HOME > 生薬百選 > 【2008年1月号】生薬百選46 麦門冬(バクモンドウ)


生薬百選46 麦門冬(バクモンドウ)


今年もだいぶ寒くなり、この辺りも雪の舞う日が多くなってきました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。さて今回は「麦門冬(バクモンドウ)」という生薬を紹介します。



ジャノヒゲと青い実


麦門冬の基原植物はジャノヒゲ[Ophiopogon japonicus Ker-Gawler(Liliaceae ユリ科)]といい、その根が紡錘形に肥大した部分を用います。

ジャノヒゲは日本、朝鮮半島、中国に分布し、自生あるいは栽培の常緑の多年草で、採集は5月から8月頃行なわれているようです。 秋になると白い小さな花が咲き、秋には綺麗な青い実をつけます。ホームセンターでも苗が販売され、ガーデニングのグラウンドカバーによく使われます。



植え込みの中のジャノヒゲ(左)  麦門冬(右)


主要な成分としてステロイド配糖体、ホモイソフラボノイドおよびステロール等が含まれていて、ステロイド配糖体の中には抗体産生抑制作用が報告されているものもあります。 主な薬効としては鎮咳(ちんがい)、去痰(きょたん)および滋養強壮があり、漢方処方においても鎮咳去痰薬(咳を鎮めて痰を取り除く薬)と見なされる処方に配合されます。

これからの季節は何かと喉のトラブルが多い時期です。切れにくい痰やしつこい咳に困ったら麦門冬の出番かもしれません。




■ 林 克彦 (養命酒中央研究所・主任研究員)
兵庫県出身。生薬の成分などを研究しています。最近、子育ての大変さを思い知らされています。