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生薬ものしり事典 30 独特の匂いで解毒・殺菌!「ドクダミ」


今回の生薬ものしり事典は、過去にご紹介した生薬百選より、新陳代謝を高め、解毒作用を強める生薬「ドクダミ」をピックアップしました。

「十薬」の生薬名で知られる民間薬

ドクダミというと、“毒草”をイメージしてしまうかもしれませんが、逆に毒を抑えるという意味の「毒矯(どくだ)み」からきているといわれています。生薬名は「十薬」といい、馬に食べさせると十もの薬効があることに由来します。いずれもドクダミが優れた薬草であることを物語っていますが、魚が腐ったような生臭い匂いがすることから、中国では「魚せい草」と命名されています。

ドクダミ
ドクダミ

ドクダミは日本で古くから知られる民間薬で、化膿性皮膚炎、水虫などの皮膚病に外用薬として用いられてきました。サツマイモに似た葉をしており、6月の梅雨どきに白い穂状の花をつけます。葉にはデカノイルアセトアルデヒドや、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ミネラルなどが含まれ、生薬としてのさまざまな薬効に関与しています。

十薬(生薬)
十薬(生薬)

ドクダミの強い特異臭の元になるデカノイルアセトアルデヒドは精油成分の1つです。この成分はペニシリンをしのぐといわれるほど強力な殺菌作用を持っており、食中毒をはじめ、傷口の化膿の原因となる黄色ブドウ球菌など、多くの細菌を抑えてくれます。ただし、乾燥したドクダミ(十薬)は、生のドクダミのような強い特異臭が消え、殺菌効果も期待できません。また、クエルシトリンには利尿・緩下(便をゆるくする)作用があり、新陳代謝を高め、解毒作用を強めます。また、ビタミンP様の働きがあるともいわれ、毛細血管を強化し、血圧を安定化させることも知られています。血圧が気になる方は、ドクダミ茶を飲む習慣をつけてはいかがでしょうか。