大晦日といえば、年越しそばですね。歳末にそばを食べる習慣が根付いたのは江戸時代後期でした。商家には月末にそばを食す「三十日(みそか)そば」という習慣があり、これが年越しそばに転じたともいわれています。地方によって違いがあり、例えば福島県・会津地方や新潟県などでは元旦に年越しそばを食べる風習があるそう。また、福井県では大根おろし入りのだし汁につけて食べる「越前おろしそば」、沖縄県では「うちなーすば」と呼ばれる「沖縄そば」、“うどん県”の異名を持つ香川県では2割以上の人がそばならぬ「年越しうどん」を年越しそばとして食べているようです。このように多様なそばですが、今回はいわゆるソバ(タデ科ソバ属の植物)の起源や薬効について、養命酒中央研究所の芦部研究員が解説いたします。
ハレの日の縁起の良い食べ物 養命酒中央研究所 芦部文一朗研究員 |
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ソバの原産地は、東アジアやバイカル湖付近から中国東北地方までの涼しい地域であるといわれています。長野県の野尻湖から花粉が採集されており、5世紀半ばの古墳時代にはソバが日本に存在していたと推測されています。 寒さに強く、少ない肥料でも元気に育ち、生育期間が2から3カ月と短いため、昔は水不足や冷害などで主食となる作物が育たなかったときに、応急的に育ててピンチを切り抜けるために利用されました。初霜の日から逆算して90日前頃までに秋ソバの種をまくことで、その年の内に収穫することができます。
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