HOME > 特集記事> 【2009年11月号】“効率的”ウォーキングのススメ


“効率的”ウォーキングのススメ


日々の暮らしの中で手軽に実践できる運動といえば「ウォーキング」。歴史ウォークや紅葉ウォークの紹介をはじめ、効率の良いウォーキング術を公開いたします!


オススメ! これからの季節のウォーキングシーン


現代人のエクササイズとして近年注目を集めている「ウォーキング」。健康維持やダイエットなどを目指す人にとって、日々の暮らしの中で手軽に実践できるとあって人気を博していますが、毎日「自宅周辺」を舞台に歩いていると、どうしても飽きてしまいがち。そこでご提案。休日には郊外に出かけて、自然の中でウォーキングを楽しんでみませんか?これからの季節におすすめのウォーキングシーンをご紹介しましょう。

歴史ウォーク いにしえの人びとが歩みを進めた、箱根八里の東坂


近年、東海道五十三次や中山道六十九次など、歴史街道を辿るウォーキングが静かなブームとなっています。ただし、まとまったお休みとお金がない限り、一度の旅で踏破することはできません。そこで「今回の旅では、ここからここまで歩こう」「ここまで歩いたから、次の旅はここまで歩く」といったように、3年ほどの間に数回、街道筋に旅行しつつ、小分けにして「踏破」するといったスタイルが主流です。

歴史風情が漂う宿場町や、かつての姿をそのままにとどめた自然の中を歩くと、いにしえの人びとの息遣いが聴こえてくるかのよう。なんとも旅情満点で、心置きなくウォーキングを楽しむことができます。

「踏破」は難しいけれど、その風情にはぜひ触れてみたい、そんな方におすすめしたいのが、旧東海道の箱根・東坂です。

「箱根八里」という言葉があります。これは、箱根の山を超える距離が八里(約32km)であるということ。江戸から京へ向かう場合、麓(箱根湯本)から山の頂までが四里、頂から三河の国(静岡)側のふもとまでが四里。足して八里です。この距離を一度に踏破するのは、よほど健脚の人でない限り厳しいと思います。

ただし「東坂」と呼ばれる江戸側の麓から山の頂までなら、そう難しくはありません。もちろん登り坂ですので、それなりには労力を要します。もし体力に自信がなければ、最初にバスで登って、東坂の「下り」をウォーキングして楽しむ、という方法を選んでもよいでしょう。

なぜ「東坂」がおすすめなのか?その魅力は、江戸時代の人びともその上を歩いた「石畳」がそのままの姿で残っている点です。木漏れ日が差す石畳を歩いていると、ふとタイムスリップしたかのような感覚に浸れます。他にも松尾芭蕉の句碑や、北条氏五代の墓がある早雲寺、畑宿の一里塚などの見どころも豊富。見晴らし茶屋で蕎麦を手繰って小休憩して、杉木立を抜ければいよいよ頂へ。忠実に復元された箱根関所や芦ノ湖、朱塗りの鳥居が美しい箱根神社が迎えてくれます。


◇箱根旧街道 東坂(箱根町観光協会)
http://www.hakone.or.jp/japan/tourist_info/course/hike_01.html


紅葉ウォーク 錦秋の世界を愛でながら、心もカラダも健康になる!


秋といえば、なんといっても紅葉。赤や黄色に染まる自然の中をゆっくり、のんびりと歩けば、日々のストレスは解消され、なおかつウォーキング効果が現れること請け合いです。

紅葉とウォーキング、両者を兼ね備えたスポットは全国に多々ありますが、今回ご紹介したいのは、新潟県の妙高高原自然歩道です。燕温泉から苗名滝を結ぶ10km程度のコースですが、コースの中間点にあたる新赤倉温泉から苗名滝の間は平坦な道が多く、見どころの多い初心者向けコースとして人気を得ています。

