HOME > 特集記事 > 【2008年4月号】春の食卓


「春の食卓」


苦味のきいた山の幸、脂の乗った海の幸。春の食材は、私達が春に引き起こしやすい諸症状を予防する栄養素の宝庫です。今月の特集は「春の食卓」。ぜひ参考にしてください。



うららかな春。しかし「木の芽時」は未病の季節


寒い冬から、暖かい春へ。やわらかい陽射し、芽吹く木々、過ごしやすい気候・・・どこをとっても心地よさを感じずにはいられませんが、実際カラダはこの季節にどう反応しているのでしょう?


春は「木の芽時(きのめどき)」などと呼ばれます。動物でいえば「さかり」の季節。次なる世代を生む生命のサイクルが働きます。人間も、体内でホルモンの代謝に変化が起こり、3月頃になるとアレルギー性の疾患が顕著になりはじめます。にきびができたり、花粉症と相まって鼻炎の症状がひどくなることも。さらに「血が騒ぐ」の言葉どおり、過ごしやすい季節でありながら動悸やめまいなどの症状が起こりやすい季節でもあります。その他、頭痛や生理不順、身体がだるい 等の「未病」といえる状況に陥りがちです。また、子供の頃に朝礼で倒れてしまう人もいました。冬の寒さで縮んでいた血管が春になると緩み、立っていると下半身に血が行きやすくなる。逆に脳への血の巡りが悪くなり、貧血などで倒れてしまう、というわけです。病院にいくまでもないとみなされがちな血の巡りもまた、「未病」のひとつといえるでしょう。



寒い冬から、暖かい春へ。やわらかい陽射し、芽吹く木々、過ごしやすい気候・・・どこをとっても心地よさを感じずにはいられませんが、実際カラダはこの季節にどう反応しているのでしょう?



春は「木の芽時(きのめどき)」などと呼ばれます。動物でいえば「さかり」の季節。次なる世代を生む生命のサイクルが働きます。人間も、体内でホルモンの代謝に変化が起こり、3月頃になるとアレルギー性の疾患が顕著になりはじめます。にきびができたり、花粉症と相まって鼻炎の症状がひどくなることも。さらに「血が騒ぐ」の言葉どおり、過ごしやすい季節でありながら動悸やめまいなどの症状が起こりやすい季節でもあります。その他、頭痛や生理不順、身体がだるい 等の「未病」といえる状況に陥りがちです。また、子供の頃に朝礼で倒れてしまう人もいました。冬の寒さで縮んでいた血管が春になると緩み、立っていると下半身に血が行きやすくなる。逆に脳への血の巡りが悪くなり、貧血などで倒れてしまう、というわけです。病院にいくまでもないとみなされがちな血の巡りもまた、「未病」のひとつといえるでしょう。


「未病」についてはこちら

また、春に弱りがちな臓器といえば、肝臓です。中国に古来から伝わる、自然の摂理を現した「五行」の考えにおいても、春は「木火土金水」の「木」であり、方 角では「東」、五臓では「肝」が該当します。冬の間に蓄積された老廃物を「デトックス」するため、活発に働く肝機能。そのため肝臓に負担がかかります。肝 臓が弱ると怒りやすくなったり、目が疲れたりするといった症状にもつながる可能性があります。





春の料理には苦みを盛れ


そんな自然のメカニズムを、正しいものに修正してくれるのも「自然」です。不安定になる人間のカラダを癒してくれるもののひとつが、春に旬を迎える食材です。


「春の料理には苦みを盛れ」。これは昔から伝わる言葉です。ホルモンバランスが変化する春には、身体がタンパク質やミネラル、ビタミンを求めるとい われています。今はハウス栽培の野菜が冬でも出回りますが、かつて冬といえば「青菜」が不足する季節。ただでさえビタミン等が不足していた状況下、春が来 て身体は余計にそれら栄養素を求めるわけです。それを補っていたのが春に芽吹く山菜などでした。往々にして、春の野に育つ山菜には苦味が備わっています。 その苦味を敬遠している場合ではないよ!という考え方が「苦味を盛れ」という言葉に繋がったといえるでしょう。


