HOME > 生薬百選 > 【2009年11月号】生薬百選 68 カモミール


生薬百選 68 カモミール


信州もだいぶ寒くなってきました。私は今年初めて、信州の冬を経験します。来る冬に備え、今回は「苦難に耐えて・苦難の中での力」という花言葉をもつカモミールについて紹介したいと思います。

カモミールは和名でカミツレとも呼ばれ、ヨーロッパ原産のキク科の薬用植物であり、江戸時代にポルトガルやオランダから持ち込まれました。ヨーロッパでも古くから薬として使われています。今日もハーブティーやアロマテラピーなどのリラックス素材として広く利用されています。カモミール(Chamomile)の名は、ギリシャ語でkamai(地上の)、melon(リンゴ)に由来し、「地上のリンゴ」という意味だそうです。花はリンゴの芳香がすると言われています。




ジャーマンカモミール(5月下旬)



カモミールと名の付く植物は、大きく分けて、ジャーマンカモミールとローマンカモミールの2種類があります。分類上は属が異なり、学名や一般名などが混乱しやすいものと思われます。一般的に知られるカモミールはジャーマン種の方で、日本でいうカミツレもジャーマンカモミールのことを指しています。5〜6月頃に開花し、上の写真の様なかわいい花を咲かせます。


乾燥させたジャーマンカモミールの頭状花



薬用部位としては頭状花を用います。主な成分として、ビザボロールやカマズレンなどの精油、フラボノイド類、クマリンなどが含まれています。神経系や消化管の優れた弛緩剤であり、消化管の様々な不調、特にストレスや緊張による不調を軽減することが知られています。また抗炎症作用があることから、スキンケア用品としても使用されています。

今回、人生で初めてカモミールティーに挑戦しました。
甘い香りがして、口当たりもよく、心地よい気分に包まれました。これからカモミールティーの虜になってしまいそうです。

皆様もカモミールティーを飲んで、リラックスしながら秋の夜長を過ごしてみてはいかがでしょうか。

■ 入江 陽(養命酒中央研究所・開発グループ)