょっと煮たり、焼いたり、乾煎りしたりするだけのほうが野菜本来の味がして美味しいんです。ただその分、調味料と油にはちょっとこだわってますね。ハーブ塩をはじめ、いろんな調味料で味に変化をつけてます。油は、ちょっとお値段は張るんですけど、マクロビオティックに取り組む方が愛用している菜種油を使っています」

溝口さん夫妻の食卓一例

空芯菜のナンプラー炒め


オクラとモロヘイヤと鰹節のパスタ

ナスと梅肉とルッコラのパスタ

ししとうとオクラのカレー

夏野菜のクスクス

ナスのオリーブオイル漬

にんじんの美味しさに触れて、有機肥料と無農薬栽培を志す



収穫したての新鮮な野菜を
畑に停めたトラックの荷台ですぐに梱包して出荷。
シンプルな料理に、多彩な調味料と質の高い油。それが14キロ減に至った要因といえそうです。それにしても野菜を「おいしい!」と感じられるのは、なんともうらやましい限り。そこで、野菜の栽培について旦那さんの和孝さんにも伺ってみました。

農業を始めたのは、有機肥料・無農薬で栽培したニンジンを食べて“すごい美味しい!!”と思ったことがきっかけです。また、市場に出すような野菜を作ろうと思うと、一種類の野菜を大量に作らなければなりませんから、初期投資がかなりかかるんです。その点、有機肥料・無農薬での栽培は、初期投資もそんなにかかりません。ただ、虫がついたり天候不順で不作に終わるリスクも高いので、一年を通じていろいろな作物を栽培していくことが一般的ですね」

よく“有機栽培のにんじんは美味しい”といわれますが、まさにその通りのにんじんを食べて、この道に入った和孝さん。ただし、当然ながら苦労も多いはず。通常の化学肥料を使った栽培に比べて、「手間は3倍くらい余計にかかる」とのことです。

「豚のフンからできた堆肥を使ってますが、お年寄りでもパラパラ撒ける化学肥料に比べて重いんです。もちろん、農薬を使わないから虫も取らなきゃなりませんし、除草剤も使わないので草も伸び放題。これの刈り取りも一苦労ですね」

機械を使うところは使うけれど、手作業もかなり多くなるそうです。優子さんいわく「重労働というよりも、長時間の軽作業」。前かがみの姿勢でずっと作業しているため、腰を悪くする方も多いんだとか。そこで優子さんは現在、農家のお母さんたちを対象に、腰の負担をやわらげる「農業ヨガ」を開発。定期的にお母さん方が集まって、ヨガ教室を開いています。体の痛みが切実な方も多いため、みなさん真剣にヨガに取り組んでいます。

さて、先ほどにんじんの美味しさについて触れましたが、他に、そうした栽培方法で美味しさが際立つ野菜はあるのか、知りたいところです。


農作業は前屈みの姿勢の連続。疲れた腰をヨガで伸ばす。

「基本的に“土の中で育つもの”のほうが、一般的な農法で栽培した野菜との味の差がわかりやすいと思います。あとは豆類とかキャベツですね。スーパーに並んでいる、ごくふつうのキャベツには、不自然な苦みを感じることがあります。苦みも野菜の味の要素ではありますけど、それとは違う苦みといいましょうか・・・」


手に持っている野菜はオクラの一種
「ダビデの星」。超巨大!!
現在、溝口さん夫婦はナス、ししとう、モロヘイヤ、かぼちゃ、らっかせい、さつまいも、にんじん、カブ、大根、レタス、キャベツなど、季節に応じて多種多彩な野菜を作って出荷しています。最近は農家から直接、通販などで野菜を購入する方も増えていますが、溝口さん夫婦も「お野菜BOX」を用意して、直接買える仕組みを作っています。

今年の夏は猛暑で、雨が降るまで何週間も苗が植えられない“雨待ち”状態が続くなど、さまざまな苦労がある農業ライフですが、その一方で“健康”を手に入れた和孝さんと優子さん。なかなかマネの出来ない暮らしぶりではありますが、今回お聞きしたご夫婦の生活スタイルから、なんらかの健康へのカギを感じ取ってもらえれば幸いです!


優子さん直伝!お手軽&簡単・生活の中で実践できるヨガ


【テレビを観ながら】下半身の血の巡りを促すヨガ
両足の裏を合わせ、組んだ手でつまさきを持つ。かかとを少し自分のほうに引き寄せて股関節を開いたうえで、両膝を蝶のようにパタパタと上下させます。デスクワークの方や下半身に冷えを感じる方にオススメです。
【テレビを観ながら】腰に疲れを感じている方向けのヨガ
うつぶせの状態から、肩とひじが90度になるように起き上がって腰を反らします。頭のてっぺんを前に突き出すような感覚、背骨を長く伸ばすような感覚で、この姿勢を2〜3分キープ。膝をちょっと上げると、より効果的です。
【椅子に座りながら】姿勢が気になる方向けのヨガ
両手を目の前で組み、そのまま頭上へ持っていきます。二の腕で軽く耳を挟むようにして、上に伸ばしましょう。伸びきってから、左右へゆっくりと体をねじるとさらに効果的です。
【椅子に座りながら】腰や肩に疲労を感じる方向けのヨガ
姿勢正しく座った状態から、写真のように椅子の背もたれに手をかけます。そして、お腹から胸、肩と、下から少しずつ後方に体をねじってきます。最後は首をねじり、視線も後ろへ。左右繰り返しましょう。
【椅子を使って】アタマが疲れたと感じる方向けのヨガ
写真のように、両手首を背もたれにかけて、背中が曲がりすぎないようにして前屈。首や体の力を抜いて、だらんと脱力しましょう。

◆今回取材させていただいた溝口優子さんのブログはこちらhttp://ameblo.jp/tkbuko/
◆溝口さんご夫妻のホームページはこちらhttp://www.arumama.info/