HOME > 特集記事 > 【2008年5月号】森の癒し


「森の癒し」


日常の疲れを癒し、私たちを優しく包み込む「森」。ストレスケアとして森林療法が注目されるなど、森が持つ力が次第に明るみになってきました。いざ、森へ出かけて元気を手にいれましょう。



万病のもと「ストレス」を森で発散!


「森の恵み」というと、皆さんは何を連想しますか?木々は建築資材になるとともに酸素を作って二酸化炭素を抑制し、根や土壌は土砂災害を防ぎ、動物にとっては棲家となり、大いなる食物連鎖を育む・・・私達は古来からたくさんの「恵み」を森から授かってきました。そのうちのひとつが、私達人間を森が「癒してくれる」ということ。森が持つ癒しのパワーに今回は注目してみたいと思います。


五感を通じて「癒し」を感じられること、それが森林の魅力です。「耳」で感じるのは小川のせせらぎや滝の音、木の葉が風を受けてざわめく音。「目」では、森がおりなす「緑」の色彩。緑は落ち着きと安らぎを感じさせてくれる色といわれています。「鼻」では、木々の香り。ヒバや杉、ヒノキなどの香りはアロマテラピーの分野でも扱われています。そして「舌」ではキノコなどをはじめとした「森の幸」、さらに清流の水なども私たちを和ませてくれます。また、清流に手をかざして水を汲むときや、木にじかに触れるなど「触覚」の面でも「癒し」を与えてくれるといえるでしょう。


森の中を歩き、五感で森を感じる・・・心の底からリラックスするその行為は、皆さんご存知のとおり「森林浴」といわれています。この言葉が登場し始めたのは1980年代初頭の頃。当時の林野庁が自然保護の観点と、健康のために森林を活用することを提唱し、使い始めたといわれています。


そして現在、日々都心で働く人々は、少なからずストレスを無意識のうちに溜め込んでいます。ストレスは自律神経失調や不眠症など、さまざまな症状に繋がる要因のひとつです。森林浴には、こうしたストレスを緩和させる効果があるといわれています。


一方、海外に目を向けてみると、日本と同様に森林は恵みをもたらすものとしてみなされている国も多々あります。国家規模で森の保護と活用を目的とした森林政策を掲げているスイス。ドイツに至っては、森の面積は日本の半分ほどにもかかわらず、森を管理する営林署の数は日本をはるかにしのぎます。また、19世紀ドイツの神父、セバスチャン・クナイプが提唱した「クナイプ療法」と呼ばれる自然療法には、水療法・運動療法・食物療法・植物療法・調和療法の5つの柱があり、メインは水療法であるものの、運動療法の一環として森林散策を薦めています。現在でもれっきとした自然療法として扱われ、専門の保養施設もあり、さらに社会健康保険が適用されます。


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トレッキングフィールドとして整備された「森林セラピー基地」


現在、森林がもたらす癒し効果を、科学的に立証しようとする研究が世界各地で行なわれています。日本でも、平成16年に林野庁が「森林の健康と癒し効果に関する科学的実証調査」の結果を発表。免疫機能を有するナチュラル・キラー細胞の活性が有意に上昇したこと、都市環境下に比べストレスホルモンであるコルチゾールが有意に減少したことなどを発表しました。


森林浴から一歩進め、科学的に解明して心身の健康に活かそうとする試みは「森林セラピー(R)」と呼ばれ、産・官・学が連携して研究を行い、「癒し」効果の検証等がなされた全国24ケ所の森が「森林セラピー基地」「森林セラピーロード」として認定されています。では実際にいくつかご紹介しましょう。


◇「森林浴発祥の地」 信州木曽上松・赤沢自然休養林


昭和57年から「森林浴の集い」が催され、森林浴発祥の地としても名を馳せている赤沢自然休養林(長野県上松町)。香りは精神をリラックスさせる効果があるとされる「木曽ひのき」が多く、環境省が指定する「かおり風景100選」にも選ばれています。自然散策のコースは8つあり、高齢者や車椅子の方でも森林浴を楽しめるコースや、渓流沿いを進むコースなど、利用者の足腰の強さに合わせたコースが整備されています。

http://w2.avis.ne.jp/‾akasawa/




◇東京都檜原都民の森〜大滝の路〜


年間20万人の観光客が訪れる、東京都檜原都民の森「大滝の路」。ウッドチップが道に敷かれているため足に負担がかからず、勾配も緩やかなため、気軽にトレッキングを楽しめる全長1キロの森林セラピーロードです。運がよければヤマネ、ムササビ、モモンガ、リス、テンなどの動物に出会えることも。道の途中には見晴台に吊り橋もあり、終点は風光明媚な三頭大滝。東京都にいることを忘れてしまうほどです。

http://www.hinohara-mori.jp/




◇「心のふるさと」信州いいやま 〜母の森 神の森〜


長野県飯山市の「母の森」は総延長50Kmに及ぶ「信越トレイル」をはじめ、「湿原めぐりトレイル」や「希望湖周回トレイル」など、個性に満ちた散策路が多数あります。ブナ林を巡る遊歩道「茶屋池森林浴道」や「ブナの里山こみち」などは気軽に散策を楽しみたい人向けです。北竜湖畔に広がる「神の森」は北信濃三大修験の里のひとつといわれ、約800メートルに及ぶ樹齢300年の杉並木を通ると、心静まること請け合いです。

http://www.iiyama-therapy.com/




◇いのち彩る里 飯南町 〜島根県 県民の森〜


島根県中南部、豊かな森と高原が広がる飯南町には、川のせせらぎを聞きながらトレッキングを楽しめる約1.3キロの「小田川コース」と、約50種類の薬草・薬木が植栽されている道をゆく約1.5キロの「山野草園コース」があります。野草が花開くのは5月上旬から中旬にかけて。歩行コースには木材チップが敷かれ、歩きやすい点も特長のひとつです。

http://www.iinan.jp/forest-therapy/




養命酒のふるさと、中央アルプスの麓に広がる緑豊かな「養命酒 健康の森」でも、森林浴や自然散策、くつろぎのカフェやファミリー体験プログラムをお楽しみいただけます。
http://www.yomeishu.co.jp/forest/


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日常生活から抜け出して自然の恩恵を受けに、森へ。そろそろ暖かくなり、新緑が目に眩しい季節です。ぜひお出かけして、身も心も存分にリフレッシュしましょう!



◇森林セラピー(R)ポータル(社団法人 国土緑化推進機構)

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クスノキから香り成分を取り出す


あの懐かしいタンスのニオイ。
誰もが一度は嗅いでいる、あの香りを再現しました。

「クスノキから香り成分を取り出す」

忘れていた記憶を思い出させてくれたり、
ストレスを軽減させてくれたり…。
香りのヒトへの影響力は思った以上に大きいモノ。
そんなニオイを改めて取り出して、分析してみました。
何気ないニオイをひも解くと、見えてくるものがあります。


「クスノキから香り成分を取り出す」の詳細はこちら