山菜は栄養価が高く、低カロリーです。さらに山で獲れる天然のものに関しては、基本的に無農薬。身体にとっても大いにメリットがあります。



身体に春呼ぶ、春の食材のチカラ


  • ■菜の花
  • カロチン、ビタミンB1、B2、鉄、カルシウムなどがバランスよく含まれ、免疫力を高めて季節の変わり目に引きがちな風邪を予防する効果が期待できます。水溶性のビタミンCを効率よく摂るため、茹ですぎたり、水にさらしすぎないようにしましょう。


    菜の花を使った料理レシピはこちら

  • ■ふきのとう
  • 春の食材の先陣を切って雪の中から顔を出すふきのとうにはフキノール酸が含まれ、花粉症予防につながるといわれています。また、ふきのとうが成長した「ふき」は低カロリーで食物繊維も豊富です。


  • ■竹の子
  • 便秘解消を促し、コレステロールの吸収を妨ぐといわれる食物繊維、生活習慣病予防が期待できるカリウムが豊富な春の食材です。えぐみの正体はホモゲ ンチジン酸やシュウ酸。掘り出して時間が立つと増えていくため、しっかり灰汁を抜いてから調理しましょう。また、食べ過ぎると竹の子に含まれるノイリンが 作用して、にきびなどの吹き出物が生じやすくなるので気をつけましょう。


  • ■アスパラガス
  • カロチン、カリウムが豊富。疲れやすい、けだるいといった春の症状を改善する効果が期待できるアミノ酸「アスパラギン酸」も含まれています。主に穂先に含まれるルチンは動脈硬化予防にも効果的といわれています。


  • ■えんどう豆
  • ビタミンCやビタミンB1、B2、カロチンが豊富。免疫力を高めて風邪予防に繋がります。


  • ■芹(せり)
  • 身体を温め、高血圧や動脈硬化予防に。油で炒めるとカロチンの吸収率がアップするのでおすすめです。


  • ■春キャベツ
  • ビタミンCが豊富。とりわけ芯の部分が豊富です。ビタミンCはメラニンの生成を抑えシミ、ソバカスを防ぐといわれています。その他、カリウム、カルシウム、食物繊維もバランスよく含まれています。


  • ■行者にんにく
  • かつて修行僧がスタミナ源にしたといわれる行者にんにく。通常のにんにくよりもアリシンが豊富で、血中のコレステロールや活性酸素を取り除く効果が期待できます。


  • ■サワラ
  • 漢字で書くと「鰆」。文字通り、春の魚です。白身の割には脂が乗っているため、DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富。血液中のコレステロール値を下げる効果が期待できます。旬になればなるほど栄養価が高まる魚といえるでしょう。


  • ■ほたるいか
  • ビタミンA、アミノ酸、脂肪酸DHA、タウリンが豊富。小ぶりながらも栄養価の高い食材です。内臓ごと食べることにより、ビタミンAの摂取量も他のイカに比べて多くなります。赤血球や骨の形成に一役買っている「銅」が豊富なことも特長のひとつです。





春の諸症状を乗り切るパワーの源は、春の食材にあり。季節感溢れ、栄養価の高い“春の食卓”を楽しみましょう。


健康のレシピをみる




春の食材とアク


春といえば山菜の季節です。フキノトウや菜の花がほろ苦いように、多くの山菜は苦味やえぐ味などを持っています。苦味は医薬品の苦味健胃薬と同じく、味覚を刺激して唾液、胃液、膵液の分泌を高め、また胃の運動を亢進させる働きがあります。そうはいってもおいしく食べられることが基本ですので、山菜を食べるには適度なアク抜きが必要です。


「春の食材とアク」の詳細はこちら

フキノトウ