HOME > 生薬ものしり事典 > 【2015年8月号】薬味に欠かせない「ショウガ」

生薬ものしり事典35 ショウガ


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今回の「生薬ものしり事典」は、過去にご紹介した生薬百選より「ショウガ」をピックアップしました。

風邪薬にも処方されている生薬

ショウガは、ショウガ科の多年草で、南アジアの原産といわれています。その香りの成分は「ジンギベレン」といい、独特の辛味を生み出しているのは「ジンゲロン」と「ショウガオール」という成分です。
ショウガには、殺菌作用と食欲増進作用があります。そのため、日本では刺身や冷奴、そうめんなどを食べる際の薬味として利用されるのがポピュラーです。一方、西洋ではジンジャーエールなど飲みものや、クッキーなどの菓子類の香料によく使われます。また、中国では、料理の香辛料として使用されることが多いようです。

ショウガを乾燥したものは「生姜(ショウキョウ)」といわれ、体を温めて発汗させる作用を持つ、代表的な「温」の性味を持つ生薬です。日本最古の医学書といわれる『医心方(いしんぼう)』では、ショウガは風邪の薬として紹介されています。そのため、漢方薬の処方にひんぱんに利用されており、風邪の初期症状や頭痛・肩こりなどを緩和する漢方薬「葛根湯(かっこんとう)」にも使われています。

生のショウガ、ショウガを乾燥させた生姜(ショウキョウ)
写真は 左:ショウガ(生)  右:生姜(ショウキョウ)


民間療法では、ショウガと蜂蜜をお湯で溶いた「ショウガ湯」や、紅茶にすったショウガを入れた「ショウガ紅茶」、変わったところでは「ショウガコーラ」などもあるそうです。ちょっと風邪をひいたかなと思ったときに、試してみてはいかがでしょうか?