薬酒について

日本独特の薬酒も

やがて漢方が日本の医学として定着するにつれて、薬酒も多用されるようになり、漢方書に基づく薬酒や日本の風土に合わせた独自の薬酒が各地で数多く造られました。江戸時代中期に刊行された図説百科事典『和漢三才図会』には「現在飲まれている薬酒は『本草綱目』に記載されているものが多いが、わが国古くからのものも少なくない。紀州勢州の忍冬酒、賀州肥後州の菊酒、南都の霙酒、浅芽酒などが有名だが、そのほか数えたら枚挙にいとまがない」と書かれています。

また天明5年(1785年)に作られた長唄『春昔由縁英(はるはむかしゆかりのはなぶさ)』の一節には「濡れていよとの霙酒アゝまゝよいっそ伊丹の濁り酒末は諸白諸共に千年不老酒養命酒…」と養命酒の名が見えます。

養命酒については、江戸後期の儒学者松崎慊堂の『慊堂日暦』の中(文政9年<1826 年>9月3日)にも登場しています。

薬酒なるほどMEMO

左利き

酒が好きで強い人の俗称。語源については左手で猪口(ちょこ)を持つからとか。左甚五郎が酒に強かったからとの説があるが、これは間違い。左酒右漿(おもゆ)といって祭壇や食卓に酒を左に漿を右に置くしきたりからきたと解釈されている。薬酒の場合、これはもっぱら健康のためであるから、左利きは適用外。