HOME > 生薬百選 > 【2007年9月号】生薬百選42 桔梗(キキョウ)


生薬百選42 桔梗(キキョウ)


花はお供え、根は薬用。
今月は秋の七草、『キキョウ』について。

秋の七草に数えられるキキョウですが、その開花期は7〜9月とまだ暑い盛りです。長野県ではお盆の供花として重用されます。キキョウ科の多年草でかつては自生株も多かったものの、現在ではその数は減少して絶滅危惧種になっているようです。


キキョウの花
キキョウの花


薬用には根を用い、去痰および排膿作用を期待されて、杏蘇散、参蘇飲、駆風解毒散、響声破笛丸、排膿散、清肺湯、柴胡清肝湯、十味敗毒湯、防風通聖散など多くの処方に配合されています。またキキョウが主薬の桔梗湯は、キキョウとカンゾウの二味から構成され、のどの炎症におもに使われます。
薬効成分としてはキキョウサポニンがあり、サポニンの界面活性作用が痰をきれやすくするといわれます。そのため去痰作用のある生薬に、サポニンを含有するものがかなりあります(バクモンドウ、チモ、セネガやオンジなど)。


キキョウの根(生薬)
キキョウの根(生薬)


サポニンとは水と振り混ぜると泡立つ性質があることからそう呼ばれ、シャボン(玉)の語源であるラテン語のサボに因んでいます。韓国ではキキョウをトラジと呼び、水によく晒しサポニンなどのえぐ味を取り去ったものを食用にするそうです。




■ 白鳥 奈緒美(養命酒中央研究所・研究担当)
桔や梗の字が人名漢字表に追加されたのが2004年、桔梗さんと名づけられた人が今どれくらいいるのか気になります。