インタビュー

くらすわ事業の責任者と事業に携わる社員へ、
それぞれが日々の仕事で何を思い、どのように取り組んでいるのかをインタビューしました。

vol.1

福盛 禎仁執行役員 くらすわ事業部長

「くらすわ」立ち上げの経緯を教えてください。

 くらすわは、2010年に長野県の諏訪湖のほとりに店舗(現在のくらすわ本店)を作ったことからスタートしました。当社はBtoCの企業ですが、商品の販売方法としては卸店を介して小売店舗に商品を販売する、いわゆる卸売りを行っているため、直接お客様に接する事業については、模索するところからの始まりでした。
 スタート当時のくらすわは、「地産地集(ちさんちしゅう)」というコンセプトを掲げ、信州の良いものを当社の目利きで探して提供していました。諏訪という地域は観光客が多いのですが、観光客と地元の方、どちらにも喜んでもらいたいという想いが強かったです。
 当社には2005年から長野県駒ヶ根市にある、駒ヶ根工場敷地内の「養命酒健康の森」で物販とカフェを運営していたノウハウがあったものの、運営を安定させるまでは苦労の連続でした。自分の感覚としては1年くらい経った時にやっと店の形ができたというか、落ち着いたと感じました。私は責任者でしたので、休みもなかなか取れなかったですね。
 養命酒製造ではなく、「くらすわ」で行うべきこととして考えていたことは、お客様について想像を巡らせながらアプローチしていくこと。仮説を立て、実際に店頭で実証していく、その繰り返しでした。現在レストランではサラダバーが人気ですが、実はサラダを置いている場所は、お酒を提供するバーにしようと思って作った場所です。店頭では柔軟性と思い切りが大事だと思っています。

2020年に「くらすわ」は10周年を迎えましたが、何か変化はありましたか。

 2020年にくらすわが10周年を迎えたことを機に、くらすわ本店の改装を行いました。その際にこれからのビジョンを整理する中で、ブランドを拡大したいという構想を持つに至りました。具体的には、くらすわ訪問の動機を「諏訪に来たついでにくらすわに行く」という状況から、「くらすわがあるから諏訪に行く」に変えることです。そのためにはくらすわのステージを一歩進める必要があると考えました。
 このイメージを実現するため、2020年に松本にあった店舗を「和ダイニングくらすわ」としてリニューアルオープンしたほか、ブランド露出を高めるため、県外初出店として、東京都に「くらすわ 東京スカイツリータウン・ソラマチ店」をオープンしました。

 これから当社がやるべきことは、「すこやかさ」をどうお客様に提供し、伝えていくかということだと考えています。そのために2020年頃、長野県のものを中心に取り扱うという方針を変更しました。もちろん長野県の良さはこれからも広めていきたいと思いますが、当社が一番に伝えたいのは「すこやかさ」であるという考え方から、長野県という枠を取り外す決断をしました。
 よく、くらすわになぜ養命酒の名前を使わないのかという質問を受けますが、私は、くらすわと養命酒は分けて考えるべきと思っています。手前味噌ですが、「薬用養命酒」という商品には高い知名度があります。逆に言えば完成されたイメージがあるということで、養命酒を掲げることはくらすわブランドの広がりに制限がかかることでもあると考えました。一方、一からブランドを作ると、大変ではありますがイメージを自由に構築することができます。最終的には、くらすわから当社を知ったお客様が後から養命酒ブランドの商品を手に取っていただけるようになるなど、当社製品・サービスに触れる入口を広げることに繋がればと思っています。

これからの展望についてお聞かせください。

 ブランドを拡大していくためのシンボルとして、駒ヶ根工場敷地内に体験型施設の建設を進めています。建設に先駆けて2023年4月12日に「くらすわ駒ヶ根店」をリニューアルしたほか、6月20日には、「くらすわの森」をオープンします。くらすわの森全施設のグランドオープンは2024年秋頃を予定、来場目標は年間30万人としており、ゆくゆくは100万人に来ていただける施設へ育てていきたいと考えています。
 当社が届けたい「すこやかさ」は、情緒的であり人によっても捉え方が異なる、難しい概念です。これを具現化し、共有するため、楽しい空間を作ろうと思いました。日常のストレスは、楽しさと非現実性に触れることによって癒されるのではないでしょうか。楽しさは人それぞれと思いますが、当社が皆様にお届けしたいと思っているものは、自然に触れる中での楽しさ、ゆったりと充実した時間、あたたかさ、丁寧なサービス、美味しいもの……等々です。これらは人を癒し、疲れから解放します。

