HOME > 特集記事> 【2009年10月号】さんまの秋


さんまの秋


ジュージューと音を立てるアツアツのさんまにレモンをジュッと垂らす・・・これぞ日本の秋の醍醐味です。さんまの健康パワーから料理、雑学に至るまで“さんま尽くし”でお送りします!


今が旬!美味しいさんまは“刀のように”立つ!


今年のさんま、皆さんはもう食べましたか?今年は豊漁で、漁獲高も上々。築地市場の8月の入荷量は昨年の倍にも上ったそうです。1尾100円を切るさんまもスーパーなどでよくみかけます。

さんまの旬は9月から11月にかけて。今がまさに旬です。旬より以前に獲れるさんまは一般的に「新さんま」と呼ばれ、脂の乗りが旬の時期ほどではありませんが、刺身で食べたり、酢で締めたりするのには向いています。新さんまが獲れ始める7月頃は、なんと競りの段階で1尾1000円を超えることも!その価格が秋になるにつれてだんだんと下落していくことになります。

ちなみに、さんまはスーパーで一年中並んでいる魚。水揚げされる時期以外のさんまは、冷凍したさんまを解凍したもので、俗に「ヒネもの」と呼ばれています。新さんまが出始める頃は価格が圧倒的に違うので一目瞭然ですが、8月頃になると新さんまの価格も落ちてくるため、表記がない場合はお店で「これはヒネもの?それとも新さんま?」と聞いてみるのがよいでしょう。ただ、「ヒネもの」でも脂が乗っていて美味しいケースは多々あります。

それではここで、「美味しいさんま」の見分け方をご紹介しましょう。購入する際にはぜひとも参考にしてくださいね。

脂の乗った新鮮さんまは、ココが決め手!!

【Point-1】お腹が硬い
【Point-2】黒目の周りの白い部分が濁っていない
【Point-3】尾を持ち、頭を上にして垂直に立てた際、刀のようにピンと一直線に立つ
【Point-4】青みがかったウロコが多い
【Point-5】尾の付け根や口元が若干黄味がかっている
【Point-6】大きくて厚みがある

※スーパーなどではあまり触れず、見た目の要素で選ぶようにしましょう。



さんまは栄養の宝庫!さらに「相棒たち」の栄養パワーも享受!


さんまを食べて「血の巡り」を良好に
さんまにはたくさんの栄養が含まれています。まずは魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)。脳や神経組織の発育を促し、機能を保持するといわれているDHAですが、一日に必要とされるDHAの摂取量はさんま一匹で補うことができます。

次にEPA(エイコサペンタエン酸)。これは青魚に多く含まれています。血液の凝固を抑える力、つまり「血の巡り」をよくする効果があるといわれ、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病の予防にも一役買ってくれることが昨今の研究でわかってきました。

その他、貧血予防に効果があるといわれるビタミンB12、骨を丈夫にするビタミンD、さらにビタミンAも豊富です。

ただし、ご存知の通りさんまは脂分の多い魚ですので、摂りすぎは肥満の原因にもなります。適度に食べるよう心がけましょう。

大根おろしは「皮ごと」を「すりたて」で食す

さんまの塩焼きに欠かせないものといえば、まずは大根おろし。大根おろしには消化を助ける働きを持つ消化酵素がたくさん含まれています。これら酵素は「熱を加えない大根」だからこそ働くもの。すりおろした生のままの大根おろしは、しっかりと消化を助けてくれるんです。また、皮に近い部分ほどビタミンCを多く含むため、多く摂りたい人は「皮ごと」すりおろすのがおすすめです。

また、大根おろしは「辛さの調節」ができること、ご存知ですか?大根おろしは、すりおろした直後は甘く、5分後には辛さが頂点に達し、そこからだんだんと辛味が減りはじめる特性があります。さらにすりおろす部分によっても変わります。大根の外側は辛く、内側は甘いため、どこをするかによって調節することができます。

ただし、健康を考えると「すりたて」がやっぱりおすすめ。すりおろしてから時間が経過すると、ビタミンCや消化酵素が減少する為です。

柑橘類の汁にはビタミンCがいっぱい

大根おろしを添えたさんまに「プラスアルファ」するものとしてよく使われるのが、柑橘類の汁。レモンをはじめ、カボス、すだち、ゆずなどの絞り汁がよく用いられます。また、ビタミンCには抗酸化作用があり、ビタミンEとともに摂取すると効果が上がるといわれています。さんまにはビタミンEも含まれていますので、栄養面からみても柑橘類の汁は、相性抜群といえるでしょう。

さんまの「ワタ」。あなたは「食べる」派?「食べない」派?


さんまの「苦味」を演出しているのが、「ワタ」と呼ばれる内臓です。通常、魚はワタを抜いて食べることが一般的ですが、さんまの場合はワタを除かずに塩焼きにしたりしますよね。それはなぜかといいますと、さんまの内臓は至って単純な構造をしており、餌を食べてから排出するまでに1時間とかからないため、内臓特有のえぐみが少なく、他の魚よりも比較的食べやすいからです。 「それでもワタはちょっと苦手・・・」という方もいますよね。逆に「ワタが酒の肴に最高!」という方もいらっしゃるはず。そこで、双方の豆知識をここでご紹介しましょう。

「ワタ食べない」派 簡単!ワタの取り除き方

(1)さんまの背を下にしてまな板に置き、ヒレの脇から背に向けてカットする。(背骨は切らないようにする)


(2)頭を持ち、捻るようにして力を加えて引く。


(3)そのままゆっくりと、ワタを引き出す。


(4)簡単にワタとさんまが分離。ワタを抜いた中はよく洗って血あいを落としましょう。


「ワタ食べる」派 ワタ嫌いな人でも食べられる簡単レシピ「さんまのワタ焼き」

 
さんま 2尾
2匹分のワタ
大さじ1
みりん 小さじ1
醤油 小さじ1
味噌 大さじ1
豆板醤 適宜
オリーブオイル 適宜





(1)さんまのワタを細かく刻み、酒、みりん、醤油、味噌、豆板醤と合わせる。
ワタにさんまのウロコが入っていたら、この時点で取り除いておく。



(2)合わせた汁に、切れ目を入れたさんまを20分程漬けてなじませる。


(3)オリーブオイルをひいたフライパンで表裏まんべんなく焼く。


(4)できあがり。塩焼きの際に食べるワタよりも苦くなく、ワタの濃厚な「コク」が食欲をそそります!!

◇「美味しいさんまの塩焼き」ワンポイント

さんま料理の定番といえば塩焼き。塩を振ってから焼くカンタン料理ではありますが、水洗いしたさんまの水分をキッチンペーパーなどでしっかりふき取ること、焼く10分〜15分前には塩を振っておくことが、臭みを取ることにつながります。また、焼く5分前にはグリルを熱しておきましょう。