スタート地点は、新赤倉温泉の妙高高原スカイケーブル山麓駅。雄大な妙高山を眺めながらウォーキングを始めると、程なくして「いもり池」が現れます。

周囲500m程度の池には整備された周回遊歩道があり、バリアフリーとなっているため、誰にでも自然を満喫するウォーキングが楽しめます。

そこから白樺の木立を抜け、のんびりとした田園地帯を歩き、苗名滝へ。「日本の滝百選」にも選ばれた苗名滝は、高さ55m。水量も多く、轟音を響かせながら滝壺に落ちる様は圧巻の一言。さらに今の季節は、紅葉が彩りを添えます。例年10月末頃が見頃のピークですので、なるべく早めにお出かけしてみてはいかがでしょう。

◇妙高高原自然歩道(森林セラピーポータル)
http://forest-therapy.jp/modules/tinyd35/index.php?id=3


雪山ウォーク 絶景に出逢い、心地よい汗をかく冬ならではのウォーキング


「雪山を歩く」というと、山を知り尽くす登山の達人でなければ到底無理・・・と思われるかもしれませんが、起伏の少ない雪原などを歩く「スノートレッキング」が静かなブームとなっています。

スキーができなくても大丈夫。「スノーシュー」といわれる現代風に改良された“かんじき”を覇き、ストックを両手に持って杖代わりにして野山をゆくのがスノートレッキングです。景色の美しさはもちろんのこと、時には動物の足あとや、雪の中で生命力をみなぎらせる植物などに出会えることもあります。

ただし、冬の自然を侮ってはダメ。未経験者や初心者は、ガイドさんの案内や、スノーシューをレンタルできるガイドツアーに参加するようにしましょう。歩き方のコツを教えてくれたり、普通に歩いていては気づかない「見どころ」を教えてくれます。

今回おすすめしたいのは、長野県の富士見パノラマリゾート。ゴンドラに乗って山頂まで行き、そこから湿原を抜けて入笠山山頂まで向かう約3時間程のコースです。単なる平地を歩くのではなく山頂からスタートするため、八ヶ岳連峰と南アルプス山系の絶景を眺めることができます。

2010年は1月23日(土)から初心者ガイドツアーがスタート。ガイドさんの中には、今年の夏に話題となった映画『劔岳 点の記』で、一部登山シーンの代役をつとめた“山のスペシャリスト”もいらっしゃるとか。用具レンタルや、雪景色の中で頂く温かいランチもセットになっています。今年の冬、ぜひ挑戦してみてはいかが?

◇スノートレッキング(富士見パノラマリゾート)
http://www.fujimipanorama.com/snow/snowtrekking/index.html


疲れるのに疲労回復!?ウォーキングの効果


ウォーキングには、様々な効果が期待できます。よく言われるのが、脂肪燃焼。有酸素運動を行なうことにより、内臓脂肪や皮下脂肪をエネルギーとして燃やすことにつながります。脂肪燃焼時には酸素が必要となるため、酸素を取り入れつつの(息を止めて踏ん張ることのない)有酸素運動が効果的というわけです(ただし注意点もあります。下の章のレポートをご参照ください)。

それだけではありません。注目したいのが「疲労回復」効果。歩くことによって疲れるのに、なぜ?と思う方も多いことでしょう。たとえば、パソコンやテレビを長時間みていたり、デスクワークをしている方などは、同じ姿勢で居続けることで血の巡りが悪くなり、眼や肩、腰など、局部に「疲れ」「こわばり」を覚えます。緊張した筋肉にたまった疲労物質(乳酸)を速やかに心臓へリターンさせ、疲れをとるために、軽めの運動、すなわちウォーキングが有効となるのです。こうした疲労回復法は、積極的休養(アクティブ・レスト)と呼ばれています。いわゆる「ゴロ寝」といった消極的休養よりも効果があるのです。