 これからのくらすわがお客様に提供するのは、3つの体験です。「おいしい体験、たのしい体験、すこやかな体験」。これらの体験を、店舗、体験型施設、通販を通して感じていただければと思っています。くらすわに触れると、心身ともに良いことがあるんだということを伝えたい。これからもくらすわはお客様の「すこやかさ」を願い、お客様が求めるニーズに応えていきたいと考えています。

vol.2

加藤 参まゆみくらすわ事業部 商品開発グループ グループリーダー

業務内容を教えてください。

 くらすわのブランドを体感できる商品を開発することが、私たち商品開発グループの業務になります。当社では商品ごとに担当者をおいて、川上から川下まで一貫して商品を作り上げる体制をとっています。商品コンセプトの立案、市場調査、製造委託先との折衝、原料・資材や容量などの商品仕様、販売価格、商品PR案など、作業内容は多岐にわたります。各分野の専門的な知識が求められることも多いので、日々勉強や情報収集は欠かせません。取引先との折衝や社内の調整など人と関わる仕事も多いので、コミュニケーションもとても大切にしています。
 私たちは基本的にモノを作る仕事に従事していますが、最終的にその商品を購入したり使ったりするのはヒトになります。どうしたらお客様に喜んでもらえるか、生活や心を豊かに出来るか、お客様のベネフィットを考えながら、独自の開発ルールのもと商品づくりを行っています。安心・安全なモノづくりをし、お客様のすこやかな生活に貢献できる商品を目指して、開発メンバー一同、日々悩み励んでいます。

くらすわを今後どのようにしていきたいですか?

 お客様の生活に寄り添えるブランドとして成長させていきたいと考えています。
 多様なライフスタイルが当たり前の世の中になり、その中でも「ウェルビーイング」への関心は非常に高まっています。多面的な幸福が求められていくなかで、心身ともにすこやかであることは欠かせません。
 くらすわでは食品・雑貨・化粧品など少しずつ商品のバリエーションを増やして、お客様のニーズに応えられるよう商品展開を進めています。私たちの商品をご使用頂くときに、例えば充実した気分になれたり、安心感を抱いて頂けたり、すこやかさを感じて頂ける、そんな価値をご提供していくことで、ブランドに愛着を持っていただけたらと思っています。
 私たちの商品やサービス、体験がお客様にとって良いものであり続けるために、守るべきこと・変えていくべきことに常に向き合い、親から子へ長く愛されるブランドとして成長していきたいと思います。

vol.3

関 公一朗くらすわ事業部 店舗運営グループ くらすわ 東京スカイツリータウン・ソラマチ店 店長

業務内容を教えてください。

 くらすわ東京スカイツリータウン・ソラマチ店の店長として日々業務に従事しています。レストラン、ベーカリー、ショップが融合した店内で、料理・商品・パン・サービス・空間……を通して、お客様へ「すこやかなくらし」を提案しています。
 ただ、私がお客様に直接提案しているのかというと、そうではありません。実際にお客様へサービスをするのは一緒に店を運営するスタッフです。スタッフが心地よく働くことができ、お客様へまごころで接することができ、その結果お客様に喜んでいただき、スタッフ自身も喜びを感じるような……。私自身も店頭に出ることはありますが、どちらかというとそのための環境を作ることが私の仕事だと思っています。「どうやったらお客様に楽しんでいただくことができるか」。皆で考え、担当の異なるメンバー同士が一丸となって取り組み、お客様にとってもスタッフにとっても楽しい場所にできるよう尽力していきたいと思います。

くらすわを今後どのようにしていきたいですか?

 “世の中の誰にとっても身近な存在”にできたらと考えています。私自身、これまでくらすわ関連事業一筋で担当してきたこともあり、その想いに共感し、もっと多くの人に知ってもらいたいと切に思っています。
 「偶然SNSで見たから」「ふと立ち寄ってみて」……きっかけは何でも良いので、お客様に「知って」「見つけて」ご利用いただく。そして共感し、日々のくらしの中に取り入れていただく。身近という言葉を使いましたが、意識的に近くにいるというよりは、意識せずとも気づいたらくらしを取り巻いているようなイメージに近いですね。時間はかかるかもしれませんが、そのようになれたらと思っています。
 そのために、まずは「店」という、「空間を通してくらすわを体験できる場所」から発信していきたいです。今やオンラインショップも充実し、遠方に住んでいても目当ての商品を迅速に手に入れることができるようになりました。しかしながら、「店」でなければ体験できないことは未だに多いです。また時代とともに「店」というもの自体のあり方も大きく変わっていっています。店舗と言う既成概念にとらわれず、あらゆる可能性に挑戦して、その答えを見つけていきたいと思います。