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生薬百選1 「クロモジ」


11月に入り信州の山々は紅葉が一段落し、冬支度に入り始めています。
この頃から養命酒に使われているウショウ(烏樟:クロモジ)の収穫が始まります。
数年前に、長野と新潟の県境で烏樟を採取している方々に山を案内して頂きました。その時、「クロモジの枝を酒に漬けたり、葉を乾かしてお茶にしたりして飲むと胃腸が丈夫になる」とか、「枝を刻んでお風呂にいれると良く温まり疲れがとれ、神経痛に良い」とか、「雪の上を歩くための“かんじき”の材料には最適なのだ」とか色々な話を伺うことができました。
皆さんがクロモジの効能を良く知っており、生活に取り入れている様子にとても感心しました。

話を伺い、私も早速クロモジの果実のお酒を試しに作ってみました。
出来上がった果実酒は黒っぽい赤紫色の液体で、味はと言うと・・・・・・、
まだまだ研究が必要なようです(笑)。

クロモジは北海道の南部から九州まで広く分布する低木で、林の中や林道の脇に見られ、紅葉の時期には葉が鮮やかな黄色に染まります。山に行かれる機会がありましたら、ぜひ探してみてはいかがでしょうか。


 
(写真はクロモジ 左:全体、右:落ち葉)




■ 石塚康弘(養命酒中央研究所・主任研究員)
主に薬用植物の栽培とその有効利用について研究しています。
数年前から温泉道楽にはまり、現在では研究所一の美肌研究員を自称しています。
何かとはまりやすい性格です。