その他、新陳代謝の促進や成人病、生活習慣病の改善、横隔膜の筋肉が鍛えられ、階段などで息切れしなくなる心肺機能の強化、ストレス解消やリフレッシュ効果などが期待できます。

また、激しい運動に比べてケガをするリスクも少なく、体力に自信のない方でも取り組むことができるスポーツです。決して無理をせず、「疲れたからゆっくり歩こう」「もう今日はこれで終わり」「水を飲もうよ」といった自分の内なることばに耳を傾けつつ、ウォーキングに取り組んでみてください。

実践レポート「より効果的なウォーキングを目指す!!」


ダイエットの知識はけっこう豊富なのにも関わらず、それに矛盾してわりと肥っている私、元気通信編集部員のKが、より効率のよいウォーキングを一週間実践してみました。

まずはストレッチから。いくらウォーキングが軽度の運動だからといって、怠ってはダメ。特にこれから寒くなる時期には必須です。両足を肩幅と同じくらいに広げ、両手を大きく上に伸ばす。伸ばしきった状態で5秒程度、停止する。さらに膝の屈伸、アキレス腱を伸ばすなど、基本的なストレッチで十分です。

それではいざ、ウォーキング!効率を上げる、正しい歩き方をまとめてみました。


なにぶん普段あまり運動していないので、私の場合は初日が20分。2日目から6日目までが30分。最終日はちょっとフンパツして40分歩きました。これは知人であるパーソナルトレーナーから聞いた目安を参考にしています。

トレーナー氏が言うには「1時間以上歩くと、逆効果になる可能性がある」とのこと。それはなぜ?歩けば歩いただけカロリーが消費されるんじゃないの?と思いましたが、氏いわく「歩くエネルギーの源いわゆる脂肪を燃やす有酸素運動によって生み出されます。しかし、毎日毎日長時間歩くと、 人間のカラダは脂肪ではなく筋肉を使ってエネルギーを生み出そうとするんです。そうすると、筋肉が減る。筋肉は基礎代謝の源で、肥りにくいカラダ(ダイエットしてもリバウンドしにくいカラダ)を作るのに必要不可欠ですから、減らさないようにしたほうがいいです」とのこと。なるほど、納得。よくウォーキングに際して「○分歩いたから○カロリー消費した」という目安があり、これはこれで間違いではないのですが、長い目でみると目先のカロリーよりも、筋肉を維持する歩き方をしようと思いました。もちろん、たまの休みに郊外に出かけて長い距離を歩くのは問題ない、とのこと。

また、歩く速度はやや速めにしました。普段歩く速度でもかまわないそうですが、エクササイズを心がけるなら若干速めにして、呼吸は長めにする(多めに息を吸い込み、吐き出す)ほうがよいとのこと。

さらにトレーナー氏の「筋肉礼賛論」を尊重し、ウォーキングの後、クールダウンのストレッチに加え、腹筋と腕立てを取り入れることにしました。また、ウォーキング中も腕を積極的に振ることを意識すると、全身の筋肉が刺激され、有酸素運動中でありながら筋肉を鍛えることにもつながるそうです。

そうこうして一週間が経過。体重を量ったところ、0.1kg減という、なんとも微妙な成果が!しかしこれもトレーナー氏の言葉ですが「むしろ増えることもある」とのこと。筋肉は脂肪よりも重いので、普段運動しない人が少し運動をし始めると、最初は筋肉がつくので体重がやや増えることもあるんだとか。その状態がしばらく続いたのち、減り始めるようです。

やはり何事も「続けること」が大切。私の場合「今日はウォーキングコースに咲く“花”に注目してみよう」「今日はあえて“車のガレージ”に注目だ!」などと、テーマを決めて歩いてみるとけっこう楽しかったです。ガレージにあんなにたくさん種類があるなんて、今まで意識したこと無かった(笑)。

皆さんも、楽しみつつウォーキングにいそしんでみてはいかがでしょう。