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生薬百選 59 連銭草(れんせんそう)


「正月中飲んだり食べたりばかりで殆ど動いていません」などとという方はおられませんでしょうか?このような生活をしていると「メタボ」が心配になる方も多いかと思われます。メタボ(メタボリックシンドローム:代謝症候群)は、内臓脂肪型肥満、高血糖、高血圧、高脂血症の4つに大別されます。この流れでいくと当然肥満を想像される方が多いことと思われますが、今回は少しずらして「糖尿病」の治療に期待されている生薬「連銭草(れんせんそう)」を紹介します。

生薬「連銭草」
生薬「連銭草」

生薬名「連銭草」の由来は、葉形がお金(銭)のようで茎に連なっているからとされていますが、これを持っているとお金がたまるという話は全く聞きません。子供の癇(かん)の虫に効くことから「カントリソウ」という別名もあるそうです。食べるとハッカのような風味がします。

2005年5月2日撮影
2005年5月2日撮影

基原植物はカキドオシ(学名:Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) H.Hara・シソ科)の地上部です。この植物は日本全土の日の当たる路傍や山野に自生しており、植物名の由来は隣接地から垣根を通して進入してくるためです。私のアパートにも「雑草」として元気に生えていますので、身近な薬草といえるでしょう。

利尿、消炎薬として、黄疸、胆道・腎臓・膀胱の結石、糖尿病治療、虚弱体質、強壮などに良いとされており、その他抗潰瘍作用、抗菌作用も報告されています。糖尿病に関しては、実験用糖尿動物による検討で血糖降下作用が認められ、以前紹介しましたタラノキ(生薬百選27)より高かったとのことです。

成分は、精油成分(ピノカンフォン、メントン、リモネン、メントールなど)、アミノ酸(プロリン、バリン他)、タンニン、サポニンなどが知られています。

連銭草は外国でも生薬として利用されており、中国では公定書「中華人民共和国葯典(基原植物はGlechoma longituba (Naka) Kupr.・コウライカキドオシ)」に収載されており、ヨーロッパでも近縁種のセイヨウカキドオシが古くから民間薬として利用されてきたようです。



■ 泊 信義 (養命酒中央研究所・主任研究員)
何を隠そう冬季に動かなくなるのは私です。