薬酒について

西洋における薬酒

西洋の場合も東洋と同様に薬酒の歴史は古く、ローマ時代(1世紀)の有名な医者であり薬草学者であったディオスコリデスが残した『薬物誌』には57種類の薬酒が記載されています。しかし、盛んになったのは中世になってからで、当時流行していた錬金術の手法を薬酒造りに応用して、強壮剤や不老不死薬を造り出そうと多くの試みがなされました。

その拠点の一つに修道院がありました。当時、修道院は院内で酒を造ったり飲んだりすることはご法度ではなく、むしろ優れた酒を造り出すことが誇りでもありました。そうした中で僧侶たちは自らの体力増強や信者の福祉を目的に、薬酒やリキュールを造るようになったといわれています。

また18世紀になると、イタリアを中心にワインに薬草や香料を加えた「ベルモット」が造られました。ベルモットは食欲を増すための食前酒として親しまれていて、薬酒の一種に加えることができますが、この頃から香りを強調した嗜好性の強い飲み物へと分化していくものも多くありました。

薬酒なるほどMEMO

草根木皮(そうこんもくひ)

生薬(薬草類)のこと。生薬の多くが草の根や木の皮を用いていることによる。古く東洋においても西洋においても薬はすべて生薬であった。後世西洋では生薬の中から薬効成分だけを取り出す研究が進み、東洋では生薬そのものが有効成分と考えた。その結果、西洋方式は医学の近代化と普遍化をもたらし、東洋方式は自然性(安全性)を残した。

ドーピング(Doping)

競技前に選手や競走馬が違法に筋肉増強剤や興奮剤などを用いること。アフリカ南東部の部族が祭りのとき、気分を盛り上げるために飲んだ酒“Dop”にちなんでこの名がある。一種の蒸留酒といわれるが、そうした薬草も入っていたのではと思